オープンから1ヵ月半! 東京の新名所 豊洲「千客万来」で見せつけられた″海外と日本の超格差″

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世界一の規模を誇る豊洲市場のすぐ隣に、江戸の街並みが広がっていた――。
各地で温泉施設を運営する「万葉倶楽部」が今年2月にオープンさせた「千客万来」。約70の飲食店と物販店が入る「食楽棟」と、湯河原の名湯を都心で楽しむことができる「温泉棟」からなるこの複合施設は連日、多くのインバウンド客で賑わっているという。
そんな東京の新名所には開業以来、なんとも不名誉な悪評が立っている。〈高すぎる〉〈ぼったくりだ〉と、主に日本人利用客から、嘆きのコメントが多数寄せられているのだ。真相を確かめるため、FRIDAY記者が現地に足を運んだ。
3月のとある土曜日、千客万来は歩くのも大変なくらいの混雑ぶりだった。
お昼時を少し外した15時でも多くの店に行列ができており、場内は日本語だけでなく、英語や中国語など様々な言語で溢れている。食べ歩きのできる串焼きを販売する店には、英語のメニューが貼られていた。確かに値段は強気に設定されていて、「高すぎる……」と囁(ささや)く日本語が聞こえてくることは、一度や二度ではなかった。4300円の「A5和牛串」を食べたという30代女性に話を聞いた。
「栃木から下調べせずに来たので、値段の高さには正直びっくりしました。確かに味はおいしいんですけど、どの店も高いので食べ歩きは難しいですね。ただ、入場料がかからないので、江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気を楽しめるのはありがたいです」
女性に話を聞き終えると記者は、あまりにワイルドな価格で、「外国人観光客しか食べない”インバウン丼”だ」とネット上で揶揄(やゆ)されていた海鮮丼店「うに虎」を訪れた。
予想通り行列はできていたが、意外にも日本人ばかりで外国人観光客の姿はない。店内ではCHANELの大きな紙袋を持ったカップルなど、富裕層オーラ溢れる人々が海鮮丼に舌鼓を打っていた。
実際に記者も、ウニや本鮪がふんだんに載っている最高額の「皇帝」(1万8000円)を頼んでみた。注文から約5分後に運ばれてきた「皇帝」は、金の器に豪華な海鮮が所狭しと載せられており、まさに”海の宝石箱や~”と言いたくなってしまうようなビジュアル。一口食べてみると、ウニは濃厚でしっかりとしたコクがあり、心地よい舌触り。ミョウバン臭さは微塵も感じられない。トロは口に入れた瞬間溶けていくが、くどさは感じられず何枚でも食べたくなる上質なものだ。たしかに、とても美味しい。
美味しいのだが、1万8000円払ってまた食べたいかと言われたら……。どんな気持ちで”インバウン丼”を売っているのか、店員を直撃した。
「厳選されたバフンウニやムラサキウニの他、本鮪の大トロや中トロ、いくらも載っているので適正だと思います」
「うに虎」の従業員としては、模範解答だろう。しかし、千客万来の中には、「皇帝」を適正価格と思っていないスタッフもいた。別の店舗でハキハキと接客していた女性はこう語った。
「値段、かわいくないですよね(笑)。1万8000円出せば、銀座でもいいお寿司が食べられますし。まあ、どういった理由であれ話題になるのはいいことだと思っていますけど」
最後に無料(タオルは200円)で足湯を楽しめる「千客万来足湯庭園」に寄った記者は言葉を失った。豊洲の景色を一望できる足湯に浸かりながら、”映え写真”の撮影に躍起になっていたのは、日本人ばかりだったのだ――。足湯に向かうエレベーター前に並んでいるのも全員、おそらく日本人だ。千葉から来た20代の女性は言う。
「レインボーブリッジが架かる東京湾を見ながら、足湯に入れてしかも無料。ご飯は高いけど(笑)、ここに来るだけでも十分に楽しめると思います」
まざまざと見せつけられた経済格差。だが、健気に楽しむ日本人にたくましさも感じた。千客万来は東京のシン・観光スポットとして定着するだろう。
『FRIDAY』2024年4月5・12日号より

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