自衛隊のパワハラ・セクハラ、被害申告1400件…特別防衛監察で精査中

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防衛省の防衛監察本部が、全自衛隊員を対象にパワハラやセクハラの実態を調べている特別防衛監察で、被害を受けたなどとする隊員からの申告が約1400件寄せられていたことが、同省幹部への取材でわかった。
同本部が情報を精査しており、事実関係が確認されたケースでは隊員の処分を検討する。
調査は、同省の窓口に寄せられるハラスメントの相談が増加していることや、元陸上自衛官の女性が実名で性被害を公表した問題を受けて、防衛相の指示で9月13日から実施している。
対象は全隊員で、氏名や所属、連絡先を明らかにしたうえで、適切な対策が取られなかったり、相談できなかったりしたハラスメント被害をメールや郵送で11月末までに申し出るよう求めていた。
同省幹部によると、申告があった約1400件のうち、約8割はパワハラに関するものだった。同本部は事案の詳細や加害者の情報を確認し、申告者の意向を聞いたうえで、隊員の人事権を持つ陸海空の幕僚監部などに通知する。各幕などは詳細な調査を実施し、処分を検討する。
防衛省は11月、ハラスメント対策のあり方を検証する有識者会議を設置しており、今後、抜本的な対策を打ち出す。政府関係者によると、16日にも閣議決定される国家安全保障戦略などにも、防衛力の中核となる自衛隊でのハラスメントを許さない環境づくりを目指す考えが初めて明記される。
◆特別防衛監察=防衛相の指示で、防衛省・自衛隊の全組織から独立した防衛監察本部が実施する調査。重大な不正や倫理違反が疑われる事案が対象で、南スーダンでの国連平和維持活動の報告書が隠蔽(いんぺい)された問題などで過去5回行われた。ハラスメントが対象となるのは初めて。同本部のトップは、元広島高検検事長の小川新二・防衛監察監が務めている。

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