「きょうの健康」(Eテレ)で話題の、時間栄養学会会長の柴田重信先生アドバイス第4弾!「プチ断食で友達は成功しているのに、なぜ、私だけやせられないの?」「朝はサラダだけでトレーニングもしているのに健康診断の結果がイマイチ…」努力が実らないのは、実は体内時計に合ったダイエットをしていないからです。「何を」「どう」食べるかだけでなく、「いつ食べると太りにくいか」「いつ運動するとやせやすいか」という知識があれば、あなたはより楽に効果を実感できるでしょう。地球のほとんどの生物は、24時間の自転に合った時計を体内に持っています。だから、脂肪のたまりやすい時間、筋肉のつきやすい時間、眠くなる時間、体温や血圧の上がり下がりや元気になる時間も24時間で変化しています。柴田先生が、健康のための新習慣を『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』でわかりやすく具体的に紹介しています。第4回目は、なぜ、体内時計が乱れると肥満をはじめ、がん、高血圧症、糖尿病、動脈硬化、うつ病、認知症などなど、体への悪影響があるかについて解説します。
夜食のカップラーメンは、なぜ昼間食べるよりうまいのか
朝食抜きのツケは、主時計とのあいだにずれを生じさせてしまうだけではありません。夜の食欲という“落とし穴”も待ち受けています。
体内時計は食欲もコントロールしており、遅い夕食やその後の夜食が常態化すると、食欲は猛烈に高まりやすいという特徴があります。これは、満腹中枢を刺激し、食欲にブレーキをかけるレプチンの働きが低下するためです。まさに夜は“魔の時間帯”なのです。
朝食をとらない人は、全体的に活動の時間帯が夜の方向にずれる傾向があり、食事の時間も夜の遅い時間になりがちです。そうすると、なかなか満腹感が得られず、食べすぎてしまうのです。なかでも注意したいのは、夜食。学生のレポートの課題でも、仕事の残業でも、夜遅い時間になるほどチョコレートやポテトチップスに手が伸びていきます。毎晩のように夜食のカップラーメンを食べたくなるのも、実は体内時計によって説明できるのです。カップラーメンの正体は、糖質と脂質が中心ですが、夜は、ドーパミンが分泌されやすく、この糖質や脂質に対してやみつきにさせます。夜食で食べるカップラーメンのめんと脂っこいスープがなんとも言えず、胃の中にしみ込んできて幸福感で満たされるのは、ドーパミンによる作用だったのです。 ドーパミンは快楽物質といわれ、喜びを感じさせてくれる脳内物質です。何かをやり遂げたときなどに分泌され、達成感や満足感をもたらしてくれるので、これをもう一度味わいたいために、次の目標に挑戦するときのモチベーションにもなります。一方で、ドーパミンは依存にもかかわっています。ギャンブルや買い物、アルコール、薬物などによって、気分が高揚すると一気にドーパミンが分泌され、その快感がやめられなくなっていきます。やめたくてもやめられない、これが嗜癖や依存の状態をつくります。健康によくないことがわかっているのに、ついつい夜食にカップラーメンやピザ、脂っこいお菓子などを食べてしまうのも、夜、ドーパミンを多く分泌する体内時計が糸を引いているということです。太古から、脂肪をため込む遺伝子は夜に働きだす一気にたくさん食べて、すぐに寝る。これはいちばん太るパターンです。食事から睡眠までの時間が2時間以下になると、BMIが高くなることが知られています。食べてすぐ寝ると太る理由は、食事でとったエネルギーを消費する前に寝てしまい、エネルギーが脂肪として蓄積されるためだけではありません。体内時計的にみると、眠りを誘う睡眠ホルモンのメラトニンが夜、分泌されることで、血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなり、血糖値が下がりにくくなるのです。 また、夜には、時計遺伝子のBmal1(ビーマルワン)遺伝子が活発になります。Bmal1(ビーマルワン)は、脂肪細胞に脂肪をため込もうとする働きをしています。太古の飢餓と隣り合わせだった時代には、食料が十分得られなくても活動できるように、夜のうちに余ったエネルギーを少しでも脂肪としてため込んでおこうという遺伝子が生存戦略に有利に働きました。現代では、それが不利に働いているのです。体内時計の乱れが起こす心や体への悪影響不規則な生活ががんの罹患率を上げているメタボは、食べすぎや運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因で起こりますが、朝食をとらない習慣もメタボの原因になることがおわかりいただけたのではないでしょうか。