お花見に歓送迎会とお酒を飲む機会が多い時期ですが、20代から30代を中心に「あえて飲まない」人が増えています。花見客の集まる公園などでその現状を取材しました。

新型コロナが5類に移行してから初めての花見シーズンが到来。観測史上最も早い開花だった去年は、3月末には見頃を迎えていましたが…今年は過去11年で最も遅い開花となり、「花見」というより、まだ「枝見」といったところ。ただ、30日は今年一番の暖かさとなり、絶好の“宴会日和”です。

30代前半の女性たちは全員、ソフトドリンクです。今、「Z世代」と呼ばれる若い世代を中心にお酒を飲まない人が増えています。

酒を飲まない 30代前半

「私もう飲まない」

「(Q.なぜ飲まない?)年齢とともに弱くなってきた。コロナ禍になってあまり飲まなくなった気がする」

「私もう2年くらい飲んでいない。2、3年飲んでいない。出産もあったので」

「私の周りの若い人は誰も飲まない」

“あえてお酒を飲まない”選択をするライフスタイルは「ソバーキュリアス」と呼ばれています。なぜ、あえて飲まないのでしょうか。

酒を飲まない 30代前半

「次の日に思ったよりもお酒が残っていて、体調が悪くなる。お酒がなくても楽しいので、なくても良い」

「飲んでいない時の方がちゃんと眠れている気がする。飲んだ時は眠りが浅くなっている気がする。飲みたくない人が飲まないのが通るようになってきた。『ソフトドリンク』でと一杯目で言いやすくなった」

「(Q.昔は通らなかった?)初めのビール、とりあえずのビールは上司から言われたら飲まざるを得ない」

「ビール嫌いだけど、みたいな」

「『初めの乾杯が滞るから初めはビールにしなさい』と言われた」

一方、昭和や平成を知る世代は…。

職場の仲間 50から60代

「地酒のいいやつ」

「(Q.きょうは何時から飲んでいる?)7時」

「(Q.新人だった20代、先輩からのお誘いは)絶対、服従する。言われたら従わざるをえない。今と全然違う」

「それぞれの飲み方があって、その飲み方のなかで話ができればいいやみたいな」

バブル景気に沸いた1990年。夜の繁華街ではタクシーがつかまらないほど、何軒もはしご酒する人たちであふれていました。ところが、酒類の消費量は1990年代をピークに減少の一途をたどっています。

お酒をあえて飲まない「ソバーキュリアス」が増えるなか、大手ビールメーカーは新たな戦略に打って出ます。

アサヒビールが出資する立ち飲み形式のバー。コンセプトは「サクッと集まって酔わなくても楽しめる」です。ドリンクはアルコール度数0%、0.5%、3%から選べます。目指すは「スマートドリンキング」という新たな飲み方です。

アサヒビール 新価値創造推進部長 高橋徹也さん

「『あなたはお酒が強くないのであればアルコール度の低いドリンクにしましょう』と勧め合って皆で楽しく飲めるのがスマートドリンキング」

ドリンク1杯から2杯と軽食で、客単価は1000円から2000円を見込んでいます。従来よりも客単価は下がるものの、タイムパフォーマンスを重視して若者層の獲得を狙います。

アサヒビール 新価値創造推進部長 高橋徹也さん

「Z世代ミレ二アル世代はライフスタイルが変化していて、やりたいことがたくさんありすぎる。『夜、飲んでいる場合じゃない』という人もいる。タイムパフォーマンスを重視しているというトレンドがあるのかなと。缶1本でその日の出来事を共有し合う“ワンカン”という言葉がZ世代で定着していることに象徴される。缶1本で短い時間で気軽に相手とサクッと気持ちを共有する時間があればいいというのが増えている」