日豪「準同盟」鮮明に新安保宣言…対中抑止へ軍事面で連携、岸田首相「同志国における中心の柱」

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【パース(オーストラリア西部)=栗山紘尚、ジャカルタ=川上大介】日豪両国は22日、安全保障協力を深化させる新たな共同宣言に署名し、「準同盟」関係を鮮明に打ち出した。
中国の台頭やロシアのウクライナ侵略で国際秩序が揺らぐ中、民主主義や法の支配など共通の価値観を持つ両国の連携の重要性が高まっているためだ。
「豪州は、日本の同志国における中心の柱だ」
岸田首相は日豪首脳会談で、豪州の重要性を伝えた。アルバニージー豪首相は、日豪関係は「アンザス条約の一歩手前まで来ている」と評価した。アンザス条約は相互の防衛義務を定めた、米豪、ニュージーランドによる安全保障条約だ。
安保共同宣言を署名した22日は中国共産党大会の閉幕日と重なった。宣言では中露を念頭に「侵略、ルールや規範を損なう行動を抑止する」とも掲げた。
日豪の協力が加速したのは、中国抑止という共通目標があるためだ。
日豪は2007年3月、当時の安倍、ハワード両首相がテロ対処などでの協力を掲げた安保共同宣言に署名した。今回は、中国の動向など現在の安保環境を踏まえ、軍事面での連携に踏み込んだ。防衛省幹部は「台湾有事の際には豪軍も関与する可能性が高い。自衛隊との共同対処を想定し、準備すべきだ」と解説する。
豪州は中国との経済的な結び付きも重視してきたが、新型コロナウイルスの発生源を巡り、豪州が20年に「独立した調査」を求めると、中国は輸入制限など露骨な圧力を加え、関係が冷え込んだ。中国が今年4月、南太平洋のソロモン諸島と安保協定を締結するなど、太平洋島嶼(とうしょ)国に影響を拡大しているのも懸念材料だ。
9月の安倍氏の国葬には、豪州からアルバニージー氏と元首相3人が参列した。アルバニージー氏は5月の就任以降、2回来日し、対面の日豪首脳会談は3回目。日本政府高官は「日豪はかつてないほど相思相愛になっている」と指摘する。
岸田首相は22日夜、搭乗予定の政府専用機に不具合があり、予備機で帰国の途に就いた。政府専用機は不測の事態に備え、首相外遊時は2機で運用している。

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