婚活で大苦戦した、33歳「社長令嬢」の起死回生!「年収600万円」の男性を選んだワケ…仲人も納得したお嬢さまの「理想の結婚観」

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日本における婚姻件数が、ピークに達した1972年から数えて四半世紀を経た現在、当時の約半数が結婚に至る一方で、婚活市場が盛況をみせている。
なかでも婚活マッチングサービスの市場が堅調で、2021年では768億円だった規模も、2026年には1657億円にまで膨れ上がると消費者庁が発表している。
現在のブーム再来は、2014年にはじまった「地域少子化対策」の流れを踏襲した岸田首相が、昨年に掲げた「異次元の少子化対策」のなかで「婚活支援」を打ち出した影響も大きい。婚活支援の具体的な施策は各行政に託されているものの、一昨年からは「AIによる婚活」にも行政が力を入れ始め、今後も官製婚活の流れは進むとみられている。
しかし、周りがどんなにお膳立てしても、本人の意思が向かなければそれも水の泡だ。また始めたとして、どんなに相手と相性がよくても恋愛にならなければ結婚には至らず、どんなに相手のことが好きでも、恋愛だけではままならない。
「鶏が先か卵が先か」のように、婚活成功は冷静と情熱のジレンマを経てたどり着くもので、その温度差を相手にうまく伝えられなければ、単に価値観が違うとバッサリ切り捨てられるのだから厄介だ。
そんなミスマッチを上手に導くのも仲人の仕事だ。自身も相談所のお見合いを経て結婚した仲人の高須美谷子氏のもとには、マッチングアプリやほかの相談所ではうまくいかなかった婚活者たちもたくさんいるという。
<33歳の「社長令嬢」が婚活で大苦戦…!仲人が仰天したお嬢さまの「意外すぎる趣味」と婚活に求める条件>に引き続き、今回はそんな「冷静と情熱」で四苦八苦する女性レイナさん(33歳・仮名)の実例からから、改めて婚活の難しさとひとしおの幸せを考えてみたい。
レイナさんの歴史好きの本当の意味を知ったのは2度目の面談の時だった。初回は平日の仕事帰りに立ち寄った姿にはかなり地味な印象を受けたが、休みの日に訪れたレイナさんは別人のように輝いていた。
着物を身にまとい、薄化粧だが綺麗に整っている。代々受け継がれているという紅藤色の着物は正絹の光沢が眩しく、レイナさんをより高貴に魅せていた。
小粋な着物を普段着として着こなすところはさすが良家のお嬢様という雰囲気だった。家では江戸時代の調理法で作った料理を食べているなど、独特なこだわりが見られる。その延長線上では、憧れの生き様を縄文時代に馳せていた。
「ジョウモン??」と思わず聞き返してしまったが、レイナさんはこれまで見たことのないような饒舌ぶりで堰を切ったように話し出した。
「縄文時代って素晴らしいんです。狩猟型の生活でありながら定住して、約1万年も続いた時代っていうのは、世界にも例を見ないんですよ」
更に「縄文時代みたいな生活が憧れです。パートナーが同じ興味があれば青森の三内丸山遺跡を散策したいです」と続けた。
趣味が縄文となるとお相手はかなりの狭き門だ。私は期待を持たせすぎないように「一緒にいても別々のことをしていて過ごせるカップルになると良いですね」とそれとなく伝えた。
レイナさんの関心が“あるなし“のスイッチにはかなりの落差があって、あっけにとられたものの、この時、初めてレイナさんの情熱的な部分をかいま見れてた私は、呆然としながらも安心していた。
家督を継ぐプレッシャーを抱えながら、レイナさんは活動を開始した。数人の方とお見合いを重ねたが、なかなか見合う人は現れなかった。
レイナさんが理想としていたのは「自由を認め合える関係」。しかし男性たちは結婚相手に女性らしさを求め、気配りや愛嬌のないレイナさんの前では露骨に期待はずれな様子を浮かべた。男性側からお断りされることが続き、レイナさんは自信を喪失していった。
4人目のお見合い相手が隼人さん(38歳・仮名)だった。隼人さんは一般的な家庭で育ち、大学を卒業して食品開発の技術者を務める。
年収は600万円。こざっぱりとした男性で容姿も条件面も悪くない。特徴的なのはクールすぎる人間関係の築き方にあった。初対面の相手からは「冷たい」「優しさがない」と言われて、交際が継続しないことが続いていたのだ。
隼人さん自身は女性に対して媚びるところがなく、ちやほやされたい女子には不人気の原因となっていた。ただ、女性を厚遇することがない反面、女性らしさを期待するところもない。
レイナさんのようなタイプとの相性が良いのではないかと私は考えた。隼人さんの趣味は「カメラ・旅行」とあり、これもレイナさんの「歴史好き」とも合う気がする。
レイナさんと隼人さんは初対面から相手の「堅さ」や「冷たさ」をマイナス面として取ることもなく、お互いの低体温な接し方に安堵感を感じていたようであった。
これまでのお見合い経験から「縄文時代好き」は男性にはウケが悪く、相手にされないのはレイナさん自身も分かっていたので、隼人さんとも最初は当たり障りのない会話を交わしたという。
