「乱立」「混戦」「暗闘」――。今月14日、岸田文雄首相(67)が退陣を表明したことで、来月の自民党総裁選は一気に無秩序状態へと突入した。周囲に出馬の意向を表明したという小泉進次郎・元環境相(43)にささやかれている“懸念”とは――。
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周囲に出馬する意向を伝えたという進次郎氏だが、すでに大物たちが動き出しているという。
「同じ神奈川選出で、党内の非主流派を束ねる菅(義偉)前首相は、かねて目をかけており事実上の後ろ盾。さらには父・純一郎元首相のつながりで、森喜朗元首相も“進次郎支持”を旧清和会の幹部らに呼びかけているというのです」(政治部記者)
そうした大物の庇護のもと、本人は静かに始動している。党関係者によれば、
「現時点では、支持集めに奔走している側近がいるわけではない。今後、菅さんの『ガネーシャの会』などが動くにしても、支持の幅を広げるために特定のカラーがつかないよう、留意するでしょう」
もっとも、19日に出馬表明した小林鷹之・前経済安保相(49)とは、出足で差がついてしまった。
「複数の議員が動き回っている小林さんは推薦人を集めるスピードは速かったものの、情報も漏れやすかった。これとは対照的に進次郎さんは情報漏れを警戒し、自ら議員らに電話して支持を求めている。だから周囲に気付かれない一方、推薦人を確保するのに時間がかかっているのです」(同)
さながら“ステルス作戦”というわけだ。
「本人はまんざらでもありません」
そう明かすのは、本人に近い関係者である。
「2017年5月、マクロン氏がフランス史上最年少の39歳で大統領に就任しました。それを見た彼は“最年少総理”へのこだわりを強く持ち始めたのです」
ちなみに党総裁は安倍晋三元首相の51歳、そして総理大臣は伊藤博文の44歳が最年少だから、仮に選出されれば一挙更新である。実際に最近、そうした意気込みを裏付けるかのような発言もあったという。先の党関係者が明かす。
「進次郎さんは、失われた自民党への信頼はどうすれば回復できるのかという問題意識を持っており、『原点回帰が大事だ。それは自主憲法の制定にある。結党時からの約束なのに70年間履行されていない。この状況を打破しなければ』と周囲に語っていたのです」
が、総裁選を見据えたであろう突然の「タカ派発言」も、吉と出るとは限らない。
さらに進次郎氏には懸念があるといい、
「進次郎さんには奥様の滝川クリステルさんとの間に4歳の男の子、11月で1歳になる女の子がいますが、『家事を分担しており、子どもの保育園への送りは自分が、迎えは妻がしている』とのこと。会合の予定も週に2、3回しか入れられず、『なるべく早く帰って妻のワンオペの時間を減らすようにしている。そうしないと妻への“負債”がたまってくる』と話していました」(同)
就任の暁には、日本史上初の“乳児を抱えた総理”誕生で、家庭への影響も計り知れない。それでも、そんな本人の胸中を「進次郎構文」で表すとすれば、
〈総裁の任は重い。だから総裁選は重要なのです〉
といったところだろうか。
「週刊新潮」2024年8月29日号 掲載