「這いつくばった女性が助けを叫んでいる隣で、顔じゅう傷だらけの犯人が取り押さえられていました。そこにたくさんの野次馬が群がっていて、あの時の渋谷はカオスでしたよ」
【画像】3人の男性が必死になって佐藤容疑者を取り押さえた瞬間スタンガンを使って強盗に及んだ 11月12日、20代女性にスタンガンを押し当ててショルダーバッグを奪ったとして、静岡県裾野市の会社員・佐藤紀裕容疑者(27)が強盗致傷の疑いで逮捕された。逮捕された佐藤紀裕容疑者(日本テレビ系「NEWS ZERO」より)

佐藤容疑者は、世界トップクラスのシェアを誇る自動車部品を製造する大手メーカーに勤務している。普段暮らしている社宅は静岡県裾野市にあり、事件のあった渋谷まで、おおよそ100キロ以上の距離がある。電車で約3時間かけてわざわざ渋谷までやってきて、一体何をするつもりだったのか――。 全国紙社会部記者が解説する。「事件は12日の午後1時ごろ、渋谷区道玄坂の路上で起きました。佐藤容疑者はツイッターを通じて被害者の女性と知り合い、現場近くのファーストフード店で初めて顔を合わせました。店を出て歩き始めたところ、女性の背中や右腕にスタンガンを当て、バッグを奪っています。しかし20メートルほど逃げたところで、通行人の男性3人に取り押さえられました。通報で警察が駆けつけた頃にはすっかり大人しくなっていたようですが、取り押さえた男性の1人にもスタンガンを当て、負傷させています。幸い、被害者は2名とも軽傷で済んだようです」ラブホテルの前で揉める男女の姿 土曜日の昼下がりに起きた、今回の“渋谷スタンガン強盗”。事件直前の佐藤容疑者と被害者女性を目撃していたという人物はこう話す。「人気のラーメン店に向かう途中に、ラブホテルの前で何やら話し込んでいる男女を見ました。男の方がスマホの画面を見せながらブツブツ言ってましたね。通りすがりに見ただけなんですけど、てっきり単なるカップルの喧嘩だと思ってました。それから5分後くらいかな。ラーメン屋の行列に並んでいたら、ひったくりの犯人が通行人に取り押さえられているって聞こえたので犯人の顔を覗いてみたら、さっきラブホテルの前でぶつくさ言ってた男の人だったんです」「犯人は体格がよくて、男3人でも押さえられない瞬間があった」と話すのは、佐藤容疑者を取り押さえた際、スタンガンを当てられてしまった被害者の藤本さん(20代、仮名)である。「タバコを買おうとしていると『ひったくりー!』『ドロボー!』って女性の大きな叫び声がしたんです。その後すぐに、バチバチッと異様な音がしたので振り返ると、ホテル街の方から走ってくる男がいました。女性から奪ったカバンは紐がちぎれていて、かなりボロボロになっていました」 白昼の渋谷に響いた女性の助けを求める声。雷のような激しい音。路地を激走する男。藤本さんは気づけば男を追って走っていた。容疑者を取り押さえた男性の告白「(佐藤容疑者の)足は全然速くなかったんで、すぐに追いついたんですけど、先に止めようとしていた男性2人がはねのけられるほどガタイが良く、抵抗されたらまずいと上から覆いかぶさるように取り押さえました」 佐藤容疑者はしぶとく抵抗を続けていたという。「警察が来るまで10分くらいあったと思います。テレビやネットで拡散されている、犯人がしおらしくなっている動画は警察到着直前の1~2分のものです。取り押さえられている間も佐藤容疑者はずっと逃走を図っていて、『どけ!』とかなんとかわめき続けていました。その内、逃げられないと観念したのか徐々に大人しくなっていったんですけど……」 後は警察に引き渡すだけ――取り押さえた男性たちも、周囲の野次馬もそう思っていた。しかし佐藤容疑者は最後の悪あがきに及ぶ。藤本さんが続ける。「単なるひったくり犯だと思っていたので、ちょっと油断していたのかもしれません。上に乗って押さえつけていた他の男性が体勢を崩し、佐藤容疑者が中腰になった瞬間、僕の右脇腹にスタンガンを当ててきました。感じたことのない痛みが身体中を走って、訳が分からず、頭が真っ白になりました。