「撃つ際はためらわずに笑みを浮かべて……」──61歳の警察官の胸を撃って殺害した疑いで逮捕された青木政憲容疑者(31)。彼は一体どういう心境で、男女4人もの命を殺めたのだろうか。列島を震撼させた前代未聞の立てこもり事件の舞台は、田園風景が広がる長野県・中野市の集落だった。
【写真】青木容疑者が目撃された長野射撃場の内部の様子、議長だった青木容疑者の父ほか 事件が起きたのは5月25日午後4時半頃。青木容疑者は女性2名をナイフで刺し、通報を受けて駆けつけた警察官2名に向けて散弾銃を発砲。この間わずか10分だった。その後、容疑者は付近の住宅に母親や親族の女性を人質にとって、父親の自宅に立てこもっていたが、事件発生から約12時間後に自ら投降し、身柄を確保された。当日の青木容疑者について社会部記者が語る。

「青木容疑者の服装は上下迷彩柄の服、帽子、サングラス。所持していたのは刃渡り30cmくらいのサバイバルナイフ。そして警察官の胸を撃ち抜いた銃です。 青木容疑者は過去に県の公安委員会から猟銃や空気銃など合計で4丁の所持を許可されています。公安委員会によると、申請にあたって『精神疾患などはない』との医師による診断書を提出していて、所持の手続き自体に問題があったわけではないそうです」 青木容疑者は長野県猟友会の下部組織・北信猟友会の会員だった。2015年に入会して翌2016年に退会、2017年に再入会して2019年に辞めており、2022年に再々入会して現在に至っていた。地元住人が語る。「彼はかつて中野市猟友会の関係者が勧誘した際は“忙しい”ということで断っていたそうですが、いつからか猟銃の免許がほしいと言うようになっていました。その後は、射撃が趣味になったようでクレー射撃の練習場にも頻繁に通っていて、銃の扱いには慣れていたみたいですね」 地元・中野市猟友会元会長の佐野澄博氏は5月27日、NEWSポストセブンの取材にこのように明かした。「銃口は絶対に人に向けてはならないというのが猟友会での常識だから、まったく考えられない事件だよ。たしか5~6年前ぐらいに、猟友会の大会が長野射撃場であって、そこに本人(青木容疑者)は来ていたはず」 中野市にあった射撃場は3年ほど前に経営者が亡くなって閉鎖されていたという。長野射撃場は中野市からおよそ35kmほど離れた場所にある。「彼は4丁持っていたという話だけど、普通は2丁程度。4丁はちょっと多いし、彼が一体何の目的で持っていたのかよく分からない。中野市猟友会の講習を受けていないので、有害鳥獣駆除はできない。そうなると、クレー射撃か狩猟しか使い道がないんじゃないかな」 青木容疑者は地域で害獣被害が出た際に出動する中野市猟友会への登録はしていなかったという。青木容疑者が所持していた4丁の銃は用途が限られており、その所持目的に有用性があったかは疑わしい。佐野氏は続ける。「今日は午後から猟友会の緊急会議があって、この事件について話すんだけど、有害鳥獣駆除はしばらく自粛することになるかもしれない。長年使っていない『眠り銃』の管理も今後厳しくなるんじゃないか。何の目的で持っていたのか分からないから、ガンマニアみたいな感じだったのかな」 警察庁などによると、2022年の猟銃と空気銃の許可所持者は約8万5000人。許可丁数は猟銃が約15万、空気銃が約2万丁だった。新規で許可を受ける人の割合は増加傾向にあるという。目的なく長年使っていない銃を「眠り銃」と呼ぶが、この事件をきっかけに、管理についての課題も浮かび上がった。 警察は容疑者が凶器を準備して計画的に犯行に及んだとみて捜査を進めている。
事件が起きたのは5月25日午後4時半頃。青木容疑者は女性2名をナイフで刺し、通報を受けて駆けつけた警察官2名に向けて散弾銃を発砲。この間わずか10分だった。その後、容疑者は付近の住宅に母親や親族の女性を人質にとって、父親の自宅に立てこもっていたが、事件発生から約12時間後に自ら投降し、身柄を確保された。当日の青木容疑者について社会部記者が語る。
「青木容疑者の服装は上下迷彩柄の服、帽子、サングラス。所持していたのは刃渡り30cmくらいのサバイバルナイフ。そして警察官の胸を撃ち抜いた銃です。
青木容疑者は過去に県の公安委員会から猟銃や空気銃など合計で4丁の所持を許可されています。公安委員会によると、申請にあたって『精神疾患などはない』との医師による診断書を提出していて、所持の手続き自体に問題があったわけではないそうです」
青木容疑者は長野県猟友会の下部組織・北信猟友会の会員だった。2015年に入会して翌2016年に退会、2017年に再入会して2019年に辞めており、2022年に再々入会して現在に至っていた。地元住人が語る。
「彼はかつて中野市猟友会の関係者が勧誘した際は“忙しい”ということで断っていたそうですが、いつからか猟銃の免許がほしいと言うようになっていました。その後は、射撃が趣味になったようでクレー射撃の練習場にも頻繁に通っていて、銃の扱いには慣れていたみたいですね」
地元・中野市猟友会元会長の佐野澄博氏は5月27日、NEWSポストセブンの取材にこのように明かした。
「銃口は絶対に人に向けてはならないというのが猟友会での常識だから、まったく考えられない事件だよ。たしか5~6年前ぐらいに、猟友会の大会が長野射撃場であって、そこに本人(青木容疑者)は来ていたはず」
中野市にあった射撃場は3年ほど前に経営者が亡くなって閉鎖されていたという。長野射撃場は中野市からおよそ35kmほど離れた場所にある。
「彼は4丁持っていたという話だけど、普通は2丁程度。4丁はちょっと多いし、彼が一体何の目的で持っていたのかよく分からない。中野市猟友会の講習を受けていないので、有害鳥獣駆除はできない。そうなると、クレー射撃か狩猟しか使い道がないんじゃないかな」
青木容疑者は地域で害獣被害が出た際に出動する中野市猟友会への登録はしていなかったという。青木容疑者が所持していた4丁の銃は用途が限られており、その所持目的に有用性があったかは疑わしい。佐野氏は続ける。
「今日は午後から猟友会の緊急会議があって、この事件について話すんだけど、有害鳥獣駆除はしばらく自粛することになるかもしれない。長年使っていない『眠り銃』の管理も今後厳しくなるんじゃないか。何の目的で持っていたのか分からないから、ガンマニアみたいな感じだったのかな」
警察庁などによると、2022年の猟銃と空気銃の許可所持者は約8万5000人。許可丁数は猟銃が約15万、空気銃が約2万丁だった。新規で許可を受ける人の割合は増加傾向にあるという。目的なく長年使っていない銃を「眠り銃」と呼ぶが、この事件をきっかけに、管理についての課題も浮かび上がった。
警察は容疑者が凶器を準備して計画的に犯行に及んだとみて捜査を進めている。