防衛省は31日、海上自衛隊の部隊でセクハラ被害を受けた女性隊員に対して、上司が加害者の男性隊員と面会するよう求め、直接謝罪を受けさせていたことを明らかにした。女性はその後、退職した。部隊の幹部らは内規に反して、被害を把握してから約3カ月にわたり上級部隊に報告していなかった。海自が経緯を調べており、男性や幹部の処分を検討している。
海自上司、セクハラ被害者に加害者との面会強要 同省や海自によると、被害を受けたのは、呉地方総監部(広島県)の管轄する部隊に所属していた女性。昨年8~12月、休憩中に先輩の男性から背中から抱きつかれたり、胸を触られたりした他、性的な発言も聞かされた。男性は退職後に再任用され、年齢や階級は男性の方が上だった。
昨年11月、女性が被害を直属の上司に相談。男性は注意を受けたが、セクハラ行為は続いた。女性は同12月に再び被害を訴えて、報告を受けた部隊ナンバー2の1等海佐が男性に事実確認をした。1佐はこの場に女性を呼び出し、男性から直接謝罪を受けさせた。女性が面会を嫌がっているのを1佐は把握していた。 1佐は海自の内部調査に「2人がこの事案を乗り越えて先に進むためには、謝罪が必要だと考えた」などと話したという。面会の際、1佐が「(男性は)組織にとって必要な人間」などと男性を励ますような言葉を掛けたとの情報もあり、海自は事実関係を調べている。 セクハラ被害は昨年11月の段階で部隊トップの部隊長(その後定年退職)と1佐に報告が上がっていた。海自の内規では上級部隊に速やかな報告が必要だが、今年2月までいずれも怠っていた。女性が今年になって退職を申し出た際、男性のセクハラ行為と上司の対応が許せない趣旨の説明があり、これを受けて上級部隊に報告した。 木原稔防衛相は31日の閣議後記者会見で「被害者の心情に寄り添うことなく、言語道断。法令に基づき厳正に対処する」と述べた。ハラスメントへの厳正対処を求める防衛相指示を30日付で出したことも明らかにした。【松浦吉剛、源馬のぞみ】
同省や海自によると、被害を受けたのは、呉地方総監部(広島県)の管轄する部隊に所属していた女性。昨年8~12月、休憩中に先輩の男性から背中から抱きつかれたり、胸を触られたりした他、性的な発言も聞かされた。男性は退職後に再任用され、年齢や階級は男性の方が上だった。
昨年11月、女性が被害を直属の上司に相談。男性は注意を受けたが、セクハラ行為は続いた。女性は同12月に再び被害を訴えて、報告を受けた部隊ナンバー2の1等海佐が男性に事実確認をした。1佐はこの場に女性を呼び出し、男性から直接謝罪を受けさせた。女性が面会を嫌がっているのを1佐は把握していた。
1佐は海自の内部調査に「2人がこの事案を乗り越えて先に進むためには、謝罪が必要だと考えた」などと話したという。面会の際、1佐が「(男性は)組織にとって必要な人間」などと男性を励ますような言葉を掛けたとの情報もあり、海自は事実関係を調べている。
セクハラ被害は昨年11月の段階で部隊トップの部隊長(その後定年退職)と1佐に報告が上がっていた。海自の内規では上級部隊に速やかな報告が必要だが、今年2月までいずれも怠っていた。女性が今年になって退職を申し出た際、男性のセクハラ行為と上司の対応が許せない趣旨の説明があり、これを受けて上級部隊に報告した。
木原稔防衛相は31日の閣議後記者会見で「被害者の心情に寄り添うことなく、言語道断。法令に基づき厳正に対処する」と述べた。ハラスメントへの厳正対処を求める防衛相指示を30日付で出したことも明らかにした。【松浦吉剛、源馬のぞみ】