娘がホスト地獄に陥った母親の壮絶告白、風俗店勤務を知った夫は精神を病んで入院「家族が壊れた」

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イケメンなホストがテレビやSNSで優しく語りかける。いつの間にか身近になった気もする『ホストクラブ』だが、実際に足を踏み入れれば、一晩で数百万円の飲食代がかかることも。代金を“ツケ”にした女性たちは、その支払いのためカラダを売る。問題は、その家族にも深刻な影響が及んでいて―。
【写真】いつホストにいくら使っていたかが書かれていた“記録”娘がホストクラブに足を踏み入れてから、家族がバラバラに 悪質なホストクラブによる高額な売掛金が社会問題となっている。警視庁は’23年12月15日から16日にかけて、東京・歌舞伎町のホストクラブなど202店舗に立ち入り調査したところ、7割が料金表示に違反があったという。

国会でも、被害防止のための法案が提出された。少しずつ浄化されようとしているが、当事者たちの苦悩は尽きない。「うちは、本当にごく普通の家庭だったと思います。でも、娘がホストクラブに足を踏み入れてから、家族がバラバラに壊れてしまったんです」 こう話すのは、関東近郊に住む主婦(50代)だ。現在20歳の娘がホストクラブ通いにハマってしまった。 ’23年4月、娘が高校時代の友人に会うために東京へ遊びに行ったことが始まりだった。帰宅した娘が、玄関に置いたカバンを片付けようとしたときのこと。「カバンから、ホストの名刺が何枚もバラバラと落ちてきて……。不安になって“この名刺は何?”と聞いたら、娘は“ちょっと遊びに行っただけだよ”と。ただ、もう大学生だし、そんなものかと深くは詮索しなかったんです」(母親、以下同) かつては両親を追って頼りなく歩く姿から、少しずつ成長したわが子は地元の大学へ進学。青春を謳歌するはずが、異変はすぐに訪れた。「6月に、娘が受けた性病の検査結果の紙を見つけたんです。何でこんな検査をしたのか心配で“恋人がいるの?”などと聞いたのですが、詳しいことは教えてくれませんでした。娘は、その話をした数日後から風俗店で働き始めていたんです。男性客の特徴などを記した娘のメモを見つけて判明しました」 当時19歳だった娘が、なぜカラダを売る必要があるのか。問いただすと、娘の口から出てきたのは、「ホストクラブに行くため」 という言葉だった。夫は精神を病んで入院することに「ショックというか、嘘であってほしいという気持ちで。夢なら覚めてほしいと、何度も考えました。夫を交えて3人で話し合い、最終的に娘は“店は辞めます”と言ったのですが……サービスをした客の特徴を記したメモが、その後も更新され続けていて」 これが8月のこと。父親は、母親を叱責したという。「夫は“おまえの育て方が悪かったんだ。何をやっていたんだ”と私を責めました。自分でも、その現実を受け止められなかったんだと思います」 年1回は家族旅行に出かける仲だった家族は、少しずつ壊れ始めた。 再び開かれた家族会議で、娘には目の前で風俗店に「辞めます」という連絡をさせた。ホストクラブで1回に使う金額は1万~17万円ほど。幸いなことに、多額の売掛金などはなかった。しかし……、「風俗は辞めても、ホスト通いは続けていたんです。“大学の飲み会があるから”と言って出かけるのですが、たびたび朝帰りをする。ある朝、娘から“文化祭の打ち上げで駅前のカラオケにいるから迎えにきて”と連絡があり夫が行くと、娘は改札口から出てきたそうです。歌舞伎町で、朝まで遊んでいたのだと思いました」 何かあってからでは遅い。そう思って問い詰めても、「友達と飲んでいた」 と言い張るが、具体的な友人の名前は出てこない。「なので、こっそり娘がつけている携帯のお小遣い帳をのぞいたら、やはりホストクラブに行っていました。でも、娘には何も言わないでいます。反発するだけなので、今は見守るしかありません」 一緒にスーパーへ行けば、母親を気遣って食料品がドッサリ入ったバッグを率先して持ってくれた娘はもういない。親子の会話もなくなった。「大学の成績もガタ落ちして……。以前は明るい子だったのですが、今は家に帰ってくると無言でホストに関した動画を延々と見ています」 人が変わっただけでなく、異常な行動もあったという。違法な薬物の使用も頭をよぎった。実際、ホストクラブで働く男が、覚醒剤などを所持した疑いで逮捕されているが自分が使うためだけに薬物を所持しているとは限らない。「そうしたことが重なって、夫は精神を病んで入院することになりました。それなのに、娘は夫が入院したその日にも、ホストクラブへ行っていました。もうホストのことしか考えられないのだと思います。あるときは飲酒運転をして帰ってきたこともあったんです。ウチは交通事故で子どもを1人亡くしていて、そのときは娘もとても悲しんで、みんなでいっぱい泣いたのに……。善悪の区別もつかなくなってしまったのかな……」 現在も娘はひそかにホストクラブへ通い続けている。 