とはいえ、気絶するほどの衝撃ではなかったので、僕も防衛本能ですぐにまた取り押さえました。ただ、スタンガンを捨てさせようとしてかなり激しくもめたんです。ニュースの映像で佐藤容疑者の顔に傷があったのは、その時できたものだと思います。その後、やっと抵抗をやめて『すいませんでした』『ごめんなさい』と何度も繰り返し言っていました。警察が来ると、正座をして身体検査も言われたままに対応していて、やっと観念した様子でした」スタンガンで経験したことのない痛みが走った 佐藤容疑者が現行犯逮捕された後、藤本さんは病院へ運ばれた。スタンガンによる電撃傷と診断され、全治10日の痛みに今も苦しんでいる。「右腹に擦り傷程度ですが傷は残っています。痛いというか、体の内部に違和感がずっと残っている感じです。骨がうずくというのでもなく、体の奥からなにかが突き上げてくるような鈍痛とでもいいますか。もう何年も前にやめちゃったけど、総合格闘技をやっていたので打撃の痛みなら経験あるんですが、スタンガンを当てられた瞬間のあの激痛と、その後からくる体の内部からの刺激、そしてあのバチバチッという音は、日にちが経って、冷静に思い返してみても体験したことないですね」 渋谷は防犯カメラも多いから、現場で取り押さえなくてもどうせ犯人は捕まっていたでしょう、と藤本さんは最後に言った。ネット上や目撃者からは藤本さんらの行動に賞賛の声が集まっている。 一方、佐藤容疑者は、調べに対して「私がしたことに間違いありません」と容疑を認めており、凶器となったスタンガンについては「護身用で持っていた」と説明。警視庁渋谷署は、犯行の動機と被害女性との関係を調べている。強盗目的のために、スタンガンを所持していた訳ではないのだろうか。事件の真相解明が待たれる。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス:[email protected] 文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
11月12日、20代女性にスタンガンを押し当ててショルダーバッグを奪ったとして、静岡県裾野市の会社員・佐藤紀裕容疑者(27)が強盗致傷の疑いで逮捕された。
逮捕された佐藤紀裕容疑者(日本テレビ系「NEWS ZERO」より)
佐藤容疑者は、世界トップクラスのシェアを誇る自動車部品を製造する大手メーカーに勤務している。普段暮らしている社宅は静岡県裾野市にあり、事件のあった渋谷まで、おおよそ100キロ以上の距離がある。電車で約3時間かけてわざわざ渋谷までやってきて、一体何をするつもりだったのか――。
全国紙社会部記者が解説する。
「事件は12日の午後1時ごろ、渋谷区道玄坂の路上で起きました。佐藤容疑者はツイッターを通じて被害者の女性と知り合い、現場近くのファーストフード店で初めて顔を合わせました。店を出て歩き始めたところ、女性の背中や右腕にスタンガンを当て、バッグを奪っています。しかし20メートルほど逃げたところで、通行人の男性3人に取り押さえられました。通報で警察が駆けつけた頃にはすっかり大人しくなっていたようですが、取り押さえた男性の1人にもスタンガンを当て、負傷させています。幸い、被害者は2名とも軽傷で済んだようです」
土曜日の昼下がりに起きた、今回の“渋谷スタンガン強盗”。事件直前の佐藤容疑者と被害者女性を目撃していたという人物はこう話す。
