京都・保津川下りで転覆、船頭1人死亡1人行方不明…かじ持ち振り落とされ岩に激突

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

京都府亀岡市から京都市に向かって流れる桂川(通称・保津川=ほづがわ)で28日午前11時頃、観光客向けの川下りの舟1隻が座礁し、転覆した。京都府警などによると船頭4人のうち、田中三郎さん(51)が死亡した。別の男性船頭(40)も川に投げ出され行方不明になったとみて、捜索している。残る船頭2人と、外国人も含めた観光客の大人22人、子供3人の計27人は無事だった。
運航する保津川遊船企業組合(亀岡市)の広報担当者によると、舟は午前10時38分に出航。約20分後に「大高瀬」と呼ばれる急流を越えた場所で事故が起きた。同担当者によると「運転手に当たる『かじ持ち』が川に振り落とされ、間違った方向に進み岩に当たった」という。残り3人でコントロールしようとしたが、岩にぶつかって転覆。午前11時半ごろ組合から119番があり、転落者は後続の舟や消防が救助した。29人全員が救命胴衣を着用していたとしている。目撃者は「救助された人はとても寒そうで、別の舟の乗客が携帯カイロをあげたり、上着を貸したりして助け合った」と語った。
26日の雨で増水した影響で前日(27日)の運航は中止されていた。28日朝の時点で安全性を判断する地点の水位は69センチで、運航中止基準(85センチ)より低く、問題なかったとしている。定員は30人で乗客乗員の29人は規定内で、4人の船頭は9~30年の経験があり、人数も規定通り。出航前のアルコール検査や体調確認でも問題はなかったという。
保津川下りは全長16キロで観光名所・嵐山がゴール地点。昨年は12万人が利用した。過去にも舟が岩に乗り上げて浸水したり、岩に衝突して横転する事故があった。15年8月には乗客約20人を乗せた舟から船長の男性が転落、死亡していた。
運輸安全委員会はこの日、船舶事故調査官2人を現地に派遣することを決めた。組合の豊田知八代表理事は「ご迷惑をおかけし、申し訳ない」と謝罪。運航再開時期は未定としている。
◆保津川下り 江戸時代、丹波から京都・大阪への水運利用による荷物の運搬が主だったが、1895年頃から景観を眺める観光船がスタート。亀岡から嵐山まで全長16キロで所要時間は水量によるが約90分。30人まで乗船できる舟で高低差約2メートルの「小鮎の滝」や水深15メートルの「曲り渕」、本を横に積んだような地層が見られる「書物岩」などを通過し、着船場は渡月橋の近く。料金は大人4500円、子供(4歳~小学生)は3000円。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。