投票呼びかけに「電話番号を教えた覚えはない」と怒声、困惑の陣営「アポ電強盗の影響だ」

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一連の「闇バイト」強盗や、資産状況や家族構成を聞き出す「アポ電」(アポイントメント電話)後の強盗事件が相次いでいることを受け、統一地方選に出馬している候補者の陣営が電話による投票呼びかけに苦慮している。
防犯意識の高まりで、選挙運動も変化しているようだ。(長谷裕太)
「どこで電話番号がわかったんだ。教えた覚えはないぞ」
全国の強盗事件に関与した疑いのある容疑者の男4人がフィリピンから移送された直後の2月中旬、北海道の道議選に出馬した現職の事務所。40歳代の女性スタッフが後援会の名簿に記載されている電話にかけると、高齢男性の怒声が響いた。
公職選挙法では、電話での投票呼びかけは選挙期間中は認められており、それ以前でも後援会活動の電話は可能だ。札幌市内の選挙区から立候補したこの現職の男性候補の陣営では、こうしたトラブルが複数件あった。
電話しても、留守電に切り替わる状態が続いたり、防犯機能付きのためつながらなかったり……。この現職は「明らかに一連の強盗事件の影響だ」と困り顔で話す。告示後の選挙期間中の投票呼びかけ電話は過去の選挙運動で必ず取り組んできたが、今回は断念した。
札幌市内の別の道議選候補の陣営も、電話すると「後援会に入った覚えはない」「なぜかけてきたんだ」と不審がる声を4年前の統一選より多く聞くという。
北海道警によると、道内では2月上旬以降、住民に在宅しているかを尋ねる不審電話が数多く確認されている。「これから帰る」「今から行く」などという電話は、3月31日までに札幌市内を中心に477件確認された。犯罪グループによる窃盗や強盗に入る前の下調べのほか、特殊詐欺につながる可能性があるという。
総務省によると、2022年12月末現在の固定電話の契約数は5111万回線で、携帯電話への切り替えなどで過去10年間で約1割減った。
電話かけをやめた現職の男性候補者はつぶやいた。「電話は組織を固める大切な手段だが、時代にそぐわなくなっているのかもしれない」

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