妻の実家のために早期退職して地方移住。55歳の夫ががっかりした妻の「再犯」

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「高齢者の買い物や、日常生活の手伝いがきっかけとなって浮気相手に出会うこともあります。世話をしている者同士が頻繁に顔を合わせるうちに、恋愛に発展していくケースがあるのです」と語るのは、探偵の山村佳子さん。横浜のリッツ探偵事務所の代表だ。
最新の国勢調査(2020年)をベースに推計すると、食料品アクセス困難者は全国で904万人に達し、65歳以上の25.6%に相当する。75歳以上に限れば566万人、全75歳以上人口の31%にもなる。
その割合を市区町村別に示した「食料品アクセスマップ」を見ると、青森県は全エリアが30%以上、秋田県、和歌山県、兵庫県もほぼ全てのエリアが30%以上だ。都市部でも問題が深刻化しており、東京都清瀬市は43.5%、八王子市は39.8%に達していた。今、全国的に多くの高齢者が日常の買い物に困難を抱えていることがわかる。
いわゆる「2025年問題」と言われるのは、70歳以上の年齢が18%を超えるであろうという少子化高齢化社会のこと。2025年に行われる国勢調査の結果食料品アクセス困難者は過去最大レベルで増えるのではないかと懸念されている。
今回山村さんのところに相談に来たのは、55歳の和典さん(仮名)。5歳年下の妻の父親の介護を機に早期退職して妻の故郷に地方移住している。妻は食糧購入困難者となっている高齢者のサポートをし、尊敬できる妻だったのだが、この数ヵ月様子がおかしい。
前編「義父の介護で早期退職、地方移住した55歳夫が衝撃受けた義母と妻との「会話」」で詳細を伝えたように、義母と妻との会話から、浮気を確信した和典さんが浮気調査を依頼してきたのだ。
林業関連会社に勤務する和典さんが、食品関連会社に勤務する妻の浮気調査依頼に至る背景を振り返ります。
夫妻は1年前、結婚25周年を迎え、25歳と23歳の娘たち2人も独立。そのタイミングで和典さんは新卒から勤務していた証券会社を早期退職、妻の実家に移住をすることを決めました。
その背景には、80代の妻の父の介護がありました。妻の父は2年前に転倒し大腿骨を骨折。入浴やトイレの一部で、介助が必要な状態になっていたのです。義母も同じく80歳を超えており、妻の姉2人は海外に住んでいます。和典さんの両親は60代前半で病死していたため、「せめて妻の両親に親孝行をしたい」という思いが強い。また和典さんは大学時代から森林保全活動の手伝いをしており、自然と生きていきたいという意志があり、まさに誰にとってもよい地方移住でした。
妻も「誰かの役に立ちたい」という性格です。東京から移住した2人は、地域のコミュニティに溶け込み、充実した毎日を過ごしていました。
和典さん夫妻が住む、妻の実家がある地域には20世帯ほどが居住しています。そのほとんどが高齢者ですが、最寄りのコンビニまで1キロ、スーパーやドラックストアまで3キロもあり、車がないと買い物が困難。いわゆる食料品アクセス困難者が多いのです。
妻はそんな高齢者たちの買い物の手伝いを買って出ます。ペットフードやケーキなど、仕事の帰りに購入し、配達する。その受け渡しの際に世間話をするようになったり、食事を振る舞われたりして、帰宅時間が遅くなることもありました。そのうちに妻は外泊するようになり、それまで身につけていなかった、レースの下着を隠して干していたり、香水をつけるように。
そんなある日、義母と妻が「キスしたの?」、「うん。キュンキュンした」などと言うやりとりを聞いてしまいます。義母と妻は友達のように仲が良く、何でも話し合う関係です。
さらに妻は、和典さんが、狩猟の後継者見習い活動で不在になる土曜の昼に必ず出かけている。浮気を確信した和典さんは、相手の男と妻を別れさせるために調査を依頼。私たちも現地に飛びました。
土曜日の昼、和典さんが狩猟の後継者見習い活動の日に妻を尾行することに。地方は、余所者への監視が厳しい。不審な車は通報されてしまうことがあるために、妻が出かける時間を見計らいました。
和典さんは10時から16時まで不在にするので、おそらく妻はその直後に家を出る。妻と母の会話から、妻は恋を知り始めた10代女子のように恋をしている。一刻も早く相手に会いたいだろうと思い、10時から張り込みを始めます。
妻のピンクの軽自動車は、10時3分に出てきました。家も敷地も広く、2家族が余裕で住めるほどです。妻の車は近くの家に入るのかと思っていたら、高速に乗り最初のパーキングエリアに入ります。ここは飲食店や土産物店が充実しており、カップルや家族連れで賑わっています。妻は車から出るとトイレに行き、入念にメイクを直していました。
妻は小柄で華奢な体型をしており、白いダウンジャケットが似合います。セミロングの髪を巻いていてとても愛らしい。朗らかで明るい雰囲気を醸し出しており、和典さんが浮気を心配するのもとてもよくわかります。
スマホの画面が光ると、メイク道具をバックに入れて、飛び出すようにカフェへ。そこで待っていたのは、和典さんと正反対のタイプの50代と思しき男性。ツーブロックの短髪で、口ひげを生やし、サングラスをかけている。筋肉質で首にチェーンがあり、ブランドのロゴがプリントされたパーカーを着ています。腕にはギラギラとした高級時計をつけています。
妻が来ると笑顔になり、手を繋いで歩き始めました。それぞれの車に乗り、次のインターチェンジで下車。あるリゾート施設に行き、手を繋いでぶらぶらしています。土産物屋をのぞいたり、雑貨店を見たりしていました。妻がマグカップを「可愛い」と言いながら、笑顔で見せると、男性はひったくるようにして2つ購入。おそらく、それぞれの家で使うのでしょう。
