「彼女はまだ高校生。共通点はほとんどなかったけど…」16歳と結婚した経営者男性(57)が語る、“年の差婚”のリアル

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今や “年の差婚”は珍しくない時代だが、現実にそうしたカップルがいるとつい心配してしまうもの。だが果たして、当人同士はどのような経緯で結婚に至り、その後どう過ごしているのか?
【画像】当時16歳の女性と再婚した山口和文さん(仮名・57歳)
そこで、実際に21歳年下の女性と結婚し、夫婦関係を20年以上継続している男性に、年の差婚のリアルな実態を聞いてみた。
“年の差婚”をしたカップルのリアルな実態とは? ※写真はイメージ Tomoharu_photography/イメージマート
◆ ◆ ◆
「年の差婚については周りからもめちゃくちゃ聞かれますけど、実はそこまで特別なエピソードがあるわけじゃないんです。これは僕と妻の性格もあるのかもしれませんが、夫婦といっても結局は他人だし、人と人の関係をどう作るかっていうだけの話ではないでしょうか」
そう語るのは、都内在住の自営業、山口和文さん(仮名・57歳)。離婚歴があり、今のパートナーである美咲さん(仮名・36歳)と再婚したのは20年前。当時山口さんは37歳で、美咲さんはなんと16歳だった。実に21歳の年齢差があったわけだが、そもそも、これだけ年の差がある社会人と高校生がどうやって出会ったのか?
「きっかけは単なる間違い電話だったんです。ある日、僕の携帯に知らない番号から着信があって、折り返しでかけたら出たのが彼女だった。正直、何の話をしたかも覚えていませんけど、不思議と話が盛り上がって、『面白かったから、また電話しようね』という感じで、電話友達になったんです」
何度か電話をするうちに自然な流れで「じゃあ会ってみようよ」という話になり、山口さんが美咲さんに会いに行くことに。
「彼女は静岡県の郊外に住んでいる高校生でした。実際に会う前に電話で彼女の年齢も聞いていましたけど、気になりませんでしたね。彼女も『普段は出会わない年上の男性と出会って魅力を感じた』そうです」

こうして2人はトントン拍子に交際を始め、あっという間に結婚の話に発展したという。しかし、そこから先はすんなり進む話ではなかった。
「彼女は親に交際を打ち明けた段階で、猛反対されたそうです。ただ、結婚には僕よりも彼女の方がずっと積極的で『結婚できないんだったら死ぬ』くらいの勢いで折れなかった。それで親も『とりあえず相手の人と会わせて』となり、僕が挨拶に行くことになりました」
ご両親とも、山口さんの少し年上で、ほぼ同世代に当たる。実際に会った時の反応はどうだったのか。
「実際に会ってみて、ちゃんとしているとわかってもらえたんでしょう。そこからは特に修羅場もなく結婚を許してもらいました。
世間ではよく『非正規社員だから結婚できない』『フリーターだから相手の親が結婚を認めてくれない』なんて言うじゃないですか。でもこれだけの年の差婚をした僕の経験から言えば、スペックが左右するのではなくて、本当に大事なのは『どんな人間なのか』ということだと思います」
年の差婚カップルの中でも、彼女が16歳というのはなかなかレアなケースだろう。「彼女がもう少し年齢を重ねるまで待ってもよかったのではないか」という声も聞こえてきそうだが……。
「お互いずっと一緒にいたいって気持ちが一番大きかったと思います。遠距離恋愛でしたし。これだけ年齢差があると、さすがに先方の親は結婚前提じゃないと納得しないだろうという思いもありました。
彼女がこれだけ結婚したがっている以上、僕も真剣な気持ちで彼女と向き合っているということを伝えるには一番いい手段なのかなと」
結婚式は挙げず、美咲さんは通っていた静岡の高校を辞めて東京に引っ越した。新築の一軒家で一緒に暮らし始めたが、お互いの興味の対象は最初からまったく違っていたという。

「共通点はほとんどなかったです。たとえば一緒にテレビを見るにしても、僕は芸能人のことは興味もないしほとんど分からない。でも、彼女は音楽番組が好きで、『この韓流アイドルグループには日本人のメンバーがいる』とか、『この芸能人は誰と結婚してる』とかをずっと話していました。
他にも違いを挙げればキリがないです。カラオケでも歌う曲は全然違うし、好きな食べ物も、好きな洋服の系統も、遊びに行きたい場所も全然違いましたね」
ここまで共通点がない相手との生活でお互いにストレスを感じるようなことはなかったのだろうか。
「好みが違うのはどんな夫婦にもあることですし、特にストレスはなかったです。子どもが生まれてからは、自然に子どもについての話が中心になりました」
とはいえ子どもが生まれたことで生活が変わり、別の問題も生まれてきた。
「一人目が生まれた時、僕は子育てを妻に任せっきりだったんです。まだ赤ちゃんで大変な時期なのに、『仕事の飲み会があるから』と朝帰りしたこともありました。彼女はまだ若く、遊びたい気持ちもあっただろう中、一人で赤ちゃんを育てていたから申し訳なかったなと反省しています」

お互いの意見が対立した時はなかったのか。
「これまで、激しく口論をするような喧嘩はありません。というより、ちゃんと話し合ったりもしなくて、なんとなくウヤムヤにしてやり過ごしてきました。
なにかで意見が対立した時、長く生きている僕の方がどうしても口が立つし、理詰めで説得しようと思えばできたかもしれません。でも、それはやらないようにしていました。どんなに論理的に正しかったとしても、お互いが納得しないと意味がない。だからあえてはっきりした答えを出さないで、なるようになると思ってやってきました」

“対立しないようにする”という考え方が、夫婦関係の継続のために重要なのだと山口さんは語る。
「相手を説得しようとしちゃいけないっていうのは本当に重要です。『パートナーには正しい理屈で諭されるより、自分の気持ちに寄り添ってほしい』という人が多いのではないでしょうか。この辺りは、普通に付き合っているカップルでも、とくに男の人が失敗しがちなことじゃないかなと思います」
山口さん自身は年齢差で特に困ったことはなかったというが、10代で結婚して、すぐ家庭に入った美咲さんはどうだったのか。
「子どもを幼稚園に迎えに行くと、『10代のお母さんがいる』みたいな感じで好奇の目で見られたりするのは嫌だったみたいですが、聞いたことがあるのはそのくらいですかね。でもきっと、周りと比べると『これでよかったのかしら?』とか思う瞬間はあったと思います」
年の差があってもなくても価値観の違いは当たり前にあるもの。山口さんは「年の差婚でうまくいかない人もたくさんいるかもしれませんが、そういう人はどんな年齢の人と結婚したってうまくいかないんじゃないでしょうか」と話す。
「僕らはお互いの仕事や家事、子育てに対するリスペクトがありましたし、うまく信頼関係を築けていると思います。価値観の違いというのはどこの夫婦にもあることだと思いますが、夫婦関係を継続させるために、互いの考えのすり合わせができるように意識していますね」

子育ての大変な時期も過ぎ、生活が落ち着いてきたため、最近になって美咲さんはパートで働きに出るようになったという。
「やっぱり、一度は社会に出て働いてみたいという気持ちもあったようです。それに今後のこともありますからね。今のところ体に問題はないけど、どう考えても僕が先に死んじゃう。僕がいないと生きていけない、ということにはしたくないので。
変な話ですが、仮に彼女に別の男ができても、それはそれでいい。むしろ、いてくれた方が、僕が死んだ時に頼れる人がいて安心できる気もします」
(清談社)

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