(写真:Luce / PIXTA)
AI時代に求められる子どもの能力とは? それをつかむために親は何をすべきで、何をすべきではないのか。『週刊東洋経済』11月4日号では「AI時代の子育ての教科書」を特集。悩める子育て世代に、最新かつ最強の子育てガイドをお届けする。
AI時代、求められる力として最も重要と考えられているのが「創造力」だ。与えられる仕事を正確にこなすのではなく、ゼロから1を生み出し、新たな価値をつくる能力が重んじられる。

影響が及ぶのは職業選択の面だけではない。さまざまな情報やサービスが生み出される社会においては、受け身的な姿勢でいるとそれらを使いこなせなくなる。生活を楽しむこともできなくなる可能性があるのだ。創造力を育むために欠かせないのが、試行錯誤する姿勢だ。挑戦と失敗の繰り返しとも言い換えられる。新しいことに挑戦し、失敗から学ぶ経験を何度も重ねるうちに、ゼロから1を生み出す力がつく。挑戦を邪魔せず見守る子育てにおいて大事なのは、親がそうした子どもの挑戦を邪魔せず、見守ることだ。しかし、親はこれまで自分が受けてきた教育や、(自分が思い込んでいる)一般常識、子どもを心配する気持ちなどから、ついつい子どもの挑戦を阻んでしまうことがある。ここでは、そうした親がやってしまいがちな行動を5つ挙げ、それぞれなぜいけないのか、の理由と併せて解説していく。1つ目が、「子どもの判断をせかしたり、口を出したりする」だ。親としては、自分や周囲の経験や失敗を踏まえてアドバイスしたくなるが、それらは子どもにとっては「自分に関係のない情報」であり、自分の将来を決めつけられたように感じてしまう。また親が口や手を出すと、子どもの「自己決定」の機会を奪うことになる。自分で決めたことはやる気になるし、やってみた結果の失敗あるいは成功体験から学ぼうという気持ちも強くなる。自己決定は、モチベーションアップやスキルアップの大きな要素となっているのだ。子どもの成長にどれほどマイナスとなるかがわかるだろう。将来の道を勝手に決めない第2が、「子どもの将来の道を勝手に決める」である。とくに今は中学受験を考える親が多くなっている。親の立場からすれば中高一貫校が将来のために有利と考えるかもしれないが、子どもからすれば、中学校で受験をしたいかどうか、と考えることを省略されてしまっている状態だ。実際の教育現場でも、無理して受験し、ストレスを抱えてしまっている子どもは多い。勉強は本来、自ら好奇心を発揮して学べば楽しいもの。選択権を無視して受験をさせることにより、子どもの好奇心や自主的な学びの意欲をそいでしまうことになる。ただし、選択を助けるのは大切だ。例えば「中高一貫校はこんなところらしいよ」「中学で受験しない場合は高校や大学の受験もあるよ」などと、中学受験の意味やメリット・デメリット、ほかの選択肢などを伝えるとよい。第3が、「子どもに問いを投げかけない」だ。親も日々忙しく、丁寧な会話をするのは難しいかもしれない。しかし子どもは親との対話を通じてさまざまな能力を育てていくので、会話の時間はできるだけ大切にしたい。お薦めなのは、子どもが体験したことについて「どうだった?」「どう思った?」などの問いかけを行うことだ。例えば体験学習のプログラムを受けたとしても、体験して終わり、では効果が半減してしまう。どんなことがよかったか、成功したことや失敗したこと、次はどうしたらよいかなどの「振り返り」で、試行錯誤の習慣がつき、創造力が身に付いていく。小学高学年ぐらいまでは、自分の力でそうした振り返りをするのがまだ難しい。親が問いかけをしてやると、自分で体験を思い出し、自分の気持ちや思い、考えたことを言葉にして、体験として積み重ねていくことができる。親も積極的に挑戦第4が、「子どもには挑戦を促すが、親は挑戦しない」である。「起業家をどう育成するか」という質問を受けることがよくあるが、周囲に起業家がいれば自然と起業家が育つ、とお答えしている。つまり、挑戦する雰囲気が周囲の人間にあれば、子どももおのずと新しいことにチャレンジするようになるということだ。実際には、子どもには中学受験を勧めたり新しいことへの挑戦を奨励したりするのに、自身は保守的で変化のない日常を送っている親が多い。子どもは意外に大人の雰囲気や行動を観察している。まず親が率先して、新しい趣味を始める、新しいサービスや商品を試してみるなど、普段と変わったことを行うようにしていると、子どももそれを当たり前のように感じ、同じように振る舞うようになる。最後が、「ネガティブな言葉で子どもの挑戦を阻む」だ。