メタボの状態は、内臓脂肪を過剰にたくわえた状態であり、血圧が高く、血糖値やコレステロール値が高いなど、血管が傷つきやすい状態にあります。この状態になるとそこからドミノ倒しのように、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、心不全、認知症……というようにさまざまな病気が起こってきます。血糖値が高いと、糖尿病になるだけでなく、認知症のリスクが高まることが知られています。また、がん細胞はブドウ糖だけをエネルギーとして増えていくので、高血糖の状態が続くとがんになりやすいともいわれ、特に大腸がん、肝臓がん、膵臓がんは、糖尿病の人のリスクが高いことがわかっています。医療や物流、製造業の現場などで働き、夜勤をはじめ働く時間が不規則で体内時計が乱れやすいシフトワーカーには、うつ病や乳がん、前立腺がん、大腸がんの発症リスクが高まることも知られています。これらのがんは、いわゆる欧米型の高カロリーの食事パターンによる肥満と関係が深いがんですが、体内時計が乱れて肥満を招きやすいシフトワーカーにとっても、注意すべきということです。 こうしたことからも、体内時計は現代人が悩む生活習慣病の多くにかかわっていることがわかります。そしてまた、体内時計の乱れが肥満や糖尿病などを起こす一方で、肥満や糖尿病が体内時計のリズムを崩すという側面もあり、にわとりが先か、卵が先かという議論のように、両方が悪循環の状態を生み出しています。大学生の抑うつ状態の背景に朝食欠食が朝食をとらない習慣は、心の健康にも影響を及ぼします。これまで、子どもや学生を対象にした多くの調査では、朝食欠食の子どもは、朝食をとる子どもに比べて、学業の不振、肥満傾向がみられることが指摘されていました。さらに、授業中座っていられない、教師の話をじっと聞くことができない、態度が悪いなど、いわゆる学級崩壊の背景に、朝食欠食がかかわっているともいわれています。ある高校の教師は、朝、遅刻する生徒が多いことに驚き、遅刻の理由を探っている過程で、朝食をとっていない子どもが多いことに気づきました。教育現場でも、授業で教科を教える以前に、朝食をとるという習慣づくりに、個々の教師たちが取り組み始めています。なぜ、朝食をとらない子どもたちは、成績が振るわず、落ち着きがないのか。 朝食をとらないことで、血液中のブドウ糖濃度が低いままの状態になり、集中力が上がらないことも考えられますが、脳にある主時計と肝臓などの末梢時計のリズムがずれてしまう、体内時計の不調が関係していると考えられます。大人でもこうした傾向は当てはまります。大学生を対象に1年間追跡調査したところ、朝食をほぼ毎日(週6日以上)とる人に対して、2~5日の人や1日以下の人は抑うつ状態が多くみられたという報告があります。朝食をとらない頻度が高いほど、体内時計に乱れが生じ、抑うつ状態になりやすいことがわかりました。また別の調査では、朝食時間が遅いことや、食事の時刻が日によって変わることも、うつ病などの気分障害に関連しているといわれています。何となくやる気が出ない、気分が落ち込む、好きだったことを楽しめない、不安や焦りを感じてイライラする、疲れやすい、そんな自分を責めてしまう……。こうした心の停滞は、体内時計の乱れから始まっている可能性があるのです。
朝食をとらない人は、全体的に活動の時間帯が夜の方向にずれる傾向があり、食事の時間も夜の遅い時間になりがちです。そうすると、なかなか満腹感が得られず、食べすぎてしまうのです。
なかでも注意したいのは、夜食。学生のレポートの課題でも、仕事の残業でも、夜遅い時間になるほどチョコレートやポテトチップスに手が伸びていきます。毎晩のように夜食のカップラーメンを食べたくなるのも、実は体内時計によって説明できるのです。
カップラーメンの正体は、糖質と脂質が中心ですが、夜は、ドーパミンが分泌されやすく、この糖質や脂質に対してやみつきにさせます。夜食で食べるカップラーメンのめんと脂っこいスープがなんとも言えず、胃の中にしみ込んできて幸福感で満たされるのは、ドーパミンによる作用だったのです。