悪質なホストクラブによる被害者やその家族を支援する「青少年を守る父母の連絡協議会」代表の玄秀盛氏は、「今のホストクラブは、本来の接客業から逸脱し、女性のことを金としか思っていない。この子なら数千万円は稼げるなと、商品として見ている」判断能力が乏しい若い子がターゲットに と語る。7月に立ち上げた同団体には、毎日20件ほどの相談が寄せられる。「娘がカラダを売るのを止めるために、売掛金計3000万円を肩代わりしたご両親もいました。しかし、お金も尽きて、最終的に娘さんはカラダを売り、残りの900万円を支払った……。ご両親は“私たちが払ったお金は何だったんでしょう”と。ホストに洗脳された娘さんは、今も風俗で働いてお金を払い続けています」(玄氏、以下同) どうしてここまでの状況に陥ってしまうのか。「初回は数千円と謳って、来店した客に甘い言葉を囁く。いい気分にさせ、再来店させる中で異性経験の少ない子と肉体関係を結び、洗脳していく。女性は、いつかそのホストと結婚できると信じ込むようになる。そのための“洗脳マニュアル”も存在します」 父母から寄せられた相談メールには《娘はホストと一緒にいつか店を出すと話している》などと書かれていた。 こうして女性たちは、ホストに紹介された風俗店で働いたり、立ちんぼをしたりして金を稼ぐようになる。 警視庁が’23年1月から12月19日までの間、歌舞伎町の周辺で売春防止法の疑いで逮捕した女性は140人。うち約4割がホストクラブで遊ぶ金を稼ぐためだった。こうした被害が増加した背景には、何があるのか。「ホストがタレントとしてテレビ出演することで、ホストクラブに通う心理的ハードルが大きく下がった。これに加え、地方から上京した子がコロナ禍で孤立する中、SNSを通じてホストから連絡がくる。 寂しさを埋めるために遊びに行って深みにハマるというワケです。高額な売掛金も以前は“未成年者取消権”で帳消しにできたが、成人年齢が18歳に引き下げられ、判断能力が乏しい若い子がターゲットとなり被害が増加した」 ホストに人生を壊されてしまった人も少なくない。「何百人もの男に抱かれ、性病に感染したり、何度も中絶をしたりする子もいる。そして、少しずつ精神が破壊されていくんです。何千万円も貢いだ末にホストに捨てられ、精神が崩壊してしまった子にも会ったことがあります。人生が壊され、回復できない被害者が大勢いるんです」 前出の母親も、不安が募る。「悪い方向に進んでいかないか心配です。いつか娘に元の笑顔が戻るんじゃないかと、わずかな望みを持ってはいますが……」 1日も早く目が覚めることを願う─。玄秀盛 1956年、大阪市西成区生まれ。ドメスティック・バイオレンスや虐待、多重債務などさまざまな相談に乗る公益財団法人「日本駆け込み寺」の創設者。2023年7月には、「青少年を守る父母の連絡協議会」を立ち上げ、ホスト被害者支援に取り組む
悪質なホストクラブによる高額な売掛金が社会問題となっている。警視庁は’23年12月15日から16日にかけて、東京・歌舞伎町のホストクラブなど202店舗に立ち入り調査したところ、7割が料金表示に違反があったという。
国会でも、被害防止のための法案が提出された。少しずつ浄化されようとしているが、当事者たちの苦悩は尽きない。
「うちは、本当にごく普通の家庭だったと思います。でも、娘がホストクラブに足を踏み入れてから、家族がバラバラに壊れてしまったんです」
こう話すのは、関東近郊に住む主婦(50代)だ。現在20歳の娘がホストクラブ通いにハマってしまった。
’23年4月、娘が高校時代の友人に会うために東京へ遊びに行ったことが始まりだった。帰宅した娘が、玄関に置いたカバンを片付けようとしたときのこと。
「カバンから、ホストの名刺が何枚もバラバラと落ちてきて……。不安になって“この名刺は何?”と聞いたら、娘は“ちょっと遊びに行っただけだよ”と。ただ、もう大学生だし、そんなものかと深くは詮索しなかったんです」(母親、以下同)
かつては両親を追って頼りなく歩く姿から、少しずつ成長したわが子は地元の大学へ進学。青春を謳歌するはずが、異変はすぐに訪れた。
「6月に、娘が受けた性病の検査結果の紙を見つけたんです。何でこんな検査をしたのか心配で“恋人がいるの?”などと聞いたのですが、詳しいことは教えてくれませんでした。娘は、その話をした数日後から風俗店で働き始めていたんです。男性客の特徴などを記した娘のメモを見つけて判明しました」
当時19歳だった娘が、なぜカラダを売る必要があるのか。問いただすと、娘の口から出てきたのは、
「ホストクラブに行くため」
という言葉だった。
「ショックというか、嘘であってほしいという気持ちで。夢なら覚めてほしいと、何度も考えました。夫を交えて3人で話し合い、最終的に娘は“店は辞めます”と言ったのですが……サービスをした客の特徴を記したメモが、その後も更新され続けていて」
これが8月のこと。父親は、母親を叱責したという。
「夫は“おまえの育て方が悪かったんだ。何をやっていたんだ”と私を責めました。自分でも、その現実を受け止められなかったんだと思います」
