世界が注目!秘境路線バスの旅 廃線寸前が人気スポットに 運転手泣かせ“過酷道”も

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路線バスの廃止や減便が相次ぐなか、過疎地の山中を走りながらも、世界中から利用者が押し寄せる“秘境の路線バス”。さらに「危険すぎて」運転手が音を上げるほどの“酷道”路線バスもありました。
徳島県三好市の山あいを走る四国交通の路線バス「祖谷(いや)線」。ここは1000メートル級の山々や、エメラルドグリーンの川に囲まれたまさに“秘境”と呼ばれるエリアです。
沿線では住民の過疎化が進み、かつては廃線の危機に。しかし、ダイナミックな自然を感じられる「祖谷渓谷」はいまや外国人の人気スポットに。
イタリア人の乗客は、雄大な自然が織りなす絶景に大感激!
祖谷線は、そんな秘境を2時間かけて走ります。
こちらは、4週間の日本旅行を楽しんでいる、オランダ人夫婦。
彼らのお目当てのスポットは、とある停留所のすぐ目の前。そこは、知る人ぞ知る隠れ絶景ポイント。V字に切り立つ祖谷渓谷を、高台から間近に見渡せるんですが…。
すると、やってきたのはケーブルカー。これに乗ってある目的地に向かうといいます。
超急角度のおよそ170メートル降りた先にあるのは、“日本三大秘湯”の一つ「祖谷温泉」。
深い谷底にある、源泉掛け流しの露天風呂。ひとけのない温泉で、大自然との一体感を楽しめます。
この日乗車してきたのは、東京在住、結婚11年目の中国人夫婦。
思いつくままノープランで四国巡りを楽しんでいるという2人は、片時も手を離さない、ラブラブ夫婦。お目当てがありました。
それは、全長45メートルの吊り橋「かずら橋」。水面からの高さは14メートルとスリル満点。この地域の代表的なスポットです。
夫婦仲良く、手をつないでスタート!しかし、慎重に歩くあまり、手を離してしまった妻・チェンさん。すると、夫のジェンさん(51)、ひとりで行っちゃいました…。
山あいを進む祖谷線の終着駅は始発駅からおよそ2時間の「久保停留所」。しかし、ここで終着駅から別のバスに乗り継ぎ、さらに山奥へ進む乗客を発見しました。
和歌山から来たという、56歳の橋本さん夫婦。
秘境を巡る路線バスの旅が大好きな夫婦。その目的地は、祖谷エリアのシンボルともいえる、標高1955メートルの「剣山」。
最近登山にハマったというご夫婦ですが、山の中腹までは登山リフトでひとっ飛び!
こうなると頂上までは40分ほどの道のり。ようやく、ここから登山スタートです。実は2人には、山頂でどうしてもやりたいことがありました。
絶景を眺めて食べる、極上カレーライス。しかしこの直後、思わぬ事態が発生しました。登山開始わずか10分ほどで、夫の直樹さん、さっそく息切れの様子。
まったく息も切れていない妻・美紀さん。一方の直樹さんは、その後も進んでは休む、進んでは休むの繰り返し…。果たして大丈夫なのでしょうか?56歳の直樹さん、力を振り絞ります。
そして、登山開始から40分…。
四国の山並みを360度にわたって見渡せる、壮大なパノラマ。そしてお目当てのカレーライスですが…。
これには妻・美紀さんもご覧の表情。残念ながら、山頂でのカレーライスはお預けに。それでもお二人とも十分楽しんだ様子でした。
この日、祖谷線に乗っていたのは、九州大学の留学生2人組。ずいぶん大きなリュックですが…。
秘境を探してはキャンプ生活を送っているという2人。観光スポットだけでなく、バスからの車窓すべてが魅力的だといいます。
すると、突然バスがストップ。狭い道に対向車が来ていたんです。この路線ではこうした緊張感も一つの楽しみです。
しかし、実はこの地域には、この路線以上に危険な道を走る路線バスがあるんです。
山あいの細い一本道を走る「漆川(しつかわ)線」。バス運転手から、「この道がイヤと言って辞めた運転手が何人もいる」「私が知っているのでも(辞めた運転手は)3人くらいはいる」という声が聞かれるほど、バス1台が通るのもやっとの狭さです。
さらに続く、曲がりくねった山道。運転手も逃げ出す、過酷な路線バスです。
ひとたび対向車と遭遇すれば、バックしかありません。この時はなんと200メートル近く下がっていました。
漆川線の走る沿線は、高齢者が点在して暮らす過疎地。
この路線バスには地域に根付いた、こんなサービスもありました。こちらは街の中心地から乗った、買い物帰りの女性、すると…。
路線バスは、地元住民に寄り添いながら走っています。
こちらの「(もうすぐ)92歳。ひ孫が7人おる」と話すおばあちゃんも、路線バスの常連客。
90歳を超えても、とってもお元気な近藤照子さん(91)。毎朝必ず行うというのが、長い廊下を全速力で5往復!健康長寿の秘訣なんだとか。
農作業もこなす、元気おばあちゃんの照子さん。週1回、必ずこの路線バスを利用して“ある場所”に向かうといいます。
それが、地元の公民館で行われる「体操教室」。運動だけでなく、自宅にこもりがちな生活に、潤いを与えているといいます。照子さんの生きがいを、路線バスが支えていました。
そこへやってきた路線バス。
運転手とのたわいない日常会話は、地域に根付いた路線バスならではの光景でした。
照子さんは、いつまでもバスに手を振ります。
地元住民との絆をつないで、秘境を走る路線バスはきょうも過酷な山道を走っています。

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