ドーパミンは快楽物質といわれ、喜びを感じさせてくれる脳内物質です。何かをやり遂げたときなどに分泌され、達成感や満足感をもたらしてくれるので、これをもう一度味わいたいために、次の目標に挑戦するときのモチベーションにもなります。一方で、ドーパミンは依存にもかかわっています。ギャンブルや買い物、アルコール、薬物などによって、気分が高揚すると一気にドーパミンが分泌され、その快感がやめられなくなっていきます。やめたくてもやめられない、これが嗜癖や依存の状態をつくります。健康によくないことがわかっているのに、ついつい夜食にカップラーメンやピザ、脂っこいお菓子などを食べてしまうのも、夜、ドーパミンを多く分泌する体内時計が糸を引いているということです。太古から、脂肪をため込む遺伝子は夜に働きだす一気にたくさん食べて、すぐに寝る。これはいちばん太るパターンです。食事から睡眠までの時間が2時間以下になると、BMIが高くなることが知られています。食べてすぐ寝ると太る理由は、食事でとったエネルギーを消費する前に寝てしまい、エネルギーが脂肪として蓄積されるためだけではありません。体内時計的にみると、眠りを誘う睡眠ホルモンのメラトニンが夜、分泌されることで、血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなり、血糖値が下がりにくくなるのです。 また、夜には、時計遺伝子のBmal1(ビーマルワン)遺伝子が活発になります。Bmal1(ビーマルワン)は、脂肪細胞に脂肪をため込もうとする働きをしています。太古の飢餓と隣り合わせだった時代には、食料が十分得られなくても活動できるように、夜のうちに余ったエネルギーを少しでも脂肪としてため込んでおこうという遺伝子が生存戦略に有利に働きました。現代では、それが不利に働いているのです。体内時計の乱れが起こす心や体への悪影響不規則な生活ががんの罹患率を上げているメタボは、食べすぎや運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因で起こりますが、朝食をとらない習慣もメタボの原因になることがおわかりいただけたのではないでしょうか。メタボの状態は、内臓脂肪を過剰にたくわえた状態であり、血圧が高く、血糖値やコレステロール値が高いなど、血管が傷つきやすい状態にあります。この状態になるとそこからドミノ倒しのように、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、心不全、認知症……というようにさまざまな病気が起こってきます。血糖値が高いと、糖尿病になるだけでなく、認知症のリスクが高まることが知られています。また、がん細胞はブドウ糖だけをエネルギーとして増えていくので、高血糖の状態が続くとがんになりやすいともいわれ、特に大腸がん、肝臓がん、膵臓がんは、糖尿病の人のリスクが高いことがわかっています。医療や物流、製造業の現場などで働き、夜勤をはじめ働く時間が不規則で体内時計が乱れやすいシフトワーカーには、うつ病や乳がん、前立腺がん、大腸がんの発症リスクが高まることも知られています。これらのがんは、いわゆる欧米型の高カロリーの食事パターンによる肥満と関係が深いがんですが、体内時計が乱れて肥満を招きやすいシフトワーカーにとっても、注意すべきということです。 こうしたことからも、体内時計は現代人が悩む生活習慣病の多くにかかわっていることがわかります。そしてまた、体内時計の乱れが肥満や糖尿病などを起こす一方で、肥満や糖尿病が体内時計のリズムを崩すという側面もあり、にわとりが先か、卵が先かという議論のように、両方が悪循環の状態を生み出しています。大学生の抑うつ状態の背景に朝食欠食が朝食をとらない習慣は、心の健康にも影響を及ぼします。これまで、子どもや学生を対象にした多くの調査では、朝食欠食の子どもは、朝食をとる子どもに比べて、学業の不振、肥満傾向がみられることが指摘されていました。さらに、授業中座っていられない、教師の話をじっと聞くことができない、態度が悪いなど、いわゆる学級崩壊の背景に、朝食欠食がかかわっているともいわれています。ある高校の教師は、朝、遅刻する生徒が多いことに驚き、遅刻の理由を探っている過程で、朝食をとっていない子どもが多いことに気づきました。教育現場でも、授業で教科を教える以前に、朝食をとるという習慣づくりに、個々の教師たちが取り組み始めています。なぜ、朝食をとらない子どもたちは、成績が振るわず、落ち着きがないのか。 朝食をとらないことで、血液中のブドウ糖濃度が低いままの状態になり、集中力が上がらないことも考えられますが、脳にある主時計と肝臓などの末梢時計のリズムがずれてしまう、体内時計の不調が関係していると考えられます。