日本一面積が小さい富山県舟橋村のパワハラを調査していた第三者委員会が調査報告書を公表し、約10年間で村職員の3分の1にあたる約10人が暴言などの被害に遭っていたことが判明した。
「村幹部の意識の低さがパワハラの原因になった」と指摘し、相談窓口の整備や苦情申し出制度の周知を提言した。
委員会は4月、暴言を繰り返した40歳代の男性職員が戒告の懲戒処分を受けたことをきっかけに発足した。8月までに職員や退職者のほか、関連事業者ら約60人に聞き取り調査を行った。
報告書によると、懲戒処分を受けた男性職員は2010年から、特定の女性職員に大声で「給料泥棒」などの暴言を吐き、予算要求の照会に返事をすると「うるせえ!!」とのメールを送りつけていた。女性職員は村幹部に被害を訴えたが、古越邦男村長(当時副村長)は「目立たないように。無視しろ」などと言い、抜本的な対応を取らなかった。
また、別の職員は2021年2月に村役場の視聴覚室で事業者と打ち合わせ中、ドアを蹴破るほどの音を立てて押し入ってきた男性職員に、どう喝されていた。事業者は「これはひどい。舟橋村役場っていつもこうなんですか?」と驚き、職員の身の危険を考慮して視聴覚室に待機するように促したという。
この他にも複数の職員によるパワハラと疑われる行為も判明した。職員が別の職員に暴力を振るって警察が介入した後、村議控室にある各議員の引き出しに誹謗(ひぼう)中傷文書が匿名で投げ込まれたり、職員の自家用車がパンク被害に遭ったりしたこともあったという。
役場内ではここ数年の間に4人がメンタル不調で病休や通院を余儀なくされ、2人は退職している。こうした状況が10年以上も放置されたことについて、報告書は「村長、副村長を含めた管理監督者のコンプライアンス意識の欠如が原因で極めて異常」と断じ、「村長を始めとした所属長らが強く自省し、自らも含めての意識改革が重要かつ急務だ」と結論づけた。
古越村長は8日、読売新聞の取材に「アットホームな職場だと自分では思っていたが、3分の1が被害に遭ったということに正直驚いている。住民の方々や職員に迷惑をかけたので、体制を立て直すために努力したい」と話した。第三者委の報告書は6日から、村のホームページに公開されている。
■県議対象にハラスメント防止研修会
県議対象のハラスメント防止研修会が8日、県議会議事堂で開かれ、その実態や防ぎ方などを学んだ。
全国都道府県議会議長会が初めて開催し、オンライン方式で実施。上智大の三浦まり教授が、選挙での投票につけ込んで嫌がらせをする「票ハラスメント」の被害者は女性の地方議員で多く、ハラスメントは次世代の政治参画を妨げる行為であると説明した。
ハラスメントに対する相談体制の整備は、昨年6月に成立した「政治分野における男女共同参画推進法」の改正法で自治体の義務となっており、県議会は今後詳細を検討する。