人気格闘技イベント「ブレイキングダウン」の出場者を決めるオーディションに市議会議員が参加し、波紋が広がっている。
YouTubeで公開されている映像の総再生回数は1億回超え。
特に若い世代を中心に人気を集めている「ブレイキングダウン」。
2023年10月、議員バッジを胸元につけ、「ブレイキングダウン」のオーディションに出演したことなどが問題となっているのは、静岡県焼津市の石原孝之市議。
この石原市議の行動について、街の皆さんはどう考えているのか。
市民からは「暴力で訴えるというのは最低のことだから、市議会のバッジつけて出るのはいただけない。いいイメージは絶対ないよね。ケンカだから」「別にそんなことしなくてもいいのかなって感じですかね。ちゃんと真面目に仕事やって、若い子に頑張ってるよってところ見せればいいと思う」。こういった苦言を呈する声があがる一方で、「市議だから出ちゃいけないというのはないと思う。積極的に出たいというなら僕は賛成だね。自分を売ることは大事だろうから。そういった意味ではいいことだと思う」と応援する声も聞かれた。
しかし、焼津市の19人の市議は「議員としての品位と名誉を害した」として政治倫理審査会の審査を請求した。11月20日に市議会史上、初めてとなる政倫審が開かれた。
イット!は石原市議を直撃、問われている「議員のモラル」について、こう話した。
石原孝之市議:モラルってそれぞれの感覚によって違いがある。別にモラルに反したことをやってるとは思わない。ちゃんと仕事はやってますし、プライベートの今回ブレイキングダウンでのオーディション。大多数の方は、「おかしい」とか、「ん?」とか思うのは分かった上で…。それでも若い世代に届けたいという思いがあった。だから僕はバッジをつけて、スーツを着て出たっていう経緯になります。
ーーオーディションに参加した意図は石原孝之市議:自分の背景としては、政治家、地方政治をもう少し、この議会、政治の仕事を見える化したい思いがあり、若い人の投票率が下がっていたり、選挙離れが続いているというのをすごく危惧していて、少しでも若い人の目線で「あ、こんな議員がいるんだ」ということを知ってもらいたいというのが意図としてある。
一方で、審査を請求した議員は、石原市議の行動を批判した。
政倫審に署名した市議:市民に対して分かりやすい説明をするということと、市民の立場だったらどう思うかを常に考える。オーディション番組に自分に利するために議員バッジを利用した。それって税金使ってご自身に利するためにやっているのっていう、疑念を抱かれることそのものに、今回の倫理条例違反だと言える側面がある。
石原市議がオーディションに参加したことに問題はあるのか。地方政治に詳しい専門家は、こう話す。
東北大学大学院 河村和徳准教授:社会的な影響を考えると、勝手に出ちゃうっていうのは問題があったのかもしれない。ブレイキングダウンの持っているイメージに対して、その議員(石原市議)と周りの議員の同僚の間でギャップがあったはず。そのあたりはきちんと説明しておく必要があった。
他の議員や議会への配慮不足を指摘した一方で、こう指摘した。
東北大学大学院 河村和徳准教授:政倫審ってやっぱり重たいですし、そこに出されたことによって次の選挙に対するマイナスのイメージがつけられてしまう。わざわざ会を開いてまでやるレベルだったのか。
次回の政倫審は26日に行われるが、出席予定の石原市議は、どのような説明をするのか。(「イット!」 12月12日放送)