途中で隼人さんが一眼レフカメラを片手に、電車が不通となった廃線巡りが趣味で撮影旅をしていることを話し始めたところで流れが変わった。「なかなか人にはわかってもらえないから」と言いながら、恥ずかしそうに笑う隼人さんの姿が「可愛い」とレイナさんは感じたようだ。
隼人さんの情報開示にまた一つ安堵感を得たレイナさんは、自身の歴女趣味や暮らしぶりを話し始めた。
二人のはじめてのデートは隼人さんが清澄白河を提案した。最近話題のデートスポットである。東京都現代美術館で現代アートを鑑賞した後は、深川散歩と称して深川不動堂まで歩き、門前仲町も巡ったという。隼人さんは一眼レフを肩から下げていて、たまに立ち止まってシャッターを切っていた。
隼人さんが写真を撮る間はレイナさんも、急かすわけでもなく自由に過ごしたそうだ。歩き疲れると2人はベンチに座ってぽつりぽつりと語り合った。隼人さんはその会話の所々で写真を撮った理由を歴史の豆知識などを交えて説明し、レイナさんもそれに耳を傾けていたという。
レイナさんが最初に鑑賞した現代アートについて「意味が分からなかった」と打ち明けると、隼人さんは笑いながら「僕も全く、失敗でしたね」と微笑んだという。こんなスローペースのやり取りの中で2人は共感することを分かち合ったようだ。
その後も二人は都内の歴史を巡る“お散歩デート”を続けては、「感覚」をシェアしていった。楽しい、つまらない、美味しそうなどと言いながら、街中に溢れる情報を捕まえては会話していった。
隼人さんも歴史に詳しいようで、デートの回数を重ねるごとにその解説を聞きながら街を歩くことが自然となっていったそうだ。ふらふらっと辿り着く甘味処や蕎麦屋での休憩を挟みデートは夕方まで続く。
6回目のデートの時に、ふと立ち寄った甘味処で隼人さんが「僕たち老夫婦みたいですね」といった一言を聞いた瞬間から、レイナさんの中に、これまでになかった結婚生活というもののイメージが鮮烈にひらめいたそうだ。これまでは結婚のイメージがつかずにいたレイナさんだが、歳をとった隼人さんと二人で散歩をしているイメージが脳裏をかすめたそうだ。
それを聞いたレイナさんは自然と縄文時代の話を隼人さんにしていたそうだ。「縄文時代は、1日4時間労働で男女の差別や争いごともない平和な時代だったんです」
隼人さんの口から「理想的ですね」と聞けた瞬間に、レイナさんはガッツポーズをして喜んだという。冷静沈着なはずのレイナさんらしからぬ態度に隼人さんは引もせず微笑んでくれたそうだ。
この回の報告を受けて成婚を確信した私は、仲人としての大事な業務であるお相手の条件の裏取を始めた。
じつは、お見合いでは、本人たちが順調に交際されていても条件が合わないと破談になってしまうこともあるのだ。なので、あとで論点になり得る条件部分を先に仲人同士で確認し合うのだ。
今回はレイナさんが家督を継ぐということを隼人さんが承諾してもらえるのかを確認しなければならない。隼人さんの仲人に現状を伝え、条件を確認すると「婿入りOK」。これで成婚へのゴールにグッと近づく。あとは本人たちの気持ちが一体化する瞬間を見守るだけだ。
交際3ヵ月目のデートで、隼人さんから「今日のデートは少し遠くでも良いですか?」と提案され、都心からは離れた郊外にある博物館に案内されたそうだ。そこは旧石器時代から江戸時代までの遺跡などを体験できる施設で、レイナさんは水を得た魚のように縄文土器を眺めて回った。
気づけば数時間が経過していた。デート中なのに隼人さんにそっちのけにしてしまい、愛想をつかれたことを心配したが、彼は彼でとある土器の前に張り付いて手帳にデッサンをしていたそうだ。
この時のデートで明らかとなったのだが、お互いに好きなことに没頭していても気にならないということだった。じつは隼人さんも、これまで歴女の友人はいたが、ほとんどがミーハーで上っ面な知識の持ち主ばかりで、とことん話せる人はいなかった。
隼人さんは「これまでの万人受けする場所でのデートはなしにして、今後はお互いの好きなことをとことん味わえる時間を重ねていこう」とレイナさんに告げた。
「それってプロポーズですか?」
レイナさんの思いがけない言葉に、隼人さんはその場では何も答えなかったという。しかしその日を堺に結婚へのスイッチが入った2人は、まもなく真剣交際へと発展した。
<愛とはお互い見つめあうことではなく、共に同じ方向を見つめることである>。
『星の王子さま』の作者サン・デグジュペリの言葉だ。レイナさんが理想としていた関係性を自然と築ける相手に、この広い世界の中で出会うことができた。
お二人がゴールインして数ヶ月後に新婚旅行の写真が送られてきた。青森の三内丸山遺跡をバックに仲睦まじく手を繋ぎ微笑むご夫婦の姿が今でも脳裏に焼きついている。
幸せという栄光はチャレンジした者だけが手にするかけがえのない勲章なのだ。そしてその愛を永久にしていくのは互い理解と努力次第なのである。

引き続き<37歳、結婚したい「ハイスペ女性」が青ざめた…既婚者からの「危ない誘い」で自覚した、自分の市場価値>でも、自立した女性の婚活実例をあげつつ、理想の結婚を叶えるためのポイントを仲人が解説しています。

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