3日午後2時37分頃、宮崎市消防局に「(宮崎市の私立鵬翔(ほうしょう)高の)グラウンドに落雷があり、複数のけが人がいる」と119番があった。
落雷時、グラウンドでは鵬翔高と熊本県立鹿本(かもと)高(熊本県山鹿市)のサッカー部員が練習試合などを行っており、同消防局や鹿本高によると、高校生18人が救急車やバスで宮崎市内の病院に搬送され、9人が入院し、うち2人が重症という。
現場は、宮崎産業経営大に隣接する鵬翔高グラウンド(宮崎市古城町)。鵬翔高によると、落雷時は同高サッカー部員同士の練習試合中で、鹿本高の部員たちは人工芝のピッチサイドで試合前のウォーミングアップをしていた。雷はピッチサイドに落ちたとみられる。グラウンド全体には当時、100人以上の選手や指導者がいたという。
鹿本高の淀川壮之典(そうのすけ)教頭によると、同日午後2時50分頃に「(鹿本高の)部員4人が救急車で搬送された」と連絡を受けた。搬送時、部員2人の意識がなく、うち1人は回復したが、1人は集中治療室に入っているという。他の同高部員14人も受診し、合計で9人が入院したとしている。
鹿本高サッカー部は1泊2日の合宿で、2日から宮崎市を訪れていた。2、3年生の部員26人と顧問ら3人が参加していた。淀川教頭は「被害に遭った生徒の無事を第一に祈っている。保護者にも速やかに情報を伝えたい」と話した。
宮崎地方気象台は2日夕、宮崎県内全域に3日明け方以降を対象とした雷注意報を発表。3日早朝には、局地的に積乱雲が発達して落雷などの恐れがあると発表し、落雷事故があった同日午後も注意報は継続されていた。現場近くにいた関係者は取材に対し、事故当時の天候について「雨が降っており、急に光って『ドン』と大きな音が鳴った」と話した。
鵬翔高の富山晃一教頭は、詳細は確認中とした上で、「学校には落雷の対応を定めたマニュアルがあるが、今回は雷の予兆はなく、退避を考えられる状況ではなかった」と述べた。
■競技中 過去に死亡事故も
スポーツ競技中の落雷事故は過去にも起きている。大阪府高槻市で1996年、サッカーの試合中に起きた事故では高校生が重度の障害を負った。2014年は愛知県内の私立高グラウンドでマウンドにいた野球部員が落雷で死亡した。
日本サッカー協会は「サッカー活動中の落雷事故の防止対策についての指針」を策定し、「落雷の予兆があった場合は速やかに活動を中止する」などと明記。宮崎県サッカー協会も指針に沿っているという。
福岡管区気象台によると、3日は九州の上空を気圧の谷が通過し、積乱雲が発達。九州全域で大気が不安定となり、雷が発生しやすい状態が続いた。気象庁や日本大気電気学会は、建物や車などに避難できない場合、電柱や鉄塔など高さのある物体から4メートル以上離れた場所で姿勢を低くし、雷が収まって20分以上経過してから安全な場所へ移動することを勧めている。