【能登半島地震】噴き出す泥水、傾いた家 石川・内灘町は液状化が深刻 遅れる復旧「この町に住み続けられるのか」

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能登半島地震で、液状化現象が原因とみられる深刻な被害に見舞われた地域がある。金沢市の隣に位置し、日本海に面した石川県内灘町だ。泥水が噴き上げた地面はゆがみ、道路は隆起し、住宅は傾いた。「もう住めない」。住民は体調不良を訴え、途方に暮れている。
◆「道路に穴、泥水が」
「道路に穴が開き、泥水がぶわーっと噴き出た」。会社員の岡野敬祐さん(49)は傾いた木造3階建ての自宅前で、その瞬間を振り返った。
強い揺れに襲われた元日の夕刻、家族でテレビを見ていた。震度5弱。岡野さんは3人の子どもに覆いかぶさって揺れをしのぎ、ほどなくして小学校に避難した。
◆地震後、消えた下り坂
自宅前の道は下り坂だが、地震後は傾斜がほとんどなくなった。「道路は1メートルぐらい盛り上がり、近くの家では車が土砂に埋まった」という。
床が斜めになった室内での生活を余儀なくされ、体に不調が生じた。「頭は痛いし、食欲もない。緊急地震速報の音にも過敏になった」。小学2年の三女(7)は不安から1人でトイレに行けなくなったという。
「外出もできん。まさに孤立ですよ。復旧してほしいけど、ここにはもう住めないのではないか」。寂しそうにわが家を見上げ、「水も出ず、風呂にも入れない」とこぼした。
◆大半が砂丘…遅れる復旧
内灘町は地域の大半が砂丘で、過去の地震でも液状化が起きたとされるが、今回は被害が甚大な珠洲市や輪島市などに比べて報じられる機会が少なく、復旧や支援が遅れている。
自宅が傾いた田中徹さん(65)も「家を建て直すとしても、この町に住み続けられるのか」と危惧する。「周囲の人も将来への不安を口にしている」という。
川辺洋行さん(64)宅も床が盛り上がり、住めない状態になった。妻は金沢市内に、自身は知人宅に身を寄せているが、再建は見通せない。「落ち着いたら家を取り壊し、更地にする。日に日に傾いとるから…」

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