盗み見た「鍵番号」で合鍵作成、男を住居侵入容疑で逮捕…警察は「シール」作成

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鍵に刻印された「鍵番号」から不正に合鍵を作り、不法侵入する――。
こうした手口の事件を防ごうと、京都府警下鴨署が鍵番号を他人から見られないようにする「セキュリティシール」を作成した。今後、防犯の啓発活動で配る予定で、同署は「鍵番号は個人情報と同じくらい大切にしてほしい」と注意喚起している。(相間美菜子)
■「下着撮影したくて入った」
同署は昨年9月、滋賀県草津市の女性(21)宅に侵入したとして、大学生の男(21)を住居侵入容疑で逮捕した。
男は女性と同じ飲食店でアルバイトしており、女性の家の鍵を盗み見て、その番号とメーカーを基に注文サイトから合鍵を発注。2022年6月と7月に合鍵を使って女性宅に侵入したとされる。同署は昨年12月13日、合鍵を不正入手するためにサイトで正規の注文を装ったなどとして、私電磁的記録不正作出・同供用容疑でも男を書類送検した。
女性は被害に気付いておらず、男は調べに対し、「仲間から合鍵を作るサイトを教えてもらった。女性の下着を撮影したくて入った」と供述したという。
■全国で相次ぐ
鍵番号は、オリジナルの「純正キー」にアルファベットや数字を組み合わせて書かれている。鍵メーカーは番号ごとに鍵の設計図を管理しており、合鍵はこの情報を基に作られる。
鍵番号から不正に合鍵を作る事件は全国的にも相次いでおり、北海道釧路町で昨年5月、小学校教諭の女性が刺殺された事件では、元交際相手の男が女性宅に合鍵を使って侵入していたとされる。これとは別に、マンションの集合ポストの隙間をのぞき、置いてある鍵から合鍵が作られたケースもある。
京都府内で昨年11月末までに発生した「空き巣」123件のうち、合鍵を使った事案は16件と全体の約13%。10年前から8ポイント増えた。
■1500枚を大学生らに配布へ
下鴨署は情勢を踏まえ、下鴨防犯協会と協力し、鍵番号を隠す「セキュリティシール」を作成した。銀色で、長さ2・3センチ、幅1・6センチ。一度はがすと「済」という文字が浮かび上がるため、他人がシールを剥がして盗み見た場合に気づける工夫も施した。
シールは1500枚作り、今月12日から大学生らに配布する予定という。同署の水嶋奈美・生活安全課長は「合鍵を作る犯行の手口が横行しつつあり、自衛策を心がけてほしい」と呼びかけている。
◇ 「日本ロックセキュリティ協同組合」(東京都)によると、2000年以前は比較的安価なギザギザの鍵が主流で、合鍵を作る際は注文者が直接業者に持ち込み、機械で削ってその場で手渡されることが多かった。
その後、特殊な工具を使って解錠する「ピッキング」による侵入盗の被害が多発したことから、防犯性の高い「ディンプルキー」が多く出回るようになった。だが、鍵の表面に凹凸が刻まれているため、業者がその場で機械で作るのが困難になった。
同組合の担当者は「以前は、業者が注文者の顔を見てやりとりすることが多く、合鍵を使った犯罪の抑止につながっていた側面がある」と指摘。「鍵を他人に見せたり貸したりすると、人知れず合鍵を作られる恐れがあるので、鍵は大切に保管してほしい」と話す。

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