年1回は家族旅行に出かける仲だった家族は、少しずつ壊れ始めた。
再び開かれた家族会議で、娘には目の前で風俗店に「辞めます」という連絡をさせた。ホストクラブで1回に使う金額は1万~17万円ほど。幸いなことに、多額の売掛金などはなかった。しかし……、
「風俗は辞めても、ホスト通いは続けていたんです。“大学の飲み会があるから”と言って出かけるのですが、たびたび朝帰りをする。ある朝、娘から“文化祭の打ち上げで駅前のカラオケにいるから迎えにきて”と連絡があり夫が行くと、娘は改札口から出てきたそうです。歌舞伎町で、朝まで遊んでいたのだと思いました」
何かあってからでは遅い。そう思って問い詰めても、
「友達と飲んでいた」
と言い張るが、具体的な友人の名前は出てこない。
「なので、こっそり娘がつけている携帯のお小遣い帳をのぞいたら、やはりホストクラブに行っていました。でも、娘には何も言わないでいます。反発するだけなので、今は見守るしかありません」
一緒にスーパーへ行けば、母親を気遣って食料品がドッサリ入ったバッグを率先して持ってくれた娘はもういない。親子の会話もなくなった。
「大学の成績もガタ落ちして……。以前は明るい子だったのですが、今は家に帰ってくると無言でホストに関した動画を延々と見ています」
人が変わっただけでなく、異常な行動もあったという。違法な薬物の使用も頭をよぎった。実際、ホストクラブで働く男が、覚醒剤などを所持した疑いで逮捕されているが自分が使うためだけに薬物を所持しているとは限らない。
「そうしたことが重なって、夫は精神を病んで入院することになりました。それなのに、娘は夫が入院したその日にも、ホストクラブへ行っていました。もうホストのことしか考えられないのだと思います。あるときは飲酒運転をして帰ってきたこともあったんです。ウチは交通事故で子どもを1人亡くしていて、そのときは娘もとても悲しんで、みんなでいっぱい泣いたのに……。善悪の区別もつかなくなってしまったのかな……」
現在も娘はひそかにホストクラブへ通い続けている。
悪質なホストクラブによる被害者やその家族を支援する「青少年を守る父母の連絡協議会」代表の玄秀盛氏は、
「今のホストクラブは、本来の接客業から逸脱し、女性のことを金としか思っていない。この子なら数千万円は稼げるなと、商品として見ている」
と語る。7月に立ち上げた同団体には、毎日20件ほどの相談が寄せられる。
「娘がカラダを売るのを止めるために、売掛金計3000万円を肩代わりしたご両親もいました。しかし、お金も尽きて、最終的に娘さんはカラダを売り、残りの900万円を支払った……。ご両親は“私たちが払ったお金は何だったんでしょう”と。ホストに洗脳された娘さんは、今も風俗で働いてお金を払い続けています」(玄氏、以下同)
どうしてここまでの状況に陥ってしまうのか。
「初回は数千円と謳って、来店した客に甘い言葉を囁く。いい気分にさせ、再来店させる中で異性経験の少ない子と肉体関係を結び、洗脳していく。女性は、いつかそのホストと結婚できると信じ込むようになる。そのための“洗脳マニュアル”も存在します」
父母から寄せられた相談メールには《娘はホストと一緒にいつか店を出すと話している》などと書かれていた。
こうして女性たちは、ホストに紹介された風俗店で働いたり、立ちんぼをしたりして金を稼ぐようになる。
警視庁が’23年1月から12月19日までの間、歌舞伎町の周辺で売春防止法の疑いで逮捕した女性は140人。うち約4割がホストクラブで遊ぶ金を稼ぐためだった。こうした被害が増加した背景には、何があるのか。
「ホストがタレントとしてテレビ出演することで、ホストクラブに通う心理的ハードルが大きく下がった。これに加え、地方から上京した子がコロナ禍で孤立する中、SNSを通じてホストから連絡がくる。
寂しさを埋めるために遊びに行って深みにハマるというワケです。高額な売掛金も以前は“未成年者取消権”で帳消しにできたが、成人年齢が18歳に引き下げられ、判断能力が乏しい若い子がターゲットとなり被害が増加した」
ホストに人生を壊されてしまった人も少なくない。
「何百人もの男に抱かれ、性病に感染したり、何度も中絶をしたりする子もいる。そして、少しずつ精神が破壊されていくんです。何千万円も貢いだ末にホストに捨てられ、精神が崩壊してしまった子にも会ったことがあります。人生が壊され、回復できない被害者が大勢いるんです」
前出の母親も、不安が募る。
「悪い方向に進んでいかないか心配です。いつか娘に元の笑顔が戻るんじゃないかと、わずかな望みを持ってはいますが……」
1日も早く目が覚めることを願う─。
玄秀盛 1956年、大阪市西成区生まれ。ドメスティック・バイオレンスや虐待、多重債務などさまざまな相談に乗る公益財団法人「日本駆け込み寺」の創設者。2023年7月には、「青少年を守る父母の連絡協議会」を立ち上げ、ホスト被害者支援に取り組む

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