「毎日新聞が反省しているとは思えない」 名誉毀損訴訟で勝利した原告がそれでも怒っている理由

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2019年当時、政府の国家戦略特区ワーキンググループの座長代理だった原英史氏が、毎日新聞の記事で名誉を傷つけられたとして1100万円の賠償を求めた訴訟で、最高裁は1月10日に両者の上告を棄却。毎日新聞に220万円の支払いを命じた東京高裁判決が確定したのだ。
【実際の紙面】毎日新聞が「顔写真」入りで朝刊の1面トップで報じた“問題の記事”
毎日新聞は「取材が十分ではなく、記事も正確ではなかったとの判決の趣旨を真摯に受け止め、今後の取材活動に生かしていきます」との記事を掲載し、関連記事のインターネット上での公開を停止した。
問題の記事は2019年6月11日付朝刊の1面トップで、顔写真入りで、国家戦略特区をめぐる原さんの「疑惑」を報じたもの。
美容学校に関わる規制改革に関連し、特区提案者から原さんが現金と会食接待を受けたことが強く印象付けられる紙面になっていた。
毎日新聞の報道はその後も続き、漁業法をめぐる話でも原さんの名前が出てきた。また、この記事を国民民主党の森ゆうこ参議院議員をはじめとする野党議員が取り上げ、毎日新聞はその動きをさらに報じていった。
新聞が火をつけ、野党議員がそこに薪をくべていき、原さんは国家戦略特区関連で甘い汁を吸った人物だという印象が広まっていった。
これを事実無根だ、として原さんは毎日新聞や森議員らを名誉棄損で訴えたのである。
今回判決が確定したのは毎日新聞を相手取った訴訟についてだ。
原さんは著書『国家の怠慢』(高橋洋一・嘉悦大学教授との共著)の中で、この裁判について怒りを交えて次のように語っている(発言は2020年時点のもの)
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まず、この件で本当に驚いたのは、新聞って全く根も葉もない記事を書くことがあるんだなということですね。新聞報道に間違いのあることはこれまでも知っていました。しかし、そうはいっても、大々的にスキャンダルを報じる記事をみたらこれまでは、すべてが真実かはともかく、少なくとも何らかの不正があったんだろうと思っていました。ところが、この記事に関して、私には何ひとつ不正がないわけです。それにもかかわらず、私が不正な金をもらったとしか読めない事実無根の記事が出ました。
裏の目的はよくわからないわけですが、規制改革を止めたい人たちが、何らかの形でリークをして、それに乗っかって毎日新聞さんがちゃんとした取材をせずに記事を書いてしまったということだと思います。
そして、それにまた乗っかって、国民民主党の森ゆうこ参議院議員をはじめ何人かの野党の国会議員の人たちが攻撃をしたという構図ですね。
いま毎日新聞との裁判をやっていて、近いうちに一審の判決が出ると思いますが、すでにその過程で、いろいろなことが明らかになってきました。まず前提として、最初の毎日新聞の記事では2つのことが書いてあった。
一つ目は、私が特区提案者から金をもらったということ。明らかにそう見えるような記事だったわけです。もう一つは私が会食接待を受けた、フグをごちそうになったと書いてあった。そして、特区の委員という立場を利用して、金をもらい、会食接待を受けているのは問題だ、という記事だったわけです。そんな事実が全くないので、記事が出たその日のうちに、私は反論文を公開しましたが、毎日新聞はその後も続報を出し続けたんですね。5日続けて1面、その後も1カ月続いたわけです。それで仕方ないので、こちらも毎日反論文を公開し続け、それでも止まらないので提訴しました。
裁判になったら向こうが主張してきたのは、記事には私(原)がお金をもらったとは書いていないというのです。確かに記事の文面をよく見ると、私ではなく別の会社がもらったと書いてあるところもあるんだけれども、まあ1面のチャート図には私の顔写真が大きく出て、見出しには「指導料200万円」と書いてある。
しかも、記事の最後には、「原氏が公務員なら収賄罪に問われる可能性がある」という大学教授のコメントまで載せてある。どう考えたって私が金をもらったとしか見えません。ところが、毎日新聞は記事の最重要部分について、裁判では「そんなことは書いてません」と否定しているわけです。
ひどいことに、裁判ではそんな話になっているのに、国会ではその後も、この記事に基づく指摘がなされました。森ゆうこ議員は2019年10月の参議院予算委員会で、私が収賄罪相当のことをした、つまり金をもらったと発言した。これはNHK中継の入っている質疑でしたから、全国にあまねく虚偽をばらまいてくれたわけです。ところが、毎日新聞は、これを否定しようともしない。本来なら「森議員の国会質問は大間違い。記事にそんなことは書いてません」と1面トップで報道すべきでしたが、それもしない。無責任極まりないと思いましたね。
もう一つの会食接待についても、そんな事実は全くない。記事では福岡で会食接待を受けたことになっているのですが、この日は私はたしかに福岡にいました。しかし、15時まで会議があって、16時過ぎには空港に行って飛行機に乗っているので、およそ会食は無理なんです。
記事が出る前に取材があって、記者さんにそう伝えているのですが、なぜか会食接待を受けたとの記事になった。これはその後、日本語の読み間違いと思い込みに基づくことがわかってきた。私と一緒に出張していた藤原豊さんという内閣府の人がいて、その人も一緒に会食接待を受けたかのような記事になっているのですが、その藤原さんと記者さんとの取材時のやり取りで、記者さんは藤原さんが店に行ったことを認めたと思い込んでしまったんです。
これは、回答文書を単に読み間違えているだけなのですが、それで記事にしてしまったらしきことも大体わかってきた。だから、最低限の日本語能力のある人を取材に出してよ、という話だったと思っています。
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記事掲載から最高裁で決着が着くまで4年半。これ自体はさほど大きなニュースとして報じられない。
原氏は今回の判決確定を受けて、改めて次のように語る。
「判決を受け、まず毎日新聞には徹底した検証を求めたいと思います。毎日新聞にはこれまでも繰り返し検証を求めてきましたが、『訴訟係争中』を理由に応じてもらえていませんでした。不当な報道を繰り返さないため、開かれた場での検証と結果公表が不可欠のはずです。
判決確定を伝える記事でも、毎日新聞は意味不明の自己弁護を続けており、到底反省しているとは思えない。その問題点については今後も徹底的に追及していきます」
デイリー新潮編集部

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