「極論言えば、陰性の結果だけ出してれば絶対に損しないんですよ、この事業はね」
新型コロナウイルスの「無料検査センター」を東京都内で運営するある業者は、取材にこう語った。
無料検査センターは全国で1万3000ヵ所以上が展開される一方、検査費用が税金でまかなわれることから、すでに存在しない病院の名前で架空申請し検体を捨てる業者が出るなど、不正も明るみになっている。その知られざる実態を明かそう。
「波」が来るたびに儲かる新型コロナの無料検査事業は2021年末から事業者の募集を開始し、今年の春ごろから全国各地に拡大してきた。国は検査費用として3200億円を計上しており、全国の都道府県が実務を担う建て付けだが、現場で検査を行うのは自治体から委託を受けた民間の事業者である。委託を受けられるのは「医療機関」「薬局」「衛生検査所」のいずれかに認定された業者で、その多くは医療法人だ。センターでは、PCR検査と抗原検査のどちらか一種類または両方を受検でき、事業者には検査を実施するたびに自治体から補助金が支払われる仕組みとなっている。東京都のホームページによると、今年4月1日以降はPCR検査1件につき上限1万1500円、抗原検査は上限4500円がそれぞれ満額、業者側に支払われると記載されている。ある運営業者はビジネスの実態についてこう話す。「正直、顧客一人につきPCRだと1万円、抗原だと5000円って感じでお札が飛び込んでくるようなものだから、コロナの波が来るたびに笑いが止まらない。両方受けてもらえば1万5000円にもなるわけですから。Photo by gettyimagesうちは第7波がピークを迎えた今年の8月には、1日400件くらいPCRを受検してもらっていたから、それだけで1日あたりの売り上げが400万円を超えていた。もちろんここから家賃だの人件費だのが引かれますが、この数百万円の売り上げを上げられる期間が1ヵ月も続けば、それだけで月に1億円を稼ぐことも十分可能な商売です。業者の質や検査の中身にしても、国や自治体は明確な基準を設けていないから、コストをかけない『悪質な』業者ほど儲かる構造になっているのが実態です。極端な話、顧客の唾液をその場で捨てて陰性通知をメールで送るだけの業者がいても、誰にも気付かれないでしょう。顧客は結果が知りたいだけだからクレームも来ない。陽性になると会社に行けないから面倒だ、という人も少なくないですからね。流石にうちは違いますが、これだけ審査が杜撰ならモラルの全くない業者なんてごまんといると見ていい。私も以前、自分に陽性反応が出た時によその業者にも受検しに行ったんですが、陰性反応が出た業者が結構多かった。真面目な業者にとってはバカみたいな話だけど、それだけ無料PCR検査の『質』は当てにならないと考えたほうがいいですよ。横浜ですでに潰れた病院の名前で申請が通っていた事例が報じられていましたが、あそこも検体を分析せず捨てていたそうですし、審査のザルさは明らかです」 無料検査センターを訪れた人に、検査の見返りに商品券を配る業者がいたとして批判されるケースもあった。「いわゆる保険診療詐欺と同じような仕組みです。PCR検査に実際にかかる費用が3000円だとして、1万円が税金から支払われるわけだから、7000円も利幅がある。そこから500円~1000円を顧客への『PR費用』としてバックする業者がいても全く不思議ではありません。業者も顧客も困らず、困るのは国や自治体側だし、法的にも問題ないと踏んだんでしょう」(前出の業者)検査数「水増し」してもバレない驚くべきことに、業者側が補助金を申請する時の「検査件数」も自己申告ベースになっており、その杜撰さがかねてから指摘されてきた。都内の別の業者は、ここにも不正が介在する余地があると話す。「名前や住所、電話番号などの個人情報と問診票を書いたという事実さえあれば基本的には通用するから、バイトの学生を動員して何度も受けさせたり、名簿屋から買った情報をそのまま打ち込んで水増しする、というような業者は普通にいますよ。自治体側から調べが入った時に言い訳できればいいし、確かな情報提供や物的証拠があるとかでないと、よほど悪質でない限りは自治体側もマンパワーが足りないから調べきれない」 まさに「濡れ手で粟」の状態だったわけだが、そんな無料検査事業も9月以降は旨みがなくなってきた。東京都でいえば、都外の人が無料検査の対象から外されたため検査数が稼ぎにくくなり、補助金の額も減額されたためだ。