「生理中でシートには血が…」知的障害を持つ高1男子を休日に誘い、レンタカーの車内で性行為に及んだ女性教師(30)の“驚くべき弁解”とは

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都立特別支援学校の元教諭のA子(当時30歳)が、同校に通っていた当時高校1年生の男子生徒Bくんと、商業施設に駐車場に停めたレンタカーの車内で性行為をしたとして、児童福祉法違反に問われている。8月15日に東京地裁で行われた被告人質問にA子が出廷した。
【写真】A子(30)はわざわざ用意したワンボックスカーを駐車場に停め、外部から目隠しをして…
A子はBくんにレンタルの携帯電話を与えて休日に学校外に誘い出し、性行為をしたことは認めたものの、同意ではなくBくんに無理やり襲われたと主張し、起訴内容の一部を否認した。教員と生徒との間での性的関係が社会問題になる中で、厳しい判決が出るかが注目される。
法廷に現れたA子は、黒いショートヘアにメガネをかけ、口元はマスクで覆われていた。上下黒のスーツ姿だが、サイズが合っていないように見える。身長153cm、体重は本人が「犯行当時は40kgくらい」と答えるなど、小柄で非力な印象だ。証言中はマスクを外したものの、傍聴席から表情を伺うことはできなかった。
知的障害のある男子高校生を30歳の女性教師が… 写真はイメージAFLO
起訴状などによれば、A子は大学を卒業後、都内の特別支援学校で働いていた。2020年4月に軽度の知的障害があるBくんが入学し、A子が担任になった。
Bくんは軽度の知的障害のほか、自閉スペクトラム症と注意欠陥・多動性障害をもっていた。7月に学校でトラブルがおき、Bくんの父親が「余計なことはするな」と学校にクレームをいれ、Bくんを「恥晒し」と罵って暴力を振るったことが理由で、Bくんが児童相談所に保護される出来事があった。
「私の力不足を感じました。Bくんに申し訳ない、なんとかしないといけないと思いました」
「10月に保護が解除されましたが、登校初日のBくんは暗い表情でした。児相での体験がとても辛いものだったと話していました。せっかく学校へ来たので、楽しい思いをさせようと思いました。クラスの用事があるときにBくんに頼んで役割を与えると、少しずつ話をしてくれて、笑顔も見せるようになりました」
この頃からBくんは「一緒に遊びに行きたい」とA子を誘うようになったが、「そういうのはできない」と当初は拒んでいたという。しかし11月ごろ、Bくんが父親との関係を理由に「学校を辞めたい。辞めて働きたい」と言い出し、就職支援の必要性が出たことがきっかけで2人の関係性が変化していった。
被告人質問では、20年12月中旬にA子がBくんに携帯電話を渡して個人的なやりとりが始まり、その内容が性的なものだったことが明らかになった。
そして12月20日、A子は就職活動のサポートという理由でBくんを呼び出し、商業施設の駐車場に停めたレンタカーの車内で性行為に至った。
「教室で携帯電話を渡しました。そのことは学校の規定に反します。やってはいけないこととわかっていていました」
A子はBくんと携帯電話のSMSでメッセージのやりとりを始めると、対面したときのコミュニケーションとは違って、丁寧な文章でスムーズな印象だったという。
その中でA子が送ったものの中には性的なメッセージも多く含まれている。「スカートだと全部脱がされてしまいそう」「全部はしないでね」などと性行為を連想させる内容をBさんに送っている。そして、12月20日に学校外で会う約束をした。A子はその意図を「就職活動のサポートとして、介護施設の見学に行くため」と説明した。
「(性的な内容を含むメッセージを送ったのは)Aさんを喜ばせようとしたんです。絶対に20日に来て欲しかったからです。その結果、(性的なコミュニケーションを)期待させてしまうとは思っていました。でも、普段の学校での会話は目を合わせなかったので、まさか、性的なことまで踏み込んでくるとは思わなかったんです」

