護送される警察車両のなかで、不敵に笑う男。ニュース映像を観て、呆気にとられた方も多いだろう。
【写真を見る】「おぞましい児童ポルノ動画を販売」 逮捕された立石容疑者
今月12日、児童ポルノ禁止法違反などの疑いで埼玉県警に逮捕された、愛媛県東温市在住の立石憲彦容疑者(63)である。自ら運営するサイトで、児童ポルノ動画を公開していたという。
県警担当記者によると、
「2022年に警察庁へ情報提供があり、埼玉県警が捜査することに。IPアドレスなどを調べたところ立石容疑者が浮上しました」
動画の内容は、
「日本人とみられる10歳前後の少女が裸で戯れている、性的な部位がはっきり写った映像です。入手経路は捜査中ですが、古いイメージビデオのような雰囲気で、児童ポルノ禁止法施行前に流通していた映像や画像を集めていた可能性がある。立石容疑者は“小児性愛者が児童に対して性犯罪を行うのを抑止するのが目的だった”“無修正の動画を公開したとは思っていない”と供述しています」
〈少女ヌード写真集〉と名付けたサイトでは、約430点に及ぶ動画や画像を、1ファイルにつき800~1万円で販売。のべ2000万円もの売り上げがあったというからおぞましい。
驚くのはその本職だ。愛媛県出身の彼は、愛媛大学医学部で学んだのち、同大学附属病院に勤務。06年からは、その5年前に買ったばかりの自宅に家族を残し、長崎県立大学看護学科教授として、単身赴任生活を送っていた。
自宅の近隣住民は言う。
「新聞に逮捕記事が出る前日、立石さんの家に見慣れない車がさかんに出入りしていて、何かあったのかなと思っていました。でも、旦那さんのことは、報道で初めて名前を知ったくらい。地元の行事にも精力的に参加する奥さんは、とても明るくて、旦那さんが単身赴任するときには、その旨をあいさつして回っていました」
その“旦那さん”には、政界と知られざるつながりがあった。関係者によると、
「彼は7年前に60歳の若さで亡くなった、自民党の白石徹衆議院議員の義弟です。白石代議士と結婚した立石の姉は、白石家の家業である建設会社の代表も務めていました」
白石代議士は早稲田大学理工学部を卒業後、実家の建設会社社長や日本青年会議所副会頭を歴任。1999年に愛媛県議となり政界デビューを果たすと、12年の衆院選で国政に進出した。
徹氏の妻に弟・立石容疑者について尋ねると、
「そもそも何年も会っていませんから……」
と述べるのみだった。
単身赴任中の立石容疑者は、大学で教鞭を執るだけでなく、訪問診療を行う医師としても活動し、医療関係者らで結成された「地域創生ケアビジネス研究会」の会長として、特に高齢者医療に力を入れていた。
ところが今年3月、彼は突然大学を辞め、逃げるように帰郷する。
「“一身上の都合”で退職し、診療所も廃止。大学側も捜査については把握していたといいます」(先の記者)
義兄・白石代議士も通った愛媛県立新居浜西高校の卒業アルバムに〈待て、而(しか)して希望せよ〉とつづった立石容疑者はいま、家族を絶望の淵に突き落とした。笑っている場合ではあるまい。
「週刊新潮」2024年11月28日号 掲載