手つかずの自然の中を滑走するバックカントリー(BC)スキーは近年、人気が高まっているが、管理・整備されたコースとは違い、危険と隣り合わせだ。
捜索・救助体制も整っていない。
BCでは、解けた雪が固まり、その上に積もった新雪が滑り落ちる「表層雪崩」が起きやすい。谷への滑落や立ち木への衝突など様々な危険が潜んでいる。
事故が起きた長野・白馬エリアは、良質なパウダースノーを求めて外国から訪れるBCスキーヤーらが増えており、その分、事故も増加している。スキーリゾートのニセコなどを抱える北海道も同様で、道警によると、昨シーズンまでの5年間ではBCスキー中に251人が遭難した。今シーズンの遭難者は今月29日現在で35人(うち外国人13人)。昨シーズンの27人をすでに上回っており、コロナ禍による入国制限や行動制限の緩和に伴い、事故の増加が懸念されている。
BCスキーは自己責任で楽しむものだが、警察や専門家は、雪崩に遭った際に自身の位置を知らせる小型発信機や予備の防寒着、食料といった装備の重要性を強調。入山前に天候や滑走ルートをよく確認するほか、現地に詳しいガイドの利用などを呼びかけている。