女性検察官が「Bくんに渡した携帯電話は何台か?」と聞かれ、A子は「2台」と答えている。自分名義でレンタルした緊急連絡先と就職先の検索用や連絡用として渡したというが、検察官に「これは担任の立場か?」と聞かれると「携帯電話を渡すのは担任としては規定に反すること、やってはいけないこととわかっていました。近くにいる大人として(渡した)」と話した。
事件が起こる前日の19日には「何しているの?」「きょう、温泉に行くか、スタバに行くか迷っている」とBくんにメッセージし、午後には「一緒に行く? お風呂は別だけどさ」とも送っている。
さらに「下着は何色が好き?」と性的なコミュニケーションも続いている。高校1年生のBくんが、先生と付き合っていると誤解するとは思わなかったのだろうか。
そして12月20日、2人はBくんの家からも学校からも近い商業施設で待ち合わせた。介護施設の見学、という理由だった。その日のA子は上がヒートテックに長袖のセーター、下はタイツにショートパンツという服装だったという。
日曜日で混み合う商業施設の駐車場にレンタカーを停め、フロントガラスには日よけを設置。車外から見えないようにドアのガラスも目隠しをした。
「Bくんとは商業施設で会いました。その後、先に私が車に行き、Bくんが遅れてきました。車内は3列シートでしたが、私は2列目の運転席側に、Bくんは3列目の助手席側に座っていました。履歴書をもってきたのかを聞きましたが、Bくんは『持ってきていない』と言いました」
A子の証言によれば、2人で介護施設の見学へ行く予定だったが、Bくんが「行きたくない」と拒否したので一度は解散しようとしたものの、Bくんが「わかった」と見学への理解を示したので商業施設の駐車場に戻ったという。
「それでもやはりBくんは話に応じず口論になり、Bくんから服を引っ張られました。気がついたら私も3列目にいて、仰向けになっていました。Bくんは私の上に乗っている状態でした。(A子は)上の服は着ていましたが、下は脱いでいました。脱がされていたのです。Bくんは体、陰部を触ってきました。最初は『やめて』と言ったと思います。叩いたり、蹴ったりしました。Bくんは力が強い。左足は怪我をしていました。右足と両腕は固定されていました。
しばらくして、Bくんは行為をやめました。飽きたのか、疲れたのかはわかりません。私は服を整えて、運転席に戻りました。私は行為について、同意をしていません。そのため、その日はショックでした」
女性検察官から「陰部を触られたといいましたが、指は入れられていますか?」と聞かれA子は「はい」と答えている。介護施設の見学に向かうのに2人きりだった理由も問われ、「学校外で会うのは禁止されているとわかっていたから」と答えている。

しかし、帰宅後も2人はメッセージのやりとりを続けている。Bくんが「今日みたいな、気持ち良いことできない?」と送ると、A子は「抱き合うの?」と返信し、「気持ちよかったの?」とも送っている。なぜ、このようなメッセージを続けたのか。
「Bくんが(車内の行為を)ポジティブに捉えていました。そう思わせていないと、Bくんと就職の話ができないと思ったんです。Bくんが<気持ちいい>と言っていたのは、肌が触れることについてではないかと思います。私は抱き合うという認識ではありませんでした。その後はそういうことはしていませんし」
その後も、性的な内容を含むメッセージやりとりは続く。20日についてA子は「会えて嬉しかった」と送り、その後も山梨や埼玉の温泉の話をしている。A子は検察官の質問に「温泉には2人で行こうとしていました。ご褒美で行ってもいいと思っていた」と述べた。
A子に対するBくんのと性的な関心は学校内でもエスカレートしていく。A子の証言によると、12月22日、BくんがA子を暗い教室に押し込み、A子が体を叩いたこともあったという。Bくんが「ごめん」と言った、とも証言している。
最初の事件から10日後の12月30日にも、A子とBくんは学校外で会う約束をした。
「私から誘いました。就職先候補の建設会社に電話しようと思っていたんです。このときも、事前に、『会社に電話をする』などの話はしていません。『ご飯を食べに行こう』『就職の話をしよう』と誘っていました」
女は30日に2人であっても、Bくんは性的な行為をしてこないだろうと思っていたという。理由は「生理の日だったから」だという。
「この日、私は生理の日でした。そのため、Bくんが性的なことはしないだろうと思っていました。一般的に、血が出ている女性の体を触りたい人はいないと思っていたからです」
そして迎えた12月30日の午後2時ごろ、2人はA子の自宅の最寄駅で合流すると、レンタカーを停めている駐車場へ。A子は車内で「建設会社に電話する」と就職についての話をしたというが、Bくんは嫌そうな表情を見せた。

