国民民主党の伊藤孝恵参議院議員が2024年3月28日、Xに投稿した内容が大きな反響を呼んでいる。
伊藤議員はこの日、令和6年度の予算三案に関する反対討論で本会議に登壇。冒頭に「私が就職活動で100社もの会社に落ちた1997年…」と話し始めたところ、議場からこんな反応が起こったという。
伊藤議員は投稿の最後に、涙をこらえ笑顔を作るアイコンをつけておどけた。しかし、この投稿を読んだ他のユーザーからは、伊藤議員を嘲笑した議員に対し「許せない」などと厳しい反応が起こった。
なかでも、「40代単身世帯」を名乗るユーザーが憤りをあらわにした投稿は、5.3万ものいいねを集めている。
就職氷河期世代とは、バブル経済崩壊後の1993年から2005年ごろに大学を卒業し、企業の新卒採用絞り込みによる深刻な就職難に遭遇した人たち。伊藤議員は1975年生まれで、氷河期真っ只中の1998年3月に金城学院大学文学部を卒業している。
1998年卒の就活状況は、前年1997年の消費税引き上げ(4月)やアジア通貨危機(7月)、不良債権処理の失敗による北海道拓殖銀行や山一證券の経営破綻(11月)などが影響し、大卒者の卒業者就職率は65.6%まで冷え込んだ。さらに翌1999年には60.1%、2000年には55.8%にまで落ち込んでいく。
伊藤議員自身は、テレビ東京系列のテレビ大阪に営業として入社し、後に報道へ異動。ニート問題を取り上げたドキュメンタリー番組「ぼくたちの敗者復活戦~ニート300日の記録~」を制作し、第1回TXNドキュメンタリー大賞を受賞している。
伊藤議員の「100社もの会社に落ちた」については、大げさに盛っているのでは、と冷ややかな反応もあったが、当時を知る人たちから補足の投稿も見られる。たとえば、このようなものだ。
「その投稿見ました」――。派遣社員を経て、現在は都内のIT企業で働いている40代女性A子さんは、この問題を笑う国会議員がいたことに驚いたという。
大学で労働法を学んだA子さんによれば、日本の解雇規制は、会社が破綻寸前にならなければ経営上の理由によるリストラを許さず、既存社員の解雇をする前に、新卒採用をストップしなければならないという。
氷河期世代は、親世代の「団塊世代」の雇用を守るための犠牲になった側面も考えられ得る。とはいえ、親亀がコケれば子亀もコケるリスクもあった。