大人でもこうした傾向は当てはまります。大学生を対象に1年間追跡調査したところ、朝食をほぼ毎日(週6日以上)とる人に対して、2~5日の人や1日以下の人は抑うつ状態が多くみられたという報告があります。朝食をとらない頻度が高いほど、体内時計に乱れが生じ、抑うつ状態になりやすいことがわかりました。また別の調査では、朝食時間が遅いことや、食事の時刻が日によって変わることも、うつ病などの気分障害に関連しているといわれています。何となくやる気が出ない、気分が落ち込む、好きだったことを楽しめない、不安や焦りを感じてイライラする、疲れやすい、そんな自分を責めてしまう……。こうした心の停滞は、体内時計の乱れから始まっている可能性があるのです。
ドーパミンは快楽物質といわれ、喜びを感じさせてくれる脳内物質です。何かをやり遂げたときなどに分泌され、達成感や満足感をもたらしてくれるので、これをもう一度味わいたいために、次の目標に挑戦するときのモチベーションにもなります。
一方で、ドーパミンは依存にもかかわっています。ギャンブルや買い物、アルコール、薬物などによって、気分が高揚すると一気にドーパミンが分泌され、その快感がやめられなくなっていきます。やめたくてもやめられない、これが嗜癖や依存の状態をつくります。
健康によくないことがわかっているのに、ついつい夜食にカップラーメンやピザ、脂っこいお菓子などを食べてしまうのも、夜、ドーパミンを多く分泌する体内時計が糸を引いているということです。
一気にたくさん食べて、すぐに寝る。これはいちばん太るパターンです。食事から睡眠までの時間が2時間以下になると、BMIが高くなることが知られています。
食べてすぐ寝ると太る理由は、食事でとったエネルギーを消費する前に寝てしまい、エネルギーが脂肪として蓄積されるためだけではありません。
体内時計的にみると、眠りを誘う睡眠ホルモンのメラトニンが夜、分泌されることで、血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなり、血糖値が下がりにくくなるのです。
また、夜には、時計遺伝子のBmal1(ビーマルワン)遺伝子が活発になります。Bmal1(ビーマルワン)は、脂肪細胞に脂肪をため込もうとする働きをしています。太古の飢餓と隣り合わせだった時代には、食料が十分得られなくても活動できるように、夜のうちに余ったエネルギーを少しでも脂肪としてため込んでおこうという遺伝子が生存戦略に有利に働きました。現代では、それが不利に働いているのです。体内時計の乱れが起こす心や体への悪影響不規則な生活ががんの罹患率を上げているメタボは、食べすぎや運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因で起こりますが、朝食をとらない習慣もメタボの原因になることがおわかりいただけたのではないでしょうか。メタボの状態は、内臓脂肪を過剰にたくわえた状態であり、血圧が高く、血糖値やコレステロール値が高いなど、血管が傷つきやすい状態にあります。この状態になるとそこからドミノ倒しのように、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、心不全、認知症……というようにさまざまな病気が起こってきます。血糖値が高いと、糖尿病になるだけでなく、認知症のリスクが高まることが知られています。また、がん細胞はブドウ糖だけをエネルギーとして増えていくので、高血糖の状態が続くとがんになりやすいともいわれ、特に大腸がん、肝臓がん、膵臓がんは、糖尿病の人のリスクが高いことがわかっています。医療や物流、製造業の現場などで働き、夜勤をはじめ働く時間が不規則で体内時計が乱れやすいシフトワーカーには、うつ病や乳がん、前立腺がん、大腸がんの発症リスクが高まることも知られています。これらのがんは、いわゆる欧米型の高カロリーの食事パターンによる肥満と関係が深いがんですが、体内時計が乱れて肥満を招きやすいシフトワーカーにとっても、注意すべきということです。 こうしたことからも、体内時計は現代人が悩む生活習慣病の多くにかかわっていることがわかります。そしてまた、体内時計の乱れが肥満や糖尿病などを起こす一方で、肥満や糖尿病が体内時計のリズムを崩すという側面もあり、にわとりが先か、卵が先かという議論のように、両方が悪循環の状態を生み出しています。大学生の抑うつ状態の背景に朝食欠食が朝食をとらない習慣は、心の健康にも影響を及ぼします。