歴史ある別荘地として、高層建築物を建てないなど景観が守られてきた長野県軽井沢町の旧軽井沢地区で、大型のホテル建設計画が持ち上がり、周辺住民が業者に規模縮小を求めている。2022年8月から話し合いを続けてきたが、折り合いはつかないままだ。
ウミガメ保護で署名活動 沿岸部産卵地の球場建設反対 建設地は軽井沢観光の中心地である銀座通りの北端部。大正時代に避暑客目当てに建設された貸店舗「近藤長屋」があった場所だ。約20年前に跡地に婚礼施設がオープンしたが、21年に営業を終了。いずれも2階建てだった。

建設計画によると、ホテルは東急不動産(東京都渋谷区)が、地下1階、地上3階建て(高さ約13メートル、幅約80メートル)の規模を予定。客室は65室で、開業日は未定という。業者側は町の「自然保護のための土地利用行為手続き条例」に基づく計画概要について、これまで4回の住民説明会を開催。基本的設計は変更しないとの姿勢を示したという。 長野県は住民らが自主的に決めたルールを認定する「景観育成住民協定」制度を取り入れており、今回のホテル建設地も含まれる。この地域での建物建設の取り決めのうち、説明会で住民が特に求めたのは、建物を周囲に調和させ、2階建てにすることだ。 銀座通りは小規模店舗が連なる商店街で、ほとんどが2階建て。一部に3階建てもあるが、建物は小さい。住民らは「ホテルは3階建てと言っても、地下は半地下なので4階建てに見える」と主張。派手なデザインも避けるよう求めている。 また、近藤長屋時代から残る敷地内の日本庭園も、貴重な歴史と景観を残しているとして、つぶさないように訴えているが、設計ではほとんどが建物用地になっている。この他、銀座通りは道が狭く、休日は観光客でいっぱいになるため、多くの車がホテル内の駐車場に出入りすれば、観光の妨げや事故の危険があるとも指摘している。 住民らは20日、同趣旨の指導を求め、2156筆の署名を添えて土屋三千夫町長に要望書を手渡した。土屋町長は取材に「皆さんが懸念する点について、(同条例に基づく)要綱が順守されるか見ていきたい」と述べた。住民代表の一色文枝さん(85)は「近くには室生犀星の別荘があるなど文学者ゆかりの地でもある。軽井沢にそぐわない建物は造らないでほしい」と訴える。 町と県は、田中康夫知事時代の2001年に「マンション軽井沢メソッド宣言」、05年に「軽井沢まちなみメソッド宣言」を出し、軽井沢の景観を守るよう開発業者らに求めた経緯もある。東急不動産広報室は取材に「自治体と地元の関係者の方々と引き続きお話をしてまいります」と回答した。【去石信一】
建設地は軽井沢観光の中心地である銀座通りの北端部。大正時代に避暑客目当てに建設された貸店舗「近藤長屋」があった場所だ。約20年前に跡地に婚礼施設がオープンしたが、21年に営業を終了。いずれも2階建てだった。
建設計画によると、ホテルは東急不動産(東京都渋谷区)が、地下1階、地上3階建て(高さ約13メートル、幅約80メートル)の規模を予定。客室は65室で、開業日は未定という。業者側は町の「自然保護のための土地利用行為手続き条例」に基づく計画概要について、これまで4回の住民説明会を開催。基本的設計は変更しないとの姿勢を示したという。
長野県は住民らが自主的に決めたルールを認定する「景観育成住民協定」制度を取り入れており、今回のホテル建設地も含まれる。この地域での建物建設の取り決めのうち、説明会で住民が特に求めたのは、建物を周囲に調和させ、2階建てにすることだ。
銀座通りは小規模店舗が連なる商店街で、ほとんどが2階建て。一部に3階建てもあるが、建物は小さい。住民らは「ホテルは3階建てと言っても、地下は半地下なので4階建てに見える」と主張。派手なデザインも避けるよう求めている。
また、近藤長屋時代から残る敷地内の日本庭園も、貴重な歴史と景観を残しているとして、つぶさないように訴えているが、設計ではほとんどが建物用地になっている。この他、銀座通りは道が狭く、休日は観光客でいっぱいになるため、多くの車がホテル内の駐車場に出入りすれば、観光の妨げや事故の危険があるとも指摘している。
住民らは20日、同趣旨の指導を求め、2156筆の署名を添えて土屋三千夫町長に要望書を手渡した。土屋町長は取材に「皆さんが懸念する点について、(同条例に基づく)要綱が順守されるか見ていきたい」と述べた。住民代表の一色文枝さん(85)は「近くには室生犀星の別荘があるなど文学者ゆかりの地でもある。軽井沢にそぐわない建物は造らないでほしい」と訴える。
町と県は、田中康夫知事時代の2001年に「マンション軽井沢メソッド宣言」、05年に「軽井沢まちなみメソッド宣言」を出し、軽井沢の景観を守るよう開発業者らに求めた経緯もある。東急不動産広報室は取材に「自治体と地元の関係者の方々と引き続きお話をしてまいります」と回答した。【去石信一】