YouTubeやSNSで自身の窮状を発信し、視聴者やファンからの救援物資で生活をするホームレスが増えている。中にはスター扱いされている人物もいるほど。なぜ今、彼らが脚光を浴び、支援を受けているのか? その実態に迫ってみた。◆無欲で質素な生活にゆとりが生まれた
DV気質の父親と姉に家から追い出され、恋人との同棲生活やルームシェアも破綻。22歳からホームレス生活を送る、めるさん(27歳)は、ADHDや双極性障害を患っているために仕事に就いても続かず、公園や墓地、コインパーキングなどに寝泊まりする毎日を送っている。
そんななか23歳のときに「自分の記録用に」と自身の生活ぶりなどを紹介するYouTubeチャンネルを開設した。
「たくさんの励ましのコメントがくるようになって、読んでいるうちに同じような境遇の人の役に立てたらいいなという気持ちになっていった」
◆スパチャや「ほしいものリスト」で生活
あるとき、外国人に日本を紹介するYouTube番組に出演したところ、自身のチャンネルにも外国人の視聴者が増え、登録者数は5万人超に。数人ではあるが、熱心に支援してくれるファンがつき、生配信時にはスパチャもくるようになった。
「ツイッターでAmazonほしいものリストを公開していて、みなさんそこから選んで生活用品を送ってくださるのですごく助かります。パソコンも2台いただきましたが使い方がわからなくて……(笑)」
視聴者からのプレゼントは、元彼と飼っていた愛猫を預けている友人宅に郵送してもらっているという。
◆動画の収益は毎月2万~3万円
動画の収益は毎月2万~3万円、自身の口座に振り込まれる。毎月の生活費としてはギリギリではないのか。
「動画配信のおかげで漫画喫茶やネットカフェに泊まれるようになったので心に余裕ができました。食事は一日1~2回、生活費は1日1000円未満ですから十分です」
旅好きな性格ゆえ、現在の暮らしは性に合うそうだが、将来はモデルの仕事などをしてみたいという。ぜひそのアイドル級の容姿を生かしてもらいたいものだ。
【ホームレス系YouTuber める】自身の思いや行動、プレゼント開封などホームレスのリアルな日常を発信。若い女性のホームレスたちの役に立ちたいという思いで’20年11月から開始した。外国人視聴者のために英語でも配信している。チャンネル登録者数は約5万5000人(’23年3月現在)
取材・文・撮影/和場まさみ 安宿 緑 片岡あけの(清談社)