神戸市垂水区で2020年、市立中学3年の女子生徒(当時14歳)が自殺した問題で、市教育委員会が設置した第三者委員会は9日、「いじめが自死に強く影響した」とする調査報告書を市教育長に提出した。いじめや生徒の自傷行為がエスカレートしていたのに、学校側はその兆候を見逃し、「いじめは解消した」と判断していた。報告書は学校が組織的な対応を怠り、家族との情報共有も不十分だったと指摘。「致命的な誤りで、自死は防げた」と厳しく批判した。
神戸・中3女子生徒自殺 第三者委「いじめが強く影響」 20年9月5日朝、生徒が自宅で死亡しているのを父親が発見。机には「学校疲れた」「死にたいな」とのメモが残されていた。市教委は同年12月、いじめ防止対策推進法に基づき、弁護士や精神科医らによる第三者委を設置。同級生や教諭らに聞き取り調査した。 報告書によると、生徒は小学5年の時、触った物を汚物扱いされるなど、同じクラスの7割が関与する集団いじめを受けた。中学に入学後も他の女子生徒から嫌がらせを受けたり、男子生徒5人からばい菌扱いされたりした。 学校はこの5人を1回指導しただけで、組織的・継続的な指導をしなかった。生徒は19年3月に自傷行為を始めたが、学校は母親に「いじめは解消している」と説明し、いじめの深刻さを伝えていなかった。 生徒へのいじめはその後も続き、他の女子生徒からLINE(ライン)で「殺すぞ」「はやくしねや」とメッセージを送られることもあった。 中学3年の時、加害生徒5人のうち3人と同じクラスになり、精神的な負担が増加。担任に「席を近くしないで」と席替えを再三訴えた。自殺の1カ月前にはSNS(ネット交流サービス)に「死にたいってなんなんだろう」「誰か助けて」と投稿。しかし、死の直前まで友人らのLINEグループから削除されるなどのいじめが続いた。 報告書はいじめがトラウマになり、生徒の自己肯定感が著しく損なわれていたと指摘。進学への不安も重なって精神的に追い込まれていたが、周囲がそれを理解せず、適切な支援ができなかったと結論づけた。 第三者委のメンバーで、精神科医の山下仰(こう)・武庫川女子大教授は記者会見で「学校は早々にいじめが解消したと判断し、被害生徒に寄り添った対応ができず、責任は重い」と述べた。【山本真也】いじめなどの相談窓口・24時間子供SOSダイヤル=0120・0・78310(なやみ言おう)、年中無休、24時間・児童相談所全国共通ダイヤル=189(いち早く)、年中無休、24時間・子どもの人権110番=0120・007・110、平日午前8時半~午後5時15分・チャイルドライン=0120・99・7777、毎日午後4~9時(18歳まで)
20年9月5日朝、生徒が自宅で死亡しているのを父親が発見。机には「学校疲れた」「死にたいな」とのメモが残されていた。市教委は同年12月、いじめ防止対策推進法に基づき、弁護士や精神科医らによる第三者委を設置。同級生や教諭らに聞き取り調査した。
報告書によると、生徒は小学5年の時、触った物を汚物扱いされるなど、同じクラスの7割が関与する集団いじめを受けた。中学に入学後も他の女子生徒から嫌がらせを受けたり、男子生徒5人からばい菌扱いされたりした。
学校はこの5人を1回指導しただけで、組織的・継続的な指導をしなかった。生徒は19年3月に自傷行為を始めたが、学校は母親に「いじめは解消している」と説明し、いじめの深刻さを伝えていなかった。
生徒へのいじめはその後も続き、他の女子生徒からLINE(ライン)で「殺すぞ」「はやくしねや」とメッセージを送られることもあった。
中学3年の時、加害生徒5人のうち3人と同じクラスになり、精神的な負担が増加。担任に「席を近くしないで」と席替えを再三訴えた。自殺の1カ月前にはSNS(ネット交流サービス)に「死にたいってなんなんだろう」「誰か助けて」と投稿。しかし、死の直前まで友人らのLINEグループから削除されるなどのいじめが続いた。
報告書はいじめがトラウマになり、生徒の自己肯定感が著しく損なわれていたと指摘。進学への不安も重なって精神的に追い込まれていたが、周囲がそれを理解せず、適切な支援ができなかったと結論づけた。
第三者委のメンバーで、精神科医の山下仰(こう)・武庫川女子大教授は記者会見で「学校は早々にいじめが解消したと判断し、被害生徒に寄り添った対応ができず、責任は重い」と述べた。【山本真也】
いじめなどの相談窓口
・24時間子供SOSダイヤル=0120・0・78310(なやみ言おう)、年中無休、24時間
・児童相談所全国共通ダイヤル=189(いち早く)、年中無休、24時間
・子どもの人権110番=0120・007・110、平日午前8時半~午後5時15分
・チャイルドライン=0120・99・7777、毎日午後4~9時(18歳まで)