90年以上の歴史を持つ東京・上野動物園の「サル山」が老朽化などに伴い取り壊されることになった。

■ニホンザルのすみか…90年以上の歴史

東京・上野動物園のニホンザル展示施設「サル山」。園内にある最も古い施設で、老朽化などに伴い取り壊されることになった。

日本で最初の動物園として、1882年(明治15年)に開園。その後、1932年(昭和7年)にサル山が完成した。

千葉県の房総半島の山々を参考につくられ、これまで90年以上、ニホンザルのすみかとして歴史を刻んできた。

過去には、こんなニュースでも注目された。

東映ニュース(1960年2月10日)

「東京・上野動物園のサル山で、妻の座を巡っての時ならぬ大乱闘が起こりました。病気全快して1カ月ぶりに退院したボスの第1夫人だったモモコと、その留守中モモコに替わってちゃっかり後釜に座っている若いグラマー、ホウシとの間に激しい愛の戦いが始まりました。かくて、サル山の新女王に収まったホウシは意気揚々。一方モモコは、幼い我が子と寂しそう。サル山に起こった、人間様も顔負けのお家騒動の一幕でした」

■国の天然記念物「北限のニホンザル」由来の38頭が飼育

現在は、青森県・下北半島に生息する国の天然記念物「北限のニホンザル」由来の38頭がサル山で飼育されている。野生のニホンザルが増えすぎて農業被害が深刻化していた青森県むつ市から、2009年に21頭を引き取ったのが始まりだ。

青森・むつ市 宮下順一郎市長(2009年4月当時)

「サルとのあつれきがあり、救いの手が伸べられた。非常に感謝申し上げます。サル山で公開されて、都会の子どもたち、動物に対する思い、自然に対する思い。そうした教育が展開されるのを期待する」

地元住民も、「殺される運命にあったサルが上野動物園に行くのは寂しい反面はあるが、命が助かってよかったのが正直なところ。東京の人たちにも、かわいがっていただきたい」と言っていた。

上野動物園側は、引き取る理由について次のように話していた。

上野動物園 井田素靖教育普及係長(当時)

「上野動物園で飼っているニホンザルが、野生下にいるニホンザルではない。純粋のニホンザルの飼育をしたかった。野生下動物の保全、増殖などの目的のために研究」

「動物園の目指す取り組みでもある固有亜種の保存と、調査・研究」が引き取った理由だという。

■“アニマルウェルフェア”に基づき建設

こうしたニホンザルのすみかであるサル山が老朽化などに伴い、リニューアルすることが分かった。

新たな施設は「できる限り動物が健康でストレスなく過ごせるように」と、世界や日本の動物園などで広がっている「動物の福祉(アニマルウェルフェア)」の考えに基づいて建設されるという。

上野動物園によると、ニホンザルは寒さに強いものの、汗をあまりかかず、暑さにはとても弱い動物だという。

コンクリート製のサル山は夏場、太陽の照り返しなどで気温が上昇する。

サル山を取り壊し、サルが暑さをしのげるよう日影ができやすい人工の木を植えるなど、森のようなつくりの施設になる計画だとしている。

リニューアル工事は早ければ、来年3月ごろから始まる予定だという。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年3月29日放送分より)