カフェで昼食を食べ、男性の軽自動車に妻が乗り、10キロほど移動してラブホテルへ入って行きました。男性は無口ですが、妻への愛情表現を態度で示している。駐車場からホテル内に入る時も、手を繋いだり、肩を抱き寄せたりして、非常に忙しい。妻も甘い声を出して、「ドキドキしちゃう」などと言っていました。
この調査をしていると、40代以上の既婚者女性は、男性に対して、母親のように主導権を握るか、少女のように甘えかかるかのどちらかだと感じます。妻は後者のようです。カフェで男性が、「どれにする?」と質問し、「あなたと同じでいい」と即答。そして出てきたパスタを半分以上残し、男性が食べていました。
ラブホテルの部屋も男性に決めさせており、男性は迷った挙句、一番安い部屋にしていました。その瞬間、妻は不服そうな表情をしていたところを、カメラはとらえました。
ラブホテルで2時間滞在し、車に乗りリゾート施設に戻りました。別れ際に濃厚なキス。妻は男性の車を降りると、自分の車に乗り、下道を飛ばして自宅方面に向かいます。帰りにドラッグストアに立ち寄り、スマホを見ながら、めんつゆやカイロなどを購入。
自宅に帰る前に、実家周辺の家2軒に届けていました。「またなんかあったら言ってね!」と明るい声で言っていました。
16時に自宅に帰り、その直後に和典さんの軽トラックが敷地内へ。私たちがこの地域の入り口となる国道前に移動し、1時間ほど張り込みをしていると、予想通り男性が乗っていた黒の軽自動車が入ってきて、地域の一番奥にある家に入って行きました。
以上を和典さんに報告すると、「やはりそうでしたか」と真っ青な顔をして報告書を見ていました。
「この男性は、私も知っています。3年前に離婚し実家に戻ってきている妻と同じ年の幼馴染です。東京の会社に勤務しており、片道2時間かけて通勤しているとかで、妻がサポートしている家の1つだったはず」
和典さんは、妻には調査のことを話さず、男性と話し合いの場を持ったそうです。
「男性は、妻から迫ってきたと言っていました。まあ、それも何となくわかる。妻は地域の高齢者から、子供時代の呼び名で呼ばれ、“可愛いね”と言われるうちに、見た目も気持も若くなっていったのでしょう。そこで初恋の人である男性と出会い、独身であることがわかると、自分から迫っていった。妻はそういう性格です」
男性はその場で妻のLINEをブロック。和典さんに「男の私に責任がある。申し訳ございませんでした」と謝罪したそうです。また男性は、近日、家を出る予定であり、その時期を早めると約束したそうです。
男性は「一人暮らしの80代の父が運転があやうくなったため免許を返納したのですが、この地域はバスもなく、車がないと生活が困難。僕が父の面倒を見ていたのですが、会社は東京で限度がある。免許返納を父に諭した兄が、実家に帰ることを決めたんです」と話していたそうです。
和典さんは「東京にいると、地方の生活は見えにくい。妻は男性の父をサポートするうちに、恋愛をしちゃったんでしょうかね」と言っていました。そのとき、ふと、妻にはかつて浮気の履歴があるのではないかと思い、質問したところ、しばらく迷ってから「過去に3回あります」と言います。
1人目はパパ友、2人目は英会話教師、3人目はゴルフの先生、4人目がこの男性だそうです。
「妻は女性としてチヤホヤされるのが好き。自分の魅力を試すように、相手に接するんです。相手もモテると満更でもないじゃないですか。それで、男女の関係になるんです」
近い人間関係内で浮気をするので、すぐにバレる。和典さんは相手を特定し、別れさせる。その後、妻は浮気がバレても、最初から無かったことにして、生活を続ける達人だそうです。今回も、和典さんは浮気相手を察知していた。ただ、地域内の人間関係が複雑なので、外部の私たちに調査依頼をしたのだとか。
「妻が最後に浮気をしたのは、35歳の時。それから15年ずっと穏やかに暮らしていたのに、まさかこんなどんでん返しがあるとは。これが最後の恋にしてもらいたいものです」とうんざりした顔で話していました。
妻は困っている人をサポートしたいという気持ちが強い。だからこそ、地域の高齢者の買い物や生活の手伝いができるのです。妻は幼馴染で初恋の男性が、離婚をして傷ついていると感じ、心に寄り添いたいと思って浮気をしたのかもしれません。
ただ、肉体的な接触は、パートナーを傷つける。そのことを妻はわかっていない。妻のことをもっとも大切に思い、愛しているのは夫である和典さんです。妻がそのことに気づかないと、夫婦関係は静かに破綻していくのではないかと感じてしまいました。
結局、和典さんは妻の浮気を許し、「もう2度としないでほしい」と語ったところ、「わかった」と言ったそうです。また義母にも「妻が浮気したら止めてほしい」と言ったところ、「ごめんなさい」と謝罪されたとか。この一件から、和典さんの家庭内での信頼がさらに高まったとか。
いま、義両親にとっても地元にとっても和典さん夫婦はなくてはならない存在になっています。そのことに誇りをもっており、物事を丸く収めたい和典さんは、態度を変えることなく日々の生活を続けているそうです。夫婦や家族は重ねてきた歳月と役割がある。それを壊す可能性が浮気にはあると感じました。キュンキュンするときめきは人生を豊かにしますが、ときめきを楽しむだけではなく、行動を起こしてしまうことで壊れるものがあることを忘れてはなりません。
調査料金は20万円(経費別)です。
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