「難しすぎるんじゃないか」「どうせ失敗する」などネガティブな言葉をかけると、当然ながら挑戦の意欲を失ってしまう。また失敗したときに、親が「ほら言ったでしょう」などと言うのも、ありがちなNG行為だ。本来は失敗から学んで成長していくべきはずなのに、経験から学びを得られないばかりか、挑戦を恐れるようになってしまう。失敗したとしても、挑戦したことに対する称賛の言葉をかけてやったほうがよい。やりたいことには後押しを子どもがやりたいことには後押しを。例えば最近多い将来の夢は「YouTuberになりたい」だ。親としては心配だが、「やってみたら?」でよい。すぐに挑戦できるし、自分で試みて向き不向きを判断したり、映像制作など別の道に進むヒントを得たりするかもしれない。AI時代とはいっても、子育てや教育に関しての根本は大きくは変わらない。子どもを見守り、普段から考えや気持ちを把握しておくことは変わらず大事だ。また、対話しながら一緒になって考えると、創造力の源泉である好奇心が育まれていく。子どもの頭は柔軟性が高く、中学3年生ぐらいまでは、3カ月もあれば教え方や環境に応じて変わってくる。(構成:圓岡志麻)(西山 恵太 : CURIO SCHOOL 代表取締役)
AI時代、求められる力として最も重要と考えられているのが「創造力」だ。与えられる仕事を正確にこなすのではなく、ゼロから1を生み出し、新たな価値をつくる能力が重んじられる。
影響が及ぶのは職業選択の面だけではない。さまざまな情報やサービスが生み出される社会においては、受け身的な姿勢でいるとそれらを使いこなせなくなる。生活を楽しむこともできなくなる可能性があるのだ。
創造力を育むために欠かせないのが、試行錯誤する姿勢だ。挑戦と失敗の繰り返しとも言い換えられる。新しいことに挑戦し、失敗から学ぶ経験を何度も重ねるうちに、ゼロから1を生み出す力がつく。
子育てにおいて大事なのは、親がそうした子どもの挑戦を邪魔せず、見守ることだ。
しかし、親はこれまで自分が受けてきた教育や、(自分が思い込んでいる)一般常識、子どもを心配する気持ちなどから、ついつい子どもの挑戦を阻んでしまうことがある。
ここでは、そうした親がやってしまいがちな行動を5つ挙げ、それぞれなぜいけないのか、の理由と併せて解説していく。
1つ目が、「子どもの判断をせかしたり、口を出したりする」だ。親としては、自分や周囲の経験や失敗を踏まえてアドバイスしたくなるが、それらは子どもにとっては「自分に関係のない情報」であり、自分の将来を決めつけられたように感じてしまう。また親が口や手を出すと、子どもの「自己決定」の機会を奪うことになる。自分で決めたことはやる気になるし、やってみた結果の失敗あるいは成功体験から学ぼうという気持ちも強くなる。自己決定は、モチベーションアップやスキルアップの大きな要素となっているのだ。子どもの成長にどれほどマイナスとなるかがわかるだろう。将来の道を勝手に決めない第2が、「子どもの将来の道を勝手に決める」である。とくに今は中学受験を考える親が多くなっている。親の立場からすれば中高一貫校が将来のために有利と考えるかもしれないが、子どもからすれば、中学校で受験をしたいかどうか、と考えることを省略されてしまっている状態だ。実際の教育現場でも、無理して受験し、ストレスを抱えてしまっている子どもは多い。勉強は本来、自ら好奇心を発揮して学べば楽しいもの。選択権を無視して受験をさせることにより、子どもの好奇心や自主的な学びの意欲をそいでしまうことになる。ただし、選択を助けるのは大切だ。例えば「中高一貫校はこんなところらしいよ」「中学で受験しない場合は高校や大学の受験もあるよ」などと、中学受験の意味やメリット・デメリット、ほかの選択肢などを伝えるとよい。第3が、「子どもに問いを投げかけない」だ。親も日々忙しく、丁寧な会話をするのは難しいかもしれない。しかし子どもは親との対話を通じてさまざまな能力を育てていくので、会話の時間はできるだけ大切にしたい。お薦めなのは、子どもが体験したことについて「どうだった?」「どう思った?」などの問いかけを行うことだ。例えば体験学習のプログラムを受けたとしても、体験して終わり、では効果が半減してしまう。どんなことがよかったか、成功したことや失敗したこと、次はどうしたらよいかなどの「振り返り」で、試行錯誤の習慣がつき、創造力が身に付いていく。小学高学年ぐらいまでは、自分の力でそうした振り返りをするのがまだ難しい。親が問いかけをしてやると、自分で体験を思い出し、自分の気持ちや思い、考えたことを言葉にして、体験として積み重ねていくことができる。