【何が】板橋“名物アーケード”一部解体に店舗が反対行動 道路建設計画で東京都と意見対立「商店街がおかしくなる」

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560mにも及ぶ“名物アーケード”があり、都内有数の商店街といわれる板橋区「ハッピーロード大山商店街」。
安さと便利さ、人情味あふれる雰囲気から、1日3万人以上が訪れる人気商店街として長く愛されてきましたが、その“アーケード”の一部を解体する工事が、4月から始まりました。
1978年にできたアーケード完成に関わった、商店街振興組合・元理事長の大野厚さんは、街のシンボル的存在の解体にさびしさを口にします。
商店街振興組合・元理事長 大野厚さん:我々はこの町が一つになればね。560m、素晴らしい回遊性というか…持たせた素晴らしい街になると思って、必死になってアーケードを作ったんですよ。悲しいですね…。
アーケードが解体される背景にあるのは、東京都が進める道路事業計画です。
田中良幸 情報キャスター:このあたりのアーケードを一部撤去して、代わりに商店街を斜めに通す形で、都の道路の建設が予定されています。
解体が始まったのは、アーケードの中で都市計画道路の建設予定地と重なる部分です。工事は都と、商店街振興組合の合意に基づいて行われていますが、一部の店舗などが強く反発。
4月9日には、「アーケードはこれからも必要だ」とデモ行進が行われ、反対運動が起こる事態となっています。
「めざまし8」が取材したのは、首都圏を中心に80店舗以上を展開する、スーパー「コモディイイダ」の飯田武男社長。
店街にある「コモディイイダ」の店舗には、再開発反対の看板が掲げられていました。
飯田武男社長:本来、私どもみたいな流通業で商売やっている人間が、こういう反対運動をすべきじゃないと私自身思っています。だけども、あまりにも住民や消費者不在の計画、声をあげないと商店街がおかしくなる。道路ができるかできないかも分からないのに、アーケードを壊すこと自体がおかしいと。
道路を作るためには用地が必要ですが、現在、都が公表している用地取得率は 51%。まだ道路が建設できるかもわからない状況で、先にアーケードの解体が始まったことに憤りを覚えると、飯田社長は話します。
都市開発に詳しい専門家も、取得率51%は“低い”と指摘。商店街側にリスクも…。
都市開発に詳しい 明治大学 市川宏雄 名誉教授:現段階で50%ぐらいっていうのは、ちょっと低いなという印象を持ちます。怖いのは商店街の連続した一体、アーケードを壊して、そこで一旦分断させた。しかし、道路拡張は進まずにそのままになると。今のままつながりがなくなると、分断された側は衰退が始まるリスクまであると。
防災面から新たな道路を必要としている都側。アーケードの周辺は、道幅が狭く、住宅も密集していることから地震や火災への脆弱性が懸念されています。
道路が開通することで、緊急車両の通行など防災機能が高まることが期待されており、東京都の計画では、来年度末までに道路整備の完了を目指すとしています。
それでも進まない用地の取得。何か理由があるのでしょうか?立ち退きに応じていない地主を取材すると、高齢で、今の環境が変わってしまうことに不安を感じていると話します。
約70年住む地主:アーケードも壊さないし、道路も造らない。このままでいいよね。私の夫は身体障害者だから、この辺は歩けるんだけど、ちょっと遠くは車椅子じゃないとダメなのよ。
さらに、別の地主は都との交渉について…。
約90年住む地主:(都の)担当者が2年に1回は替わるわけですよ。そういう人たちが替わるたびに話が変わってきちゃうんですよ。具体的な話は、まだ出てないんですね。
こうした現状について、東京都は「めざまし8」の取材に以下の回答をしました。
【東京都】現在、関係権利者一人一人に事業の必要性や、補償の考え方について丁寧に説明しながら、用地取得を進めており、今後とも、地元の理解と協力を得ながら、道路の完成に向け整備を進めていきます。
さらに、「撤去時期については、アーケードの所有者であるハッピーロード大山商店街振興組合と調整し合意した上で補償契約を締結しています」と主張。予定通り、来年度末までの道路完成を目指す方針だということです。
また、アーケードの解体に同意した商店街振興組合も「苦渋の選択」だったといいます。
【商店街振興組合】東京都の計画は、来年度までに行われることになっており、商店街の事情で作業が遅れるということがあってはいけません。道路事業と調整しながら、「ここだけは壊さないといけない」という場所を苦渋の選択で壊すことになりました。
商店街や街の未来をめぐる意見の対立。解決の糸口はどこにあるのでしょうか。(「めざまし8」4月26日放送より)

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