これまで、子どもや学生を対象にした多くの調査では、朝食欠食の子どもは、朝食をとる子どもに比べて、学業の不振、肥満傾向がみられることが指摘されていました。さらに、授業中座っていられない、教師の話をじっと聞くことができない、態度が悪いなど、いわゆる学級崩壊の背景に、朝食欠食がかかわっているともいわれています。ある高校の教師は、朝、遅刻する生徒が多いことに驚き、遅刻の理由を探っている過程で、朝食をとっていない子どもが多いことに気づきました。教育現場でも、授業で教科を教える以前に、朝食をとるという習慣づくりに、個々の教師たちが取り組み始めています。なぜ、朝食をとらない子どもたちは、成績が振るわず、落ち着きがないのか。 朝食をとらないことで、血液中のブドウ糖濃度が低いままの状態になり、集中力が上がらないことも考えられますが、脳にある主時計と肝臓などの末梢時計のリズムがずれてしまう、体内時計の不調が関係していると考えられます。大人でもこうした傾向は当てはまります。大学生を対象に1年間追跡調査したところ、朝食をほぼ毎日(週6日以上)とる人に対して、2~5日の人や1日以下の人は抑うつ状態が多くみられたという報告があります。朝食をとらない頻度が高いほど、体内時計に乱れが生じ、抑うつ状態になりやすいことがわかりました。また別の調査では、朝食時間が遅いことや、食事の時刻が日によって変わることも、うつ病などの気分障害に関連しているといわれています。何となくやる気が出ない、気分が落ち込む、好きだったことを楽しめない、不安や焦りを感じてイライラする、疲れやすい、そんな自分を責めてしまう……。こうした心の停滞は、体内時計の乱れから始まっている可能性があるのです。
また、夜には、時計遺伝子のBmal1(ビーマルワン)遺伝子が活発になります。Bmal1(ビーマルワン)は、脂肪細胞に脂肪をため込もうとする働きをしています。太古の飢餓と隣り合わせだった時代には、食料が十分得られなくても活動できるように、夜のうちに余ったエネルギーを少しでも脂肪としてため込んでおこうという遺伝子が生存戦略に有利に働きました。現代では、それが不利に働いているのです。
不規則な生活ががんの罹患率を上げている
メタボは、食べすぎや運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因で起こりますが、朝食をとらない習慣もメタボの原因になることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
メタボの状態は、内臓脂肪を過剰にたくわえた状態であり、血圧が高く、血糖値やコレステロール値が高いなど、血管が傷つきやすい状態にあります。この状態になるとそこからドミノ倒しのように、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、心不全、認知症……というようにさまざまな病気が起こってきます。
血糖値が高いと、糖尿病になるだけでなく、認知症のリスクが高まることが知られています。また、がん細胞はブドウ糖だけをエネルギーとして増えていくので、高血糖の状態が続くとがんになりやすいともいわれ、特に大腸がん、肝臓がん、膵臓がんは、糖尿病の人のリスクが高いことがわかっています。
医療や物流、製造業の現場などで働き、夜勤をはじめ働く時間が不規則で体内時計が乱れやすいシフトワーカーには、うつ病や乳がん、前立腺がん、大腸がんの発症リスクが高まることも知られています。これらのがんは、いわゆる欧米型の高カロリーの食事パターンによる肥満と関係が深いがんですが、体内時計が乱れて肥満を招きやすいシフトワーカーにとっても、注意すべきということです。
こうしたことからも、体内時計は現代人が悩む生活習慣病の多くにかかわっていることがわかります。そしてまた、体内時計の乱れが肥満や糖尿病などを起こす一方で、肥満や糖尿病が体内時計のリズムを崩すという側面もあり、にわとりが先か、卵が先かという議論のように、両方が悪循環の状態を生み出しています。大学生の抑うつ状態の背景に朝食欠食が朝食をとらない習慣は、心の健康にも影響を及ぼします。これまで、子どもや学生を対象にした多くの調査では、朝食欠食の子どもは、朝食をとる子どもに比べて、学業の不振、肥満傾向がみられることが指摘されていました。さらに、授業中座っていられない、教師の話をじっと聞くことができない、態度が悪いなど、いわゆる学級崩壊の背景に、朝食欠食がかかわっているともいわれています。