横浜市鶴見区のマンションで昨年6月、大学生の冨永紗菜(さな)さん(当時18歳)を刺殺したとして殺人罪などに問われ、10日に横浜地裁で初公判を迎えた元交際相手の伊藤龍稀(はるき)被告(23)の裁判員裁判。
検察側は、伊藤被告が凶器の包丁を入手するため量販店に向かう車内で、「必ず刺さないと。未遂で捕まったら(被害者が)ハッピーなだけ」などと話すドライブレコーダーの記録を提出し、強固な殺意があったと主張した。
検察側の冒頭陳述によると、事件の約1週間前に伊藤被告の暴力が原因で2人は別れたが、伊藤被告はその後もSNSなどで復縁を執拗(しつよう)に迫り、冨永さんに拒まれたため、殺害に至ったという。ドライブレコーダーには、犯行後の車内で伊藤被告が「魔が差してしまいました。彼女殺しちゃいました」などと語る様子も残されていた。
一方で弁護側は、伊藤被告が小学生の頃、発達障害と診断され、障害が犯行の背景にあり、「全てをささげていた被害者に裏切られた心情があった」などと主張。包丁は被害者を脅すためのもので、計画性はなかったと訴えた。
公判では、「大切で愛するさなを殺した犯人を許せない」と述べた母親の供述調書も読み上げられた。