親も積極的に挑戦第4が、「子どもには挑戦を促すが、親は挑戦しない」である。「起業家をどう育成するか」という質問を受けることがよくあるが、周囲に起業家がいれば自然と起業家が育つ、とお答えしている。つまり、挑戦する雰囲気が周囲の人間にあれば、子どももおのずと新しいことにチャレンジするようになるということだ。実際には、子どもには中学受験を勧めたり新しいことへの挑戦を奨励したりするのに、自身は保守的で変化のない日常を送っている親が多い。子どもは意外に大人の雰囲気や行動を観察している。まず親が率先して、新しい趣味を始める、新しいサービスや商品を試してみるなど、普段と変わったことを行うようにしていると、子どももそれを当たり前のように感じ、同じように振る舞うようになる。最後が、「ネガティブな言葉で子どもの挑戦を阻む」だ。「難しすぎるんじゃないか」「どうせ失敗する」などネガティブな言葉をかけると、当然ながら挑戦の意欲を失ってしまう。また失敗したときに、親が「ほら言ったでしょう」などと言うのも、ありがちなNG行為だ。本来は失敗から学んで成長していくべきはずなのに、経験から学びを得られないばかりか、挑戦を恐れるようになってしまう。失敗したとしても、挑戦したことに対する称賛の言葉をかけてやったほうがよい。やりたいことには後押しを子どもがやりたいことには後押しを。例えば最近多い将来の夢は「YouTuberになりたい」だ。親としては心配だが、「やってみたら?」でよい。すぐに挑戦できるし、自分で試みて向き不向きを判断したり、映像制作など別の道に進むヒントを得たりするかもしれない。AI時代とはいっても、子育てや教育に関しての根本は大きくは変わらない。子どもを見守り、普段から考えや気持ちを把握しておくことは変わらず大事だ。また、対話しながら一緒になって考えると、創造力の源泉である好奇心が育まれていく。子どもの頭は柔軟性が高く、中学3年生ぐらいまでは、3カ月もあれば教え方や環境に応じて変わってくる。(構成:圓岡志麻)(西山 恵太 : CURIO SCHOOL 代表取締役)
1つ目が、「子どもの判断をせかしたり、口を出したりする」だ。
親としては、自分や周囲の経験や失敗を踏まえてアドバイスしたくなるが、それらは子どもにとっては「自分に関係のない情報」であり、自分の将来を決めつけられたように感じてしまう。また親が口や手を出すと、子どもの「自己決定」の機会を奪うことになる。
自分で決めたことはやる気になるし、やってみた結果の失敗あるいは成功体験から学ぼうという気持ちも強くなる。自己決定は、モチベーションアップやスキルアップの大きな要素となっているのだ。子どもの成長にどれほどマイナスとなるかがわかるだろう。
第2が、「子どもの将来の道を勝手に決める」である。とくに今は中学受験を考える親が多くなっている。親の立場からすれば中高一貫校が将来のために有利と考えるかもしれないが、子どもからすれば、中学校で受験をしたいかどうか、と考えることを省略されてしまっている状態だ。
実際の教育現場でも、無理して受験し、ストレスを抱えてしまっている子どもは多い。勉強は本来、自ら好奇心を発揮して学べば楽しいもの。選択権を無視して受験をさせることにより、子どもの好奇心や自主的な学びの意欲をそいでしまうことになる。
ただし、選択を助けるのは大切だ。例えば「中高一貫校はこんなところらしいよ」「中学で受験しない場合は高校や大学の受験もあるよ」などと、中学受験の意味やメリット・デメリット、ほかの選択肢などを伝えるとよい。
第3が、「子どもに問いを投げかけない」だ。親も日々忙しく、丁寧な会話をするのは難しいかもしれない。しかし子どもは親との対話を通じてさまざまな能力を育てていくので、会話の時間はできるだけ大切にしたい。
お薦めなのは、子どもが体験したことについて「どうだった?」「どう思った?」などの問いかけを行うことだ。
例えば体験学習のプログラムを受けたとしても、体験して終わり、では効果が半減してしまう。どんなことがよかったか、成功したことや失敗したこと、次はどうしたらよいかなどの「振り返り」で、試行錯誤の習慣がつき、創造力が身に付いていく。
小学高学年ぐらいまでは、自分の力でそうした振り返りをするのがまだ難しい。親が問いかけをしてやると、自分で体験を思い出し、自分の気持ちや思い、考えたことを言葉にして、体験として積み重ねていくことができる。
