3月31日、小倉将信こども政策担当相は記者会見をおこなった(写真・時事通信)
3月31日、政府は、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」の具体策をまとめた「たたき台」を公表した。
「たたき台」は、小倉将信こども政策担当相が発表した。児童手当の所得制限を撤廃、多子世帯への住宅ローン軽減や、保育サービスを拡充する「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設を盛り込んだ。一定の条件で、育児休業中の手取りを実質100%、保障する仕組みも整える。今後3年間を「集中取組期間」と位置づけ、優先的に「加速化プラン」に取り組む、と明記した。
児童手当については、所得制限の撤廃や高校卒業までの支給延長に加え、複数の子どもがいる多子世帯への給付額を見直すことなどが盛り込まれた。
住宅支援では、子育て世帯の公営住宅への優先的な入居のほか、住宅ローン・フラット35の金利負担を軽減するため、「住宅の広さを必要とする多子世帯にとくに配慮しつつ、支援の充実を図る」とされた。
出世払い型奨学金については、2024年度から、修士課程の大学院生が授業料を在学中に支払わなくて済む「授業料後払い制度(仮称)」を導入。さらなる支援拡充のあり方について、検討を進める。所得に応じた納付が始まる年収基準は300万円程度とするとともに、子育て期の納付に配慮し、たとえば子どもが2人いれば、年収400万円程度までは納付は始まらないこととする。
貸与型奨学金については、減額返還制度を利用可能な年収の上限を、325万円から400万円に引き上げる。給付型奨学金については、2024年度から、多子世帯や理工農学系の学生などの中間層(世帯年収約600万円)に拡大する。
注目されていた、公立の小中学校の給食費の無償化については、「給食費無償化に向けて、保護者負担軽減策等の実態を把握しつつ、課題の整理を行う」と明記されただけとなった。
「たたき台」は閣議決定によらず、小倉こども政策担当相の「試案」との位置づけ。政策の裏づけとなる財源は、明示しなかった。
少子化対策の「たたき台」については、注目が集まっていたがゆえに、公表されると即座に、SNSでは賛否が渦巻いた。
《覚醒岸田総理、つえーな 清和会が20年くらい無駄にしてた時間てなんだったんだ感がすげー》
《いい仕事するやん》
《“異次元”てほどでも無い気はするが諸々早期実現して少しでも今よりも環境が良くなっていけばと思います》
と評価する声が出る一方で、批判する声も多くあがった。
《まだたたき台なのだろうけど、今ある施策の延長でしかないので、全然異次元って感じがしない。こんなんじゃ、産み手は増えない》
《「たたき台」なので、これから世間に叩かれまくって変わる余地があると信じます(笑)》
《たたき台だけ作って3年で霧散しそうだと思うのは私だけ…? マジでやるつもりなら即決すると思うんだよね》
《年少扶養控除が欲しかった たたき台にない、、、》
正式な政府方針となる、6月の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に向けて、政府は岸田首相をトップとする会議を新設し、財源論を本格化させる方針だ。今回の「たたき台」はどれだけ「骨太の方針」に盛り込まれることになるだろうか。