「一灯点滅式信号機」かえって事故起こす恐れ、撤去進む…通行ルール浸透せず

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交差点で赤色と黄色の点滅で通行を規制する「一灯点滅式信号機」が、兵庫県内から間もなく姿を消す。
1988年から設置が始まり、最多で73基あったが、「赤色点滅は一時停止、黄色点滅は注意」という通行ルールが浸透せず、かえって事故を引き起こす恐れがあるため、撤去が進められ、現在、残っているのは神戸市内の2基だけだ。一時停止標識に切り替えて事故が起きなくなった交差点もあり、県警は残る2基も撤去するという。(松山春香)
一灯点滅式信号機は、四方に1個ずつライトがあり、道路交通法で赤色点滅は一時停止、黄色点滅は注意して進行することが定められている。県警によると、道路幅が狭く通行に注意が必要な住宅街の交差点を中心に設置され、2000年春には最多で73基あった。
しかし、都道府県によって設置数にばらつきがあり、ドライバーの中には通行ルールを知らなかったり、忘れてしまったりしている人がいて、事故やトラブルが起きるケースもある。一時停止標識などで代替可能な場所も多いため、警察庁は15年12月、不必要とみられる一灯点滅式の撤去を検討するよう都道府県警に通達。16年春に全国で5904基あったが、20年春までに2割以上が姿を消し、現在も各地で撤去が進む。
姫路市西八代町の住宅街にある市道交差点では、20年7月に一灯点滅式信号機が撤去された。中央線がなく、対向車同士がかろうじてすれ違うことができる道幅だが、通行量が多く、近くの小学校の通学路にもなっているため、登下校の時間帯には多くの子どもが歩く。
撤去されるまでの3年間で3件の人身事故が起き、3人が重軽傷を負った。県警は、撤去後に一時停止の標識を新設し、交差点中央の路面を赤色にカラー舗装してドライバーに注意を促した。その結果、撤去からこれまでの2年間に事故は起きていないという。
よく交差点を通る中学3年の女子生徒(15)は「ひとつだけの信号は見えにくく、以前は事故を起こした車を何度も見かけた。カラー舗装の方が目立つので、車は前より止まってくれるようになった」と話した。
県内に残る一灯点滅式信号機は、神戸市中央区と兵庫区に各1基。いずれも地域住民から「撤去しないで」と要望され、運用を続けている。しかし、設置から28年と25年が過ぎ、更新目安の19年を大幅に超え、老朽化で落下などの危険性が高まっている。県警は住民らと協議し、2基を将来的に撤去する方針だという。
県警は、一灯点滅式以外にも、円滑な通行を妨げているとみられる信号機の撤去を進めており、「信号よりも標識などの方が事故を抑制する効果が高い場合もある。住民に丁寧な説明を重ね、より安全な環境を整えていく」としている。

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