「人気のラーメン店に向かう途中に、ラブホテルの前で何やら話し込んでいる男女を見ました。男の方がスマホの画面を見せながらブツブツ言ってましたね。通りすがりに見ただけなんですけど、てっきり単なるカップルの喧嘩だと思ってました。それから5分後くらいかな。ラーメン屋の行列に並んでいたら、ひったくりの犯人が通行人に取り押さえられているって聞こえたので犯人の顔を覗いてみたら、さっきラブホテルの前でぶつくさ言ってた男の人だったんです」「犯人は体格がよくて、男3人でも押さえられない瞬間があった」と話すのは、佐藤容疑者を取り押さえた際、スタンガンを当てられてしまった被害者の藤本さん(20代、仮名)である。「タバコを買おうとしていると『ひったくりー!』『ドロボー!』って女性の大きな叫び声がしたんです。その後すぐに、バチバチッと異様な音がしたので振り返ると、ホテル街の方から走ってくる男がいました。女性から奪ったカバンは紐がちぎれていて、かなりボロボロになっていました」 白昼の渋谷に響いた女性の助けを求める声。雷のような激しい音。路地を激走する男。藤本さんは気づけば男を追って走っていた。容疑者を取り押さえた男性の告白「(佐藤容疑者の)足は全然速くなかったんで、すぐに追いついたんですけど、先に止めようとしていた男性2人がはねのけられるほどガタイが良く、抵抗されたらまずいと上から覆いかぶさるように取り押さえました」 佐藤容疑者はしぶとく抵抗を続けていたという。「警察が来るまで10分くらいあったと思います。テレビやネットで拡散されている、犯人がしおらしくなっている動画は警察到着直前の1~2分のものです。取り押さえられている間も佐藤容疑者はずっと逃走を図っていて、『どけ!』とかなんとかわめき続けていました。その内、逃げられないと観念したのか徐々に大人しくなっていったんですけど……」 後は警察に引き渡すだけ――取り押さえた男性たちも、周囲の野次馬もそう思っていた。しかし佐藤容疑者は最後の悪あがきに及ぶ。藤本さんが続ける。「単なるひったくり犯だと思っていたので、ちょっと油断していたのかもしれません。上に乗って押さえつけていた他の男性が体勢を崩し、佐藤容疑者が中腰になった瞬間、僕の右脇腹にスタンガンを当ててきました。感じたことのない痛みが身体中を走って、訳が分からず、頭が真っ白になりました。とはいえ、気絶するほどの衝撃ではなかったので、僕も防衛本能ですぐにまた取り押さえました。ただ、スタンガンを捨てさせようとしてかなり激しくもめたんです。ニュースの映像で佐藤容疑者の顔に傷があったのは、その時できたものだと思います。その後、やっと抵抗をやめて『すいませんでした』『ごめんなさい』と何度も繰り返し言っていました。警察が来ると、正座をして身体検査も言われたままに対応していて、やっと観念した様子でした」スタンガンで経験したことのない痛みが走った 佐藤容疑者が現行犯逮捕された後、藤本さんは病院へ運ばれた。スタンガンによる電撃傷と診断され、全治10日の痛みに今も苦しんでいる。「右腹に擦り傷程度ですが傷は残っています。痛いというか、体の内部に違和感がずっと残っている感じです。骨がうずくというのでもなく、体の奥からなにかが突き上げてくるような鈍痛とでもいいますか。もう何年も前にやめちゃったけど、総合格闘技をやっていたので打撃の痛みなら経験あるんですが、スタンガンを当てられた瞬間のあの激痛と、その後からくる体の内部からの刺激、そしてあのバチバチッという音は、日にちが経って、冷静に思い返してみても体験したことないですね」 渋谷は防犯カメラも多いから、現場で取り押さえなくてもどうせ犯人は捕まっていたでしょう、と藤本さんは最後に言った。ネット上や目撃者からは藤本さんらの行動に賞賛の声が集まっている。 一方、佐藤容疑者は、調べに対して「私がしたことに間違いありません」と容疑を認めており、凶器となったスタンガンについては「護身用で持っていた」と説明。警視庁渋谷署は、犯行の動機と被害女性との関係を調べている。強盗目的のために、スタンガンを所持していた訳ではないのだろうか。事件の真相解明が待たれる。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス:[email protected] 文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「人気のラーメン店に向かう途中に、ラブホテルの前で何やら話し込んでいる男女を見ました。男の方がスマホの画面を見せながらブツブツ言ってましたね。通りすがりに見ただけなんですけど、てっきり単なるカップルの喧嘩だと思ってました。それから5分後くらいかな。ラーメン屋の行列に並んでいたら、ひったくりの犯人が通行人に取り押さえられているって聞こえたので犯人の顔を覗いてみたら、さっきラブホテルの前でぶつくさ言ってた男の人だったんです」