ある高校の教師は、朝、遅刻する生徒が多いことに驚き、遅刻の理由を探っている過程で、朝食をとっていない子どもが多いことに気づきました。教育現場でも、授業で教科を教える以前に、朝食をとるという習慣づくりに、個々の教師たちが取り組み始めています。なぜ、朝食をとらない子どもたちは、成績が振るわず、落ち着きがないのか。 朝食をとらないことで、血液中のブドウ糖濃度が低いままの状態になり、集中力が上がらないことも考えられますが、脳にある主時計と肝臓などの末梢時計のリズムがずれてしまう、体内時計の不調が関係していると考えられます。大人でもこうした傾向は当てはまります。大学生を対象に1年間追跡調査したところ、朝食をほぼ毎日(週6日以上)とる人に対して、2~5日の人や1日以下の人は抑うつ状態が多くみられたという報告があります。朝食をとらない頻度が高いほど、体内時計に乱れが生じ、抑うつ状態になりやすいことがわかりました。また別の調査では、朝食時間が遅いことや、食事の時刻が日によって変わることも、うつ病などの気分障害に関連しているといわれています。何となくやる気が出ない、気分が落ち込む、好きだったことを楽しめない、不安や焦りを感じてイライラする、疲れやすい、そんな自分を責めてしまう……。こうした心の停滞は、体内時計の乱れから始まっている可能性があるのです。
こうしたことからも、体内時計は現代人が悩む生活習慣病の多くにかかわっていることがわかります。
そしてまた、体内時計の乱れが肥満や糖尿病などを起こす一方で、肥満や糖尿病が体内時計のリズムを崩すという側面もあり、にわとりが先か、卵が先かという議論のように、両方が悪循環の状態を生み出しています。
朝食をとらない習慣は、心の健康にも影響を及ぼします。
これまで、子どもや学生を対象にした多くの調査では、朝食欠食の子どもは、朝食をとる子どもに比べて、学業の不振、肥満傾向がみられることが指摘されていました。さらに、授業中座っていられない、教師の話をじっと聞くことができない、態度が悪いなど、いわゆる学級崩壊の背景に、朝食欠食がかかわっているともいわれています。
ある高校の教師は、朝、遅刻する生徒が多いことに驚き、遅刻の理由を探っている過程で、朝食をとっていない子どもが多いことに気づきました。教育現場でも、授業で教科を教える以前に、朝食をとるという習慣づくりに、個々の教師たちが取り組み始めています。
なぜ、朝食をとらない子どもたちは、成績が振るわず、落ち着きがないのか。
朝食をとらないことで、血液中のブドウ糖濃度が低いままの状態になり、集中力が上がらないことも考えられますが、脳にある主時計と肝臓などの末梢時計のリズムがずれてしまう、体内時計の不調が関係していると考えられます。大人でもこうした傾向は当てはまります。大学生を対象に1年間追跡調査したところ、朝食をほぼ毎日(週6日以上)とる人に対して、2~5日の人や1日以下の人は抑うつ状態が多くみられたという報告があります。朝食をとらない頻度が高いほど、体内時計に乱れが生じ、抑うつ状態になりやすいことがわかりました。また別の調査では、朝食時間が遅いことや、食事の時刻が日によって変わることも、うつ病などの気分障害に関連しているといわれています。何となくやる気が出ない、気分が落ち込む、好きだったことを楽しめない、不安や焦りを感じてイライラする、疲れやすい、そんな自分を責めてしまう……。こうした心の停滞は、体内時計の乱れから始まっている可能性があるのです。
朝食をとらないことで、血液中のブドウ糖濃度が低いままの状態になり、集中力が上がらないことも考えられますが、脳にある主時計と肝臓などの末梢時計のリズムがずれてしまう、体内時計の不調が関係していると考えられます。
大人でもこうした傾向は当てはまります。大学生を対象に1年間追跡調査したところ、朝食をほぼ毎日(週6日以上)とる人に対して、2~5日の人や1日以下の人は抑うつ状態が多くみられたという報告があります。朝食をとらない頻度が高いほど、体内時計に乱れが生じ、抑うつ状態になりやすいことがわかりました。
また別の調査では、朝食時間が遅いことや、食事の時刻が日によって変わることも、うつ病などの気分障害に関連しているといわれています。
何となくやる気が出ない、気分が落ち込む、好きだったことを楽しめない、不安や焦りを感じてイライラする、疲れやすい、そんな自分を責めてしまう……。こうした心の停滞は、体内時計の乱れから始まっている可能性があるのです。