先の業者はこう話す。「国の予算は3200億円だから、PCR検査一回を1万円として3200万回くらい賄える計算にはなる。ただ今年の夏の第7波は、無料検査所が本格的に普及してから初めての波で検査数が激増した。東京都だけでも検査拠点は1200ヵ所を超えているから、それが一日あたり数十、数百件と検査するようになり、国や自治体も予想外の出費に驚いたんでしょう。まだ表には出ていませんが、PCR検査の補助金の上限は現在では9500円に減額されています。これからもっと減らされるのは明らかで、検査1件につき5000円とか、これまでの半額程度になることも十分想定される。世間のコロナに対する警戒感も日に日に薄らいでいますから、検査件数も伸びなくなっているし、潮時だと撤退する業者も増えてきた。また、補助金が最終的に支払われるのは実績報告を自治体が提出し、国のチェックが終わった後になる。不正がちらほら報じられ始めましたし、クレームがついて最終的に補助金取り消しになる業者も出てくるでしょう。明らかに普通の顧客ではない、東京都の職員としか思えない『Gメン』がしつこく検査所を訪れたり、事業の趣旨を理解しているか聞いたりしているのも、怪しい業者にアタリをつけるためです。安易に参入して杜撰な検査をしてきた業者は、当てこんでいた補助金が入らず、さらに先行投資を丸々かぶって地獄を見る可能性もある」 本当に意味があるのか?そもそも、無料検査事業が本格化したのは2回目までのワクチン接種率が8割程度に達した後で、実効性には疑問符がつけられてきた。「岸田文雄政権がコロナ対策で支持率を稼ぐため、ダラダラ続けているだけ」(全国紙政治部記者)との批判もつきまとう。補助金が減額となり、悪質な業者の存在が報じられるようになっても事業が終了しないのは、政権が10月から開始した「全国旅行支援」との兼ね合いで、「コロナ再拡大を招いた」との批判をかわしたい思惑もちらつく。冒頭の業者はこう話す。 「2020年にコロナ禍が始まった当初にこそ、無料検査は必要だったはずです。それが、その時は厚労省が『病床が逼迫する』と主張してやらず、2年が経ってようやくアリバイ的に始めたというのが実態でしょう。私たち業者からすれば儲かってありがたいが、一国民として言うなら、重症化の危険性は低くなっていているし、今さら無症状の人までわざわざ税金を使って検査する必要があるとは思えません」 2020年春のコロナ蔓延開始からまもなく3年が経つ。「コロナ疲れ」が広がっていることも、足元で起きているこうした杜撰な実態が、国民の目に入りづらくなっている理由と言えそうだ。
新型コロナの無料検査事業は2021年末から事業者の募集を開始し、今年の春ごろから全国各地に拡大してきた。国は検査費用として3200億円を計上しており、全国の都道府県が実務を担う建て付けだが、現場で検査を行うのは自治体から委託を受けた民間の事業者である。委託を受けられるのは「医療機関」「薬局」「衛生検査所」のいずれかに認定された業者で、その多くは医療法人だ。
センターでは、PCR検査と抗原検査のどちらか一種類または両方を受検でき、事業者には検査を実施するたびに自治体から補助金が支払われる仕組みとなっている。東京都のホームページによると、今年4月1日以降はPCR検査1件につき上限1万1500円、抗原検査は上限4500円がそれぞれ満額、業者側に支払われると記載されている。
ある運営業者はビジネスの実態についてこう話す。
「正直、顧客一人につきPCRだと1万円、抗原だと5000円って感じでお札が飛び込んでくるようなものだから、コロナの波が来るたびに笑いが止まらない。両方受けてもらえば1万5000円にもなるわけですから。
Photo by gettyimages
うちは第7波がピークを迎えた今年の8月には、1日400件くらいPCRを受検してもらっていたから、それだけで1日あたりの売り上げが400万円を超えていた。もちろんここから家賃だの人件費だのが引かれますが、この数百万円の売り上げを上げられる期間が1ヵ月も続けば、それだけで月に1億円を稼ぐことも十分可能な商売です。
