暖かくなるこれからの季節、登山に行く人も多いのではないでしょうか。ただ、山によっては雪が残っている場所もあり、慣れている人でも警戒する必要があります。
一面真っ白の雪に日が射す春の雪山。先月24日、新潟県にある標高1725メートルの山で、尾根歩きをしながら爽快な景色を楽しんでいた、次の瞬間でした。突然雪が崩れ、そのまま転げ落ちます。
響く男性の叫び声。転がる勢いは止まりません。帽子や靴が次々と脱げていきます。
登山コースから外れた危険な雪山を滑り続けることおよそ40秒。仲間を呼ぶ男性の声が…。500メートルもの距離を滑り落ちましたが、幸いけがはありませんでした。
男性は、オーストラリア出身のバートロさん。日本に住みながら、英会話教室や大学で英語を教えています。5年ほど前から登山にはまり、日本100名山も制覇しました。
当時の状況を話してくれたバートロさん。360度カメラを持ちながら歩いていたため、転落の一部始終が収められていました。
滑っている時、頭によぎったものは何だったのでしょうか。
事故が起きた直後に撮られた写真です。バートロさんは、尾根から、ここまで滑り落ちたと言います。
実はこの写真に、山に潜む危険が写り込んでいました。
この日、バートロさんは登山仲間と中学生の息子の3人で山に登っていました。落ちる直前、後ろを歩いていたのが息子のローランドさんでした。
他の2人は巻き込まれずに済み、その後、合流することができました。
春の雪山登山の危険。豊富な経験のあるバートロさんは頂上の気温や、直近に登山した人のルートを調べるなど、万全の準備をして臨んだといいます。それでも、事故に巻き込まれてしまいました。
専門家は、次のように話します。
雪庇とは、屋根に積もった雪が風にあおられ、風下の方向に向かって落ちそうになっている状態のことです。これが、雪山にもできるというのです。
落ちる前の映像を改めて見ると、先に歩いた人の足跡が残っています。一見、安全のように見えますが足跡に沿って、割れていくのが分かります。
(「グッド!モーニング」2024年4月1日放送分より)