18歳の女子大学生が包丁で刺され殺害された事件で、警察は22歳の男を逮捕しました。男は1週間前まで女子大学生と交際していました。
■18歳女子大学生を殺害か 元交際相手を緊急逮捕
横浜市鶴見区のマンションの敷地内で血を流して倒れているのが見つかりました。
警察に通報があったのは、29日午前10時15分ごろのことでした。
母親の通報:「娘が血だらけで倒れている」
倒れていたのは、このマンションに住む大学1年生の冨永紗菜さん(18)です。
冨永さんは、警察が到着する前に、家族によってすぐ近くの病院に搬送されましたが、複数箇所を刺されていて、通報からおよそ1時間後に死亡が確認されました。
近所の人によると、冨永さんは小さいころ劇団に所属し、子役として舞台などに多数出演していたといいます。
娘が同級生だった母親:「舞台活動にも励んでいたので、快活でかわいい女の子だったと覚えています。本当にショックです」
通報から10分後、現場から直線距離でおよそ1.5キロ離れた鶴見警察署に男が刃物を持って自首しました。
自首してきた男:「家から出てきたところ彼女を刺しました」
殺人容疑で緊急逮捕されたのは、横浜市鶴見区の自称・会社員の伊藤龍稀容疑者(22)です。調べに対し、「間違いありません」と容疑を認めているということです。
■トラブルを友人に相談 「DVを受けた」
2人には交際を巡るトラブルがあったことが分かっています。
事件の2日前に冨永さんとドライブに出掛けたという友人は、冨永さんが伊藤容疑者からDVを受けたという話を聞いたといいます。
小学校からの友人:「けんかになって、馬乗りになられて、顔を殴られる。別れたいとは言ってましたね」「(Q.『なかなか別れてくれない』とか?)そうです、そうです」「(Q.交際相手と紗菜さんの(メールの)やり取りは?)別れた後のやつは見た。脅迫みたいな形で。俺と別れても知らないからな、お前どうなっても知らないぞみたいな」
逮捕された伊藤容疑者は、冨永さんの自宅から車で10分ほどの場所にあるアパートに住んでいました。
アパートの住人は、冨永さんと伊藤容疑者が争う物音を度々聞いていました。
伊藤容疑者と同じアパートの住人:「(深夜の)1時くらいから始まって2時とか3時。ずっとそんな感じ」「普通のケンカの声量じゃない。ガシャンガシャンという音もすごくて」「(Q.ガシャンガシャンというのは?)物を落とす感じの音」
■1週間前に別れたばかり 過去4回通報
2人のトラブルについては、これまでに冨永さんの友人から1回、冨永さん自身から2回、伊藤容疑者の近隣住民から1回、合わせて4回、110番通報がありました。
警察は事件を防ぐことはできなかったのでしょうか。
元埼玉県警刑事 佐々木成三氏:「例えば刑事罰で刑法として犯人を捕まえる。ストーカー規制法違反で相手に警告する。そういった事案において被害者に強い決意が必要なんです。今回、被害届の処罰の意思がなかったということ」
確かに4回の通報で被害届が出されたことはありません。また、2回目と3回目の通報の際、後日、警察が冨永さんに連絡すると、「仲直りをした」という返事があったといいます。
佐々木氏:「警察が強制力を示してできることはやはりなかった。対応はかなり難しかったんじゃないかと感じています」
29日夜、冨永さんの家族がコメントを発表しました。
冨永さん家族のコメント:「やっと1週間前に別れることができたところでした。それでも、相手からの連絡が途切れず、今回の犯行に遭ってしまいました。今は気持ちの整理がつきません。そっとしておいて下さい」