旧統一教会が東京・多摩市で十数億円相当とみられる土地を購入したことが分かりました。周辺には高校や大学があり、住民は猛反発しています。
■土地6300平方メートル購入 大学生「怖い」
東京・多摩市に、ひっそりとたたずむ白とピンクの巨大な建物。入り口に続く歩道は雑草が伸び、一部、石畳が壊れてしまっている場所もあります。
およそ6300平方メートルと広大な土地ですが、人が出入りしている気配はありません。
菓子の卸売会社が保有していたという、この土地を旧統一教会=世界平和統一家庭連合が、去年4月に取得していたことが分かりました。
改めて航空写真で見てみると、小田急と京王の多摩センター駅から車で10分ほどの距離。建物の裏手は緑地ですが、道路を隔てたエリアは住宅街になっています。
さらに、旧統一教会が取得した敷地にほぼ隣接しているのが、国士舘大学の多摩キャンパス。正面には、都立永山高校もあります。
大学生:「近くで宗教勧誘とかされるとなったら、正直怖いというのはある」
■土地購入の目的は…研修施設の建築か
教団が、この土地を購入した目的とは何なのでしょうか?1日、ジャーナリストの鈴木エイト氏とともに現場を訪れました。
鈴木氏:「教団が使っていた研修所が川崎市の宮崎台にあったが、そこが数年前に閉鎖されていて。宮崎台にあった研修所にかわる施設を、ここに建てようとしたのではないか」
鈴木氏は、旧統一教会がこの土地を十数億円で購入したとみていて、広大な敷地に研修施設を建てようとしているのではないかと指摘します。
鈴木氏:「おそらく去年(7月)の安倍元総理の銃撃事件がなければ、もうすでに何かしら教団の施設が建っていた、建築が始まっていた可能性が高い。事件があって教団が問題視されているなかで、土地を買ったはいいけど建物を解体して何かを建てるという計画までなかなかいけないというのが現状かなと」
こうしたなか、先月28日、多摩市の阿部裕行市長がホームページ上にコメントを発表しました。
阿部市長:「民間で行われる不動産取引について、それが法令の範囲内で行われる限り、本市において当該不動産取引を承認するか否かの権限はありません。他方で市民の方々の平穏な暮らしが脅かされるのではないかという懸念を示さざるを得ません」
そのうえで、市としては、旧統一教会の活動で実害を確認した際には、法令にのっとり迅速かつ適切に対応していくとしています。
■“本部移転説”も? 教団「今後の予定は未定」
地元住民らも市民団体を結成。教団による学生の勧誘などを懸念し、反対運動を行うことを決めました。
市民団体メンバー:「こんな大きな建物ができると、相当大きな施設として機能しだすと、私たちは許せないです。学校も近いし」「ここに(教団の)本部がついてくるという話もある。それを含めて、私たちは全部阻止です。反対です」
一方、教団の広報は取材に対して次のようにコメントしています。
教団広報:「あの土地で何をするか、今後の予定は未定です」