「俺、インフルエンザ」大迷惑な出社で同僚が感染、旅行計画もパーに「慰謝料請求したい」

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12月の冬突入以降、インフルエンザ患者数が大幅に増加しています。
厚生労働省の発表によると、12月23~29日の一週間で報告された全国の患者数は、1医療機関あたり「64.39人」でした。報道などによると、この患者数は現在の方法で統計を取り始めた1999年以降最多ということです。
勤務先や学校などで感染が広がる懸念もあります。弁護士ドットコムにも、インフルエンザに感染していることがわかっている同僚が出社したためうつされたという相談が寄せられています。
この相談者は、海外旅行の予定を入れていたそうですが、インフルエンザに感染したため、行けなくなってしまいました。同僚に対して「慰謝料を請求したい」と怒りが収まらない様子でした。
同僚がなぜ出社を強行したのかは不明ですが、インフルエンザに感染していることがわかっていて出社したことでうつされた場合、慰謝料の請求などは認められるのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。
──同僚からうつされたとして、慰謝料請求は可能なのでしょうか。
空気が乾燥し、コロナ禍に比べマスク着用も緩くなる中、インフルエンザが猛威を奮っていますね。
実は私も年末にインフルエンザに感染してしまい、高熱で寝込むことになり、忘年会を3件もキャンセルしてしまいました。
さて、今回のケースですが、ありそうな事例ですね。出社した同僚に「他の社員にうつしてやろう」という故意まではないでしょうが、法的にどうなるのかを考えてみます。
インフルエンザにかかっているという診断を受けた場合、医師から5日間は出勤しないよう言われることが多いかと思います。
それにもかかわらず、感染している状態で出社して同僚にうつしてしまうというのは民法709条の不法行為に該当する可能性があります。
誰かに感染させてしまう可能性があるにもかかわらず不注意で出社しているので「過失」があったといえるからです。同僚に損害が生じていれば、損害賠償請求が認められることになります。
もちろん、損害のどこまでを賠償してもらうかは難しいところですが、治療費、もらえなかった賃金等の請求は可能でしょう。海外旅行の費用までとなると、同僚が海外旅行に行くことを知っていたかどうかなどの事情が関係してくるので悩ましい問題ではあります。
訴訟となると大変ですし、本当に同僚からうつされたのかどうかの判断も難しく、実際には損害賠償請求をするかどうかは微妙ですが、そのリスクはあるということをご理解下さい。
──会社側は感染している従業員を出社させてしまっていいのでしょうか。
従業員がインフルエンザにかかっているとわかった場合、会社は出社停止を求めることができます。会社が知っているにもかかわらず放置したような場合、安全配慮義務違反があるとして、損害賠償請求をされる可能性もあります。
なお、会社によっては就業規則の中で「インフルエンザにかかった場合は出社してはいけない」という条項を定めていることがあります。就業規則に反して出社を強行すれば、懲戒処分のリスクもありますのでご注意下さい。
いずれにせよ手洗い、うがいを励行し、身体に異変を感じたら直ぐに病院に行きたいですね。皆さん、寒いですから、ご自愛下さい。
私はインフルエンザをジムでもらったような気がするので、人出が多い場所は避けた方がいいかもしれません。というわけで今晩もジムに行ってきます(懲りない)。
【取材協力弁護士】西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。事務所名:神戸マリン綜合法律事務所事務所URL:http://www.kobemarin.com/

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