「犯人は体格がよくて、男3人でも押さえられない瞬間があった」と話すのは、佐藤容疑者を取り押さえた際、スタンガンを当てられてしまった被害者の藤本さん(20代、仮名)である。
「タバコを買おうとしていると『ひったくりー!』『ドロボー!』って女性の大きな叫び声がしたんです。その後すぐに、バチバチッと異様な音がしたので振り返ると、ホテル街の方から走ってくる男がいました。女性から奪ったカバンは紐がちぎれていて、かなりボロボロになっていました」
白昼の渋谷に響いた女性の助けを求める声。雷のような激しい音。路地を激走する男。藤本さんは気づけば男を追って走っていた。容疑者を取り押さえた男性の告白「(佐藤容疑者の)足は全然速くなかったんで、すぐに追いついたんですけど、先に止めようとしていた男性2人がはねのけられるほどガタイが良く、抵抗されたらまずいと上から覆いかぶさるように取り押さえました」 佐藤容疑者はしぶとく抵抗を続けていたという。「警察が来るまで10分くらいあったと思います。テレビやネットで拡散されている、犯人がしおらしくなっている動画は警察到着直前の1~2分のものです。取り押さえられている間も佐藤容疑者はずっと逃走を図っていて、『どけ!』とかなんとかわめき続けていました。その内、逃げられないと観念したのか徐々に大人しくなっていったんですけど……」 後は警察に引き渡すだけ――取り押さえた男性たちも、周囲の野次馬もそう思っていた。しかし佐藤容疑者は最後の悪あがきに及ぶ。藤本さんが続ける。「単なるひったくり犯だと思っていたので、ちょっと油断していたのかもしれません。上に乗って押さえつけていた他の男性が体勢を崩し、佐藤容疑者が中腰になった瞬間、僕の右脇腹にスタンガンを当ててきました。感じたことのない痛みが身体中を走って、訳が分からず、頭が真っ白になりました。とはいえ、気絶するほどの衝撃ではなかったので、僕も防衛本能ですぐにまた取り押さえました。ただ、スタンガンを捨てさせようとしてかなり激しくもめたんです。ニュースの映像で佐藤容疑者の顔に傷があったのは、その時できたものだと思います。その後、やっと抵抗をやめて『すいませんでした』『ごめんなさい』と何度も繰り返し言っていました。警察が来ると、正座をして身体検査も言われたままに対応していて、やっと観念した様子でした」スタンガンで経験したことのない痛みが走った 佐藤容疑者が現行犯逮捕された後、藤本さんは病院へ運ばれた。スタンガンによる電撃傷と診断され、全治10日の痛みに今も苦しんでいる。「右腹に擦り傷程度ですが傷は残っています。痛いというか、体の内部に違和感がずっと残っている感じです。骨がうずくというのでもなく、体の奥からなにかが突き上げてくるような鈍痛とでもいいますか。もう何年も前にやめちゃったけど、総合格闘技をやっていたので打撃の痛みなら経験あるんですが、スタンガンを当てられた瞬間のあの激痛と、その後からくる体の内部からの刺激、そしてあのバチバチッという音は、日にちが経って、冷静に思い返してみても体験したことないですね」 渋谷は防犯カメラも多いから、現場で取り押さえなくてもどうせ犯人は捕まっていたでしょう、と藤本さんは最後に言った。ネット上や目撃者からは藤本さんらの行動に賞賛の声が集まっている。 一方、佐藤容疑者は、調べに対して「私がしたことに間違いありません」と容疑を認めており、凶器となったスタンガンについては「護身用で持っていた」と説明。警視庁渋谷署は、犯行の動機と被害女性との関係を調べている。強盗目的のために、スタンガンを所持していた訳ではないのだろうか。事件の真相解明が待たれる。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス:[email protected] 文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