業者の質や検査の中身にしても、国や自治体は明確な基準を設けていないから、コストをかけない『悪質な』業者ほど儲かる構造になっているのが実態です。極端な話、顧客の唾液をその場で捨てて陰性通知をメールで送るだけの業者がいても、誰にも気付かれないでしょう。顧客は結果が知りたいだけだからクレームも来ない。陽性になると会社に行けないから面倒だ、という人も少なくないですからね。
流石にうちは違いますが、これだけ審査が杜撰ならモラルの全くない業者なんてごまんといると見ていい。私も以前、自分に陽性反応が出た時によその業者にも受検しに行ったんですが、陰性反応が出た業者が結構多かった。
真面目な業者にとってはバカみたいな話だけど、それだけ無料PCR検査の『質』は当てにならないと考えたほうがいいですよ。横浜ですでに潰れた病院の名前で申請が通っていた事例が報じられていましたが、あそこも検体を分析せず捨てていたそうですし、審査のザルさは明らかです」
無料検査センターを訪れた人に、検査の見返りに商品券を配る業者がいたとして批判されるケースもあった。「いわゆる保険診療詐欺と同じような仕組みです。PCR検査に実際にかかる費用が3000円だとして、1万円が税金から支払われるわけだから、7000円も利幅がある。そこから500円~1000円を顧客への『PR費用』としてバックする業者がいても全く不思議ではありません。業者も顧客も困らず、困るのは国や自治体側だし、法的にも問題ないと踏んだんでしょう」(前出の業者)検査数「水増し」してもバレない驚くべきことに、業者側が補助金を申請する時の「検査件数」も自己申告ベースになっており、その杜撰さがかねてから指摘されてきた。都内の別の業者は、ここにも不正が介在する余地があると話す。「名前や住所、電話番号などの個人情報と問診票を書いたという事実さえあれば基本的には通用するから、バイトの学生を動員して何度も受けさせたり、名簿屋から買った情報をそのまま打ち込んで水増しする、というような業者は普通にいますよ。自治体側から調べが入った時に言い訳できればいいし、確かな情報提供や物的証拠があるとかでないと、よほど悪質でない限りは自治体側もマンパワーが足りないから調べきれない」 まさに「濡れ手で粟」の状態だったわけだが、そんな無料検査事業も9月以降は旨みがなくなってきた。東京都でいえば、都外の人が無料検査の対象から外されたため検査数が稼ぎにくくなり、補助金の額も減額されたためだ。先の業者はこう話す。「国の予算は3200億円だから、PCR検査一回を1万円として3200万回くらい賄える計算にはなる。ただ今年の夏の第7波は、無料検査所が本格的に普及してから初めての波で検査数が激増した。東京都だけでも検査拠点は1200ヵ所を超えているから、それが一日あたり数十、数百件と検査するようになり、国や自治体も予想外の出費に驚いたんでしょう。まだ表には出ていませんが、PCR検査の補助金の上限は現在では9500円に減額されています。これからもっと減らされるのは明らかで、検査1件につき5000円とか、これまでの半額程度になることも十分想定される。世間のコロナに対する警戒感も日に日に薄らいでいますから、検査件数も伸びなくなっているし、潮時だと撤退する業者も増えてきた。また、補助金が最終的に支払われるのは実績報告を自治体が提出し、国のチェックが終わった後になる。不正がちらほら報じられ始めましたし、クレームがついて最終的に補助金取り消しになる業者も出てくるでしょう。明らかに普通の顧客ではない、東京都の職員としか思えない『Gメン』がしつこく検査所を訪れたり、事業の趣旨を理解しているか聞いたりしているのも、怪しい業者にアタリをつけるためです。安易に参入して杜撰な検査をしてきた業者は、当てこんでいた補助金が入らず、さらに先行投資を丸々かぶって地獄を見る可能性もある」 本当に意味があるのか?そもそも、無料検査事業が本格化したのは2回目までのワクチン接種率が8割程度に達した後で、実効性には疑問符がつけられてきた。「岸田文雄政権がコロナ対策で支持率を稼ぐため、ダラダラ続けているだけ」(全国紙政治部記者)との批判もつきまとう。補助金が減額となり、悪質な業者の存在が報じられるようになっても事業が終了しないのは、政権が10月から開始した「全国旅行支援」との兼ね合いで、「コロナ再拡大を招いた」との批判をかわしたい思惑もちらつく。冒頭の業者はこう話す。 「2020年にコロナ禍が始まった当初にこそ、無料検査は必要だったはずです。それが、その時は厚労省が『病床が逼迫する』と主張してやらず、2年が経ってようやくアリバイ的に始めたというのが実態でしょう。私たち業者からすれば儲かってありがたいが、一国民として言うなら、重症化の危険性は低くなっていているし、今さら無症状の人までわざわざ税金を使って検査する必要があるとは思えません」 2020年春のコロナ蔓延開始からまもなく3年が経つ。「コロナ疲れ」が広がっていることも、足元で起きているこうした杜撰な実態が、国民の目に入りづらくなっている理由と言えそうだ。
