【池上彰】流血シーンで視聴者が「ショック死」…昭和のテレビ番組の「めちゃくちゃさ」

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テレビ放送が始まったばかりの頃、テレビ局はまだ新興企業でした。
いったいどんな人たちが、どんな番組づくりをしていたのでしょうか。
池上彰さんが実体験をまじえて振り返ります。
【※本記事は、池上彰『昭和の青春 日本を動かした世代の原動力』(11月16日発売)から抜粋・編集したものです。】
テレビ放送が始まったばかりの頃、放送局の本流はラジオでした。ですからまだ海の物とも山の物ともつかないテレビ制作に送り込まれたのは、放送局のはぐれ者たちでした。
本流のラジオ放送を担うエリートとは異なる、扱いに困るような連中を押し付けて始まったテレビ放送は、はぐれ者たちがめちゃくちゃな番組をつくってヒットを生み出していきました。
これはインターネットの草創期と同じ構図です。エリートは本流であるテレビを担当し、可能性が不明なインターネットにははぐれ者が送り込まれ、ユニークなことを始めて面白がられる、という具合です。世の中で新しいものができるときは、だいたいそんなものなのでしょう。
ただ、はぐれ者が頑張ってめちゃくちゃな番組づくりをすると、コンプライアンスに合致しないとんでもない事件が起こります。
たとえば、プロレス放送における「銀髪鬼」フレッド・ブラッシーの流血事件。悪役レスラーのフレッド・ブラッシーが相手に噛みついて大流血させたシーンがテレビ放送され、それを見てショック死した人が出たこの事件は、ニュースで大きく取り上げられました。実際は流血ではなくケチャップだったのですが。

あの熱い時代「昭和」とは何だったのか。
学生運動、高度経済成長、新たな文化、繁栄の「陰」…
池上彰『昭和の青春 日本を動かした世代の原動力』(11月16日発売)は、1950(昭和25)年生まれの池上彰氏が実体験をまじえながら「昭和」を解き明かします!

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