そのため気分転換に2~3時間ドライブし、回転寿司店で食事をとると、前回とは別の商業施設の駐車場へ移動して車を停めた。A子は運転席、Bくんは助手席にいた。
「会社に電話をするというと、Bくんはイライラし、口論になりました。そのうち、Bくんが体を寄せてきて、私の首をヘッドロックしました。シートベルトが当たって痛いので外しました。そして、頭がBくんの膝付近、あごや首、おでこは固定されていました。そんな状態でBくんがキスをしてきました。私はその時点で動けません。
そのうち、一番後ろの3列目のシートに引きずられながら移動しました。私が仰向け、Bくんは私の上に乗っている状態です。下を脱がされて、Bくんは陰部を触ってきて性交をしました。私は生理中で血が出ていたので感染症を心配しました」
A子はBくんと性行為をしたことは認めたが、「同意していない」と主張している。
「座席のレバーが当たっていたので痛かったし、お腹も生理中で痛かったので、『やめて』と言ったり、蹴ったりしました。ただ言葉が届かない状態でしたし、ずっと抵抗はせずに、時間が経つのを待っていました。『もういいでしょ』と言うと、Bくんはやめました。Bくんは射精していません。生理中でしたので、シートには血がついていました。Bくんは、自分についた血をふいていました。その後は険悪な雰囲気で、ほとんど何も喋っていません」
険悪な雰囲気になったという一方で、帰宅後、A子はBくんに「おなか、大丈夫?」とメッセージを送っている。これは「お腹を強く蹴ったため」だという。性交について不同意だと主張しているが、「嫌だった」というメッセージは一度も送っていない。A子はその理由について、Bくんと就職の話ができなくなるのを避けるためだったと主張している。
しかし、その後も性的なメッセージは続く。
年が明けた21年1月1日、A子は「裸で抱き合うのも気持ちいいけど、今度は出すところを見てみたい」というメッセージを送っている。A子は「気持ちが不安定だったので覚えていないが、そのまま受け止めると心が壊れてしまう」と証言した。
他にも「好きだ」というメッセージや、自撮りした裸の写真を1月15、16日に送り、「エッチしたい」というメッセージ、さらには同棲の話も出している。
「今思い出すと、12月30日のことがあって、気持ちが変化したのだと思います。最初は、児童相談所で保護され、『虐待をうけてかわいそう』と思っていました。しかし、30日のことがショックで納得できるように気持ちを変化させたのだと思います。好きが含まれていました」
しかし、A子とBくんの証言は食い違っている。A子はBくんとの性的な接触は20日が初めてだと主張しているが、Bくんは「初めて車内で性交をした12月20日以前にも、学校内でキスやハグをしていた」と証言している。この点についてA子は譲らなかった。
「12月20日以前にキスやハグをしたことはありません。時間が経って、記憶が曖昧になっているのではないでしょうか。私とBくんとでは認識が違います。(中略)性交については、同意してないことは間違いないです」

その後、Bくんは児童相談所に保護されている。普段は別のところに住んでいる兄が家に来ていた。兄が帰るとき、Bくんは「バイクで事故って死なないで」と言った。それを聞いていた父親が怒って、Bくんに暴力をふるった。そのため、保護されたという。
もともとBさんの家族は学校に対して「中学時代に人とのトラブルがあった。特に異性とは関わらせないでほしい」と言われていた。
「勘違いさせることを言ってしまったことは、Bくんに申し訳ないと思います。携帯電話を渡さなければよかったと思います。本当にバカだった。女性との関係を築く上で悪影響だなと思います。父親から『異性関係のトラブル』を心配されていのに、その原因を私が作ってしまいました。心配されていた通りになってしまいました」
当事者2人の証言が食い違う車という密室内での事件。果たして裁判所はどう判断するのか。
(渋井 哲也)

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