無料検査センターを訪れた人に、検査の見返りに商品券を配る業者がいたとして批判されるケースもあった。
「いわゆる保険診療詐欺と同じような仕組みです。PCR検査に実際にかかる費用が3000円だとして、1万円が税金から支払われるわけだから、7000円も利幅がある。そこから500円~1000円を顧客への『PR費用』としてバックする業者がいても全く不思議ではありません。業者も顧客も困らず、困るのは国や自治体側だし、法的にも問題ないと踏んだんでしょう」(前出の業者)
驚くべきことに、業者側が補助金を申請する時の「検査件数」も自己申告ベースになっており、その杜撰さがかねてから指摘されてきた。都内の別の業者は、ここにも不正が介在する余地があると話す。
「名前や住所、電話番号などの個人情報と問診票を書いたという事実さえあれば基本的には通用するから、バイトの学生を動員して何度も受けさせたり、名簿屋から買った情報をそのまま打ち込んで水増しする、というような業者は普通にいますよ。自治体側から調べが入った時に言い訳できればいいし、確かな情報提供や物的証拠があるとかでないと、よほど悪質でない限りは自治体側もマンパワーが足りないから調べきれない」
まさに「濡れ手で粟」の状態だったわけだが、そんな無料検査事業も9月以降は旨みがなくなってきた。東京都でいえば、都外の人が無料検査の対象から外されたため検査数が稼ぎにくくなり、補助金の額も減額されたためだ。先の業者はこう話す。「国の予算は3200億円だから、PCR検査一回を1万円として3200万回くらい賄える計算にはなる。ただ今年の夏の第7波は、無料検査所が本格的に普及してから初めての波で検査数が激増した。東京都だけでも検査拠点は1200ヵ所を超えているから、それが一日あたり数十、数百件と検査するようになり、国や自治体も予想外の出費に驚いたんでしょう。まだ表には出ていませんが、PCR検査の補助金の上限は現在では9500円に減額されています。これからもっと減らされるのは明らかで、検査1件につき5000円とか、これまでの半額程度になることも十分想定される。世間のコロナに対する警戒感も日に日に薄らいでいますから、検査件数も伸びなくなっているし、潮時だと撤退する業者も増えてきた。また、補助金が最終的に支払われるのは実績報告を自治体が提出し、国のチェックが終わった後になる。不正がちらほら報じられ始めましたし、クレームがついて最終的に補助金取り消しになる業者も出てくるでしょう。明らかに普通の顧客ではない、東京都の職員としか思えない『Gメン』がしつこく検査所を訪れたり、事業の趣旨を理解しているか聞いたりしているのも、怪しい業者にアタリをつけるためです。安易に参入して杜撰な検査をしてきた業者は、当てこんでいた補助金が入らず、さらに先行投資を丸々かぶって地獄を見る可能性もある」 本当に意味があるのか?そもそも、無料検査事業が本格化したのは2回目までのワクチン接種率が8割程度に達した後で、実効性には疑問符がつけられてきた。「岸田文雄政権がコロナ対策で支持率を稼ぐため、ダラダラ続けているだけ」(全国紙政治部記者)との批判もつきまとう。補助金が減額となり、悪質な業者の存在が報じられるようになっても事業が終了しないのは、政権が10月から開始した「全国旅行支援」との兼ね合いで、「コロナ再拡大を招いた」との批判をかわしたい思惑もちらつく。冒頭の業者はこう話す。 「2020年にコロナ禍が始まった当初にこそ、無料検査は必要だったはずです。それが、その時は厚労省が『病床が逼迫する』と主張してやらず、2年が経ってようやくアリバイ的に始めたというのが実態でしょう。私たち業者からすれば儲かってありがたいが、一国民として言うなら、重症化の危険性は低くなっていているし、今さら無症状の人までわざわざ税金を使って検査する必要があるとは思えません」 2020年春のコロナ蔓延開始からまもなく3年が経つ。「コロナ疲れ」が広がっていることも、足元で起きているこうした杜撰な実態が、国民の目に入りづらくなっている理由と言えそうだ。