白昼の渋谷に響いた女性の助けを求める声。雷のような激しい音。路地を激走する男。藤本さんは気づけば男を追って走っていた。
「(佐藤容疑者の)足は全然速くなかったんで、すぐに追いついたんですけど、先に止めようとしていた男性2人がはねのけられるほどガタイが良く、抵抗されたらまずいと上から覆いかぶさるように取り押さえました」
佐藤容疑者はしぶとく抵抗を続けていたという。
「警察が来るまで10分くらいあったと思います。テレビやネットで拡散されている、犯人がしおらしくなっている動画は警察到着直前の1~2分のものです。取り押さえられている間も佐藤容疑者はずっと逃走を図っていて、『どけ!』とかなんとかわめき続けていました。その内、逃げられないと観念したのか徐々に大人しくなっていったんですけど……」
後は警察に引き渡すだけ――取り押さえた男性たちも、周囲の野次馬もそう思っていた。しかし佐藤容疑者は最後の悪あがきに及ぶ。藤本さんが続ける。「単なるひったくり犯だと思っていたので、ちょっと油断していたのかもしれません。上に乗って押さえつけていた他の男性が体勢を崩し、佐藤容疑者が中腰になった瞬間、僕の右脇腹にスタンガンを当ててきました。感じたことのない痛みが身体中を走って、訳が分からず、頭が真っ白になりました。とはいえ、気絶するほどの衝撃ではなかったので、僕も防衛本能ですぐにまた取り押さえました。ただ、スタンガンを捨てさせようとしてかなり激しくもめたんです。ニュースの映像で佐藤容疑者の顔に傷があったのは、その時できたものだと思います。その後、やっと抵抗をやめて『すいませんでした』『ごめんなさい』と何度も繰り返し言っていました。警察が来ると、正座をして身体検査も言われたままに対応していて、やっと観念した様子でした」スタンガンで経験したことのない痛みが走った 佐藤容疑者が現行犯逮捕された後、藤本さんは病院へ運ばれた。スタンガンによる電撃傷と診断され、全治10日の痛みに今も苦しんでいる。「右腹に擦り傷程度ですが傷は残っています。痛いというか、体の内部に違和感がずっと残っている感じです。骨がうずくというのでもなく、体の奥からなにかが突き上げてくるような鈍痛とでもいいますか。もう何年も前にやめちゃったけど、総合格闘技をやっていたので打撃の痛みなら経験あるんですが、スタンガンを当てられた瞬間のあの激痛と、その後からくる体の内部からの刺激、そしてあのバチバチッという音は、日にちが経って、冷静に思い返してみても体験したことないですね」 渋谷は防犯カメラも多いから、現場で取り押さえなくてもどうせ犯人は捕まっていたでしょう、と藤本さんは最後に言った。ネット上や目撃者からは藤本さんらの行動に賞賛の声が集まっている。 一方、佐藤容疑者は、調べに対して「私がしたことに間違いありません」と容疑を認めており、凶器となったスタンガンについては「護身用で持っていた」と説明。警視庁渋谷署は、犯行の動機と被害女性との関係を調べている。強盗目的のために、スタンガンを所持していた訳ではないのだろうか。事件の真相解明が待たれる。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス:[email protected] 文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
後は警察に引き渡すだけ――取り押さえた男性たちも、周囲の野次馬もそう思っていた。しかし佐藤容疑者は最後の悪あがきに及ぶ。藤本さんが続ける。
