インフルエンザの流行が続いています。近年にない2回目のピークを迎えた今シーズン。背景には何があるのでしょうか?急増する「B型」の特徴を専門家に聞きます。
【写真を見る】インフルエンザ異例の2度流行 “ジワジワ発症して長引く”「B型」の特徴は【ひるおび】
全国的に増加傾向にあった季節性インフルエンザ。患者数は6週ぶりに減少しました。しかし都道府県別に見ると、福岡県、大分県の2県で警報レベルの目安となる30人を超えている他、未だ警報レベルに近い地域もあります。
学校でも感染は広がっています。厚労省の発表によると、全国4570校に影響が出ていて、学年閉鎖は昨年同時期の約2.5倍、学級閉鎖は約2倍となっています。
北区のいとう王子神谷内科外科クリニックでは、インフルエンザB型の患者が急増しているといいます。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:過去記憶にないくらいB型の患者さんが多いです。インフルエンザAの大きな波とインフルエンザBの大きな波が2つのコブになっているのが今年の特徴だと思います。3月の中旬ぐらいまでは、インフルエンザBの患者さんが多い状況が続くのではないかと思います。
厚労省が発表した1医療機関あたりの患者数を見ると、12月初旬に33.7人という警報レベルの人数が出てから一度下がり、再び上がって2月の上旬には23.9人と2度目のピークに。最新(2月12日~18日)のデータでは20.64人と少し下がったものの、注意報レベルの10人を超えています。
伊藤院長によると、このように1シーズンに2度流行期があるのは珍しく、2回目の流行は、A型がB型に置き換わって猛威を振るっているということです。
A型とB型は、流行の仕方や症状に違いがあります。
≪A型≫▼毎年流行期がある▼急な発熱で激しい症状▼全国的に流行
≪B型≫▼2~3年に1度流行▼微熱から始まり高熱になるなど、ジワジワと発症して症状も長引く▼地域的に流行
A型に感染した人も、B型を発症する可能性があります。慶応大学医学部の菅谷憲夫客員教授によると、「B型は子どもがかかると症状が重くなる傾向にある」ということです。
伊藤院長:症状が長引いたり、割れるような頭痛や夜も眠れないような咳、吐き気・嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状を訴えたりする患者さんが多くなっています。症状が複数あると、お子さんなどは長期にわたってつらい症状が続き、点滴が必要になることもあります。
恵俊彰:タミフルやリレンザなど、処方する薬はA、B一緒なんですか?
伊藤院長:基本的には4つの内服や吸入の薬がどれも有効なんですが、ウイルスの特性と薬の組み合わせによっては多少効きやすさに違いがあると言われています。本当は年齢や症状、インフルエンザABによって薬を使い分けたいところですが、急にBが大流行したので一部のインフルエンザBにできれば使いたいという薬がない、ということが今起こっています。それも症状がすぐ治まらない一つの要因になっていると思います。
なぜB型インフルエンザが流行しているのでしょうか。慶応大学医学部の菅谷憲夫客員教授は、「本来地域的に流行するB型が全国的に広まっていることを考えると、コロナが5類に移行したことも関係しているのでは」と話します。
具体的な要因としては・・・◆ここ4年間はB型の流行期がなく免疫を持たない人が多い◆観光客など人の移動が感染を拡大◆コロナが5類に移行しA型の流行開始が早まった(本来11月頃始まるインフルエンザの流行が9月頃から始まっていたので、B型が今の時期に増えている)などが考えられるそうです。
恵俊彰:インフルエンザってもう「通年流行っている」印象ですよね。
弁護士 八代英輝:本当ですね。でもワクチンを打てる期間は限られていますから、そう考えるとちょっと怖いですよね。
家族の中で誰かがインフルエンザにかかってしまうと、看病した人への感染が続いてしまうことがあります。看病をする際に気を付けることは何があるのでしょうか。
伊藤院長:医療従事者が実際に患者さんをお世話するときには「N95」という気密性の高いマスクやフェイスガード、手袋などで万全を尽くすわけですが、家庭においては限界もあると思います。
≪家庭での感染対策≫▼不織布のマスク▼うがい▼できれば手袋をつける▼石鹸を使った流水での手洗いとアルコール消毒▼換気を十分する▼空気清浄機をつける▼入浴やシャワーでしっかりとウイルスを洗い流す
恵俊彰:「N95」マスクは普通に売っているんですか?
伊藤院長:コロナの初期の頃はなかなか手に入らなくて我々も困ったんですけど、今は手に入りやすい状況にあると思います。例えば家族の方が受験を控えていて、もう誰も感染することができないという状況であれば手に入れるのも一つの方法です。
空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下してインフルエンザにかかりやすくなります。室内では、加湿器や濡れたタオルを干すなどして湿度を50~60%ぐらいに保つことが良いとされています。
伊藤院長:感染症的には(外の)湿度が30%を切ってくると危ないと言われています。この時期はウイルスが非常に長い間、空気中に浮遊する時期だと思います。
(ひるおび 2024年2月27日放送より)