まさに「濡れ手で粟」の状態だったわけだが、そんな無料検査事業も9月以降は旨みがなくなってきた。東京都でいえば、都外の人が無料検査の対象から外されたため検査数が稼ぎにくくなり、補助金の額も減額されたためだ。先の業者はこう話す。
「国の予算は3200億円だから、PCR検査一回を1万円として3200万回くらい賄える計算にはなる。ただ今年の夏の第7波は、無料検査所が本格的に普及してから初めての波で検査数が激増した。東京都だけでも検査拠点は1200ヵ所を超えているから、それが一日あたり数十、数百件と検査するようになり、国や自治体も予想外の出費に驚いたんでしょう。
まだ表には出ていませんが、PCR検査の補助金の上限は現在では9500円に減額されています。これからもっと減らされるのは明らかで、検査1件につき5000円とか、これまでの半額程度になることも十分想定される。世間のコロナに対する警戒感も日に日に薄らいでいますから、検査件数も伸びなくなっているし、潮時だと撤退する業者も増えてきた。
また、補助金が最終的に支払われるのは実績報告を自治体が提出し、国のチェックが終わった後になる。不正がちらほら報じられ始めましたし、クレームがついて最終的に補助金取り消しになる業者も出てくるでしょう。明らかに普通の顧客ではない、東京都の職員としか思えない『Gメン』がしつこく検査所を訪れたり、事業の趣旨を理解しているか聞いたりしているのも、怪しい業者にアタリをつけるためです。
安易に参入して杜撰な検査をしてきた業者は、当てこんでいた補助金が入らず、さらに先行投資を丸々かぶって地獄を見る可能性もある」
本当に意味があるのか?そもそも、無料検査事業が本格化したのは2回目までのワクチン接種率が8割程度に達した後で、実効性には疑問符がつけられてきた。「岸田文雄政権がコロナ対策で支持率を稼ぐため、ダラダラ続けているだけ」(全国紙政治部記者)との批判もつきまとう。補助金が減額となり、悪質な業者の存在が報じられるようになっても事業が終了しないのは、政権が10月から開始した「全国旅行支援」との兼ね合いで、「コロナ再拡大を招いた」との批判をかわしたい思惑もちらつく。冒頭の業者はこう話す。 「2020年にコロナ禍が始まった当初にこそ、無料検査は必要だったはずです。それが、その時は厚労省が『病床が逼迫する』と主張してやらず、2年が経ってようやくアリバイ的に始めたというのが実態でしょう。私たち業者からすれば儲かってありがたいが、一国民として言うなら、重症化の危険性は低くなっていているし、今さら無症状の人までわざわざ税金を使って検査する必要があるとは思えません」 2020年春のコロナ蔓延開始からまもなく3年が経つ。「コロナ疲れ」が広がっていることも、足元で起きているこうした杜撰な実態が、国民の目に入りづらくなっている理由と言えそうだ。
そもそも、無料検査事業が本格化したのは2回目までのワクチン接種率が8割程度に達した後で、実効性には疑問符がつけられてきた。「岸田文雄政権がコロナ対策で支持率を稼ぐため、ダラダラ続けているだけ」(全国紙政治部記者)との批判もつきまとう。
補助金が減額となり、悪質な業者の存在が報じられるようになっても事業が終了しないのは、政権が10月から開始した「全国旅行支援」との兼ね合いで、「コロナ再拡大を招いた」との批判をかわしたい思惑もちらつく。
冒頭の業者はこう話す。 「2020年にコロナ禍が始まった当初にこそ、無料検査は必要だったはずです。それが、その時は厚労省が『病床が逼迫する』と主張してやらず、2年が経ってようやくアリバイ的に始めたというのが実態でしょう。私たち業者からすれば儲かってありがたいが、一国民として言うなら、重症化の危険性は低くなっていているし、今さら無症状の人までわざわざ税金を使って検査する必要があるとは思えません」
2020年春のコロナ蔓延開始からまもなく3年が経つ。「コロナ疲れ」が広がっていることも、足元で起きているこうした杜撰な実態が、国民の目に入りづらくなっている理由と言えそうだ。
2020年春のコロナ蔓延開始からまもなく3年が経つ。「コロナ疲れ」が広がっていることも、足元で起きているこうした杜撰な実態が、国民の目に入りづらくなっている理由と言えそうだ。