首かしげる住民「ここが1階じゃないの?」、市役所からついに消える英国式「G階」表示

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半世紀近く市民を迷わせてきた「G階(ジーカイ)」が消える――。
兵庫県宝塚市は、市役所本庁舎の階数表示を変更することを決めた。イギリス式で地上からG階、1階、2階……としてきたが、来庁者から「紛らわしい」との声が多数寄せられていた。2月に南隣に第2庁舎が開設されるのを機に、本庁舎のG階は1階になる。(高部真一)
建物の階数についてイギリスなどでは地上のグラウンドフロア(G階)から始まり、1階、2階と表記するが、アメリカのほか日本などでは1階からスタートすることが多い。イギリス式のG階、1階は、アメリカ式ではそれぞれ1階、2階に相当する。
地上6階建ての宝塚市の本庁舎は名建築家、村野藤吾氏(1891~1984年)の設計で1980年に完成した。敷地は高低差があり、イギリス式を参考にして駐車場があり、低くなっている東側をG階、バス停がある西の市道側を1階にしたとみられる。
しかし、国内の多くの建物が1階から始まるアメリカ式を採用し、イギリス式は少数派。庁舎内で戸惑う市民も多かった。窓口サービス課は1階にあり、G階から入った市民は「1階に行って手続きをしてください」と案内されると、「ここが1階じゃないの」と首をかしげることもあったという。メールなどでも市に「G階と1階は違うのですか」「わかりにくい」との声があった。
2月13日に業務を開始する隣接の第2庁舎は2階建てで、本庁舎と階数を合わせると、G階と1階になり、混乱に拍車をかけるおそれがあった。このため、階数表記を見直すことにした。現在の本庁舎のうち市民が立ち入るG階~4階は、それぞれ1階~5階に変更する。
市管財課は「43年続いてきた表記だが、市民にわかりやすいのが一番で、変更することにした」としており、エレベーターのボタンや案内板をこの日に取り換える。

高低差のある土地の施設ではG階を採用することが多い。宝塚市内では市役所以外に市立手塚治虫記念館がメインエントランス側を1階とし、隣接する市立文化芸術センター側をG階と定める。阪急宝塚駅隣接の商業施設「ソリオ1」は宝塚大劇場側をG階、旧温泉街側を1階としている。

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