「単なるひったくり犯だと思っていたので、ちょっと油断していたのかもしれません。上に乗って押さえつけていた他の男性が体勢を崩し、佐藤容疑者が中腰になった瞬間、僕の右脇腹にスタンガンを当ててきました。感じたことのない痛みが身体中を走って、訳が分からず、頭が真っ白になりました。とはいえ、気絶するほどの衝撃ではなかったので、僕も防衛本能ですぐにまた取り押さえました。ただ、スタンガンを捨てさせようとしてかなり激しくもめたんです。ニュースの映像で佐藤容疑者の顔に傷があったのは、その時できたものだと思います。その後、やっと抵抗をやめて『すいませんでした』『ごめんなさい』と何度も繰り返し言っていました。警察が来ると、正座をして身体検査も言われたままに対応していて、やっと観念した様子でした」
佐藤容疑者が現行犯逮捕された後、藤本さんは病院へ運ばれた。スタンガンによる電撃傷と診断され、全治10日の痛みに今も苦しんでいる。
「右腹に擦り傷程度ですが傷は残っています。痛いというか、体の内部に違和感がずっと残っている感じです。骨がうずくというのでもなく、体の奥からなにかが突き上げてくるような鈍痛とでもいいますか。もう何年も前にやめちゃったけど、総合格闘技をやっていたので打撃の痛みなら経験あるんですが、スタンガンを当てられた瞬間のあの激痛と、その後からくる体の内部からの刺激、そしてあのバチバチッという音は、日にちが経って、冷静に思い返してみても体験したことないですね」 渋谷は防犯カメラも多いから、現場で取り押さえなくてもどうせ犯人は捕まっていたでしょう、と藤本さんは最後に言った。ネット上や目撃者からは藤本さんらの行動に賞賛の声が集まっている。 一方、佐藤容疑者は、調べに対して「私がしたことに間違いありません」と容疑を認めており、凶器となったスタンガンについては「護身用で持っていた」と説明。警視庁渋谷署は、犯行の動機と被害女性との関係を調べている。強盗目的のために、スタンガンを所持していた訳ではないのだろうか。事件の真相解明が待たれる。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス:[email protected] 文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「右腹に擦り傷程度ですが傷は残っています。痛いというか、体の内部に違和感がずっと残っている感じです。骨がうずくというのでもなく、体の奥からなにかが突き上げてくるような鈍痛とでもいいますか。もう何年も前にやめちゃったけど、総合格闘技をやっていたので打撃の痛みなら経験あるんですが、スタンガンを当てられた瞬間のあの激痛と、その後からくる体の内部からの刺激、そしてあのバチバチッという音は、日にちが経って、冷静に思い返してみても体験したことないですね」
渋谷は防犯カメラも多いから、現場で取り押さえなくてもどうせ犯人は捕まっていたでしょう、と藤本さんは最後に言った。ネット上や目撃者からは藤本さんらの行動に賞賛の声が集まっている。
一方、佐藤容疑者は、調べに対して「私がしたことに間違いありません」と容疑を認めており、凶器となったスタンガンについては「護身用で持っていた」と説明。警視庁渋谷署は、犯行の動機と被害女性との関係を調べている。強盗目的のために、スタンガンを所持していた訳ではないのだろうか。事件の真相解明が待たれる。◆◆◆「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス:[email protected] 文春くん公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
一方、佐藤容疑者は、調べに対して「私がしたことに間違いありません」と容疑を認めており、凶器となったスタンガンについては「護身用で持っていた」と説明。警視庁渋谷署は、犯行の動機と被害女性との関係を調べている。強盗目的のために、スタンガンを所持していた訳ではないのだろうか。事件の真相解明が待たれる。
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