親も積極的に挑戦第4が、「子どもには挑戦を促すが、親は挑戦しない」である。「起業家をどう育成するか」という質問を受けることがよくあるが、周囲に起業家がいれば自然と起業家が育つ、とお答えしている。つまり、挑戦する雰囲気が周囲の人間にあれば、子どももおのずと新しいことにチャレンジするようになるということだ。実際には、子どもには中学受験を勧めたり新しいことへの挑戦を奨励したりするのに、自身は保守的で変化のない日常を送っている親が多い。子どもは意外に大人の雰囲気や行動を観察している。まず親が率先して、新しい趣味を始める、新しいサービスや商品を試してみるなど、普段と変わったことを行うようにしていると、子どももそれを当たり前のように感じ、同じように振る舞うようになる。最後が、「ネガティブな言葉で子どもの挑戦を阻む」だ。「難しすぎるんじゃないか」「どうせ失敗する」などネガティブな言葉をかけると、当然ながら挑戦の意欲を失ってしまう。また失敗したときに、親が「ほら言ったでしょう」などと言うのも、ありがちなNG行為だ。本来は失敗から学んで成長していくべきはずなのに、経験から学びを得られないばかりか、挑戦を恐れるようになってしまう。失敗したとしても、挑戦したことに対する称賛の言葉をかけてやったほうがよい。やりたいことには後押しを子どもがやりたいことには後押しを。例えば最近多い将来の夢は「YouTuberになりたい」だ。親としては心配だが、「やってみたら?」でよい。すぐに挑戦できるし、自分で試みて向き不向きを判断したり、映像制作など別の道に進むヒントを得たりするかもしれない。AI時代とはいっても、子育てや教育に関しての根本は大きくは変わらない。子どもを見守り、普段から考えや気持ちを把握しておくことは変わらず大事だ。また、対話しながら一緒になって考えると、創造力の源泉である好奇心が育まれていく。子どもの頭は柔軟性が高く、中学3年生ぐらいまでは、3カ月もあれば教え方や環境に応じて変わってくる。(構成:圓岡志麻)(西山 恵太 : CURIO SCHOOL 代表取締役)
第4が、「子どもには挑戦を促すが、親は挑戦しない」である。
「起業家をどう育成するか」という質問を受けることがよくあるが、周囲に起業家がいれば自然と起業家が育つ、とお答えしている。つまり、挑戦する雰囲気が周囲の人間にあれば、子どももおのずと新しいことにチャレンジするようになるということだ。
実際には、子どもには中学受験を勧めたり新しいことへの挑戦を奨励したりするのに、自身は保守的で変化のない日常を送っている親が多い。子どもは意外に大人の雰囲気や行動を観察している。
まず親が率先して、新しい趣味を始める、新しいサービスや商品を試してみるなど、普段と変わったことを行うようにしていると、子どももそれを当たり前のように感じ、同じように振る舞うようになる。
最後が、「ネガティブな言葉で子どもの挑戦を阻む」だ。
「難しすぎるんじゃないか」「どうせ失敗する」などネガティブな言葉をかけると、当然ながら挑戦の意欲を失ってしまう。また失敗したときに、親が「ほら言ったでしょう」などと言うのも、ありがちなNG行為だ。
本来は失敗から学んで成長していくべきはずなのに、経験から学びを得られないばかりか、挑戦を恐れるようになってしまう。失敗したとしても、挑戦したことに対する称賛の言葉をかけてやったほうがよい。
子どもがやりたいことには後押しを。例えば最近多い将来の夢は「YouTuberになりたい」だ。親としては心配だが、「やってみたら?」でよい。すぐに挑戦できるし、自分で試みて向き不向きを判断したり、映像制作など別の道に進むヒントを得たりするかもしれない。
AI時代とはいっても、子育てや教育に関しての根本は大きくは変わらない。子どもを見守り、普段から考えや気持ちを把握しておくことは変わらず大事だ。また、対話しながら一緒になって考えると、創造力の源泉である好奇心が育まれていく。子どもの頭は柔軟性が高く、中学3年生ぐらいまでは、3カ月もあれば教え方や環境に応じて変わってくる。(構成:圓岡志麻)(西山 恵太 : CURIO SCHOOL 代表取締役)
AI時代とはいっても、子育てや教育に関しての根本は大きくは変わらない。子どもを見守り、普段から考えや気持ちを把握しておくことは変わらず大事だ。
また、対話しながら一緒になって考えると、創造力の源泉である好奇心が育まれていく。子どもの頭は柔軟性が高く、中学3年生ぐらいまでは、3カ月もあれば教え方や環境に応じて変わってくる。
(構成:圓岡志麻)
(西山 恵太 : CURIO SCHOOL 代表取締役)
(西山 恵太 : CURIO SCHOOL 代表取締役)