「場当たり対応、国民見透かす」=元側近・三ツ矢氏、岸田首相に苦言

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

自民党岸田派(宏池会)で事務総長代行を務めるなど、就任前の岸田文雄首相を支えた三ツ矢憲生元衆院議員は5日までに時事通信のインタビューに応じ、岸田政権について「表面的、場当たり主義だと国民に見透かされている。小手先のパフォーマンスを続ければ日本が行き詰まるだろう」と苦言を呈した。
主なやりとりは次の通り。
―政権発足から2年。どうみるか。
2021年の自民党総裁選で首相が言っていた「新しい資本主義」は当時から派内でも実体が不明だった。首相には漠としたアイデアがあるのだろうと思っていたが、結局分からないまま言葉だけ先行し、金融所得課税など当初掲げていた公約もいつの間にか消えた。
一方で、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有や防衛費増額など、日本の従来の歩みの転換を閣議決定だけで決めるような荒っぽいこともしている。
―24年度の防衛増税を先送りする。
5年間で43兆円の防衛費を確保すると言っているが、具体的にどう財源を用意するかは何も決まっていない。防衛費は国民の生命財産に関わり、税で恒久財源を用意すべきだ。首相が自分自身で43兆円が必要だと判断したなら、その中身を説明し、国民に財源確保の理解を求め、説得しないといけない。
自民党は09年に野党へ転落した際、旧民主党政権の「子ども手当」について、「財源の裏付けもない選挙買収だ」と非難した。あれはどの口が言ったのかという気がする。
―異次元の少子化対策も財源が見えない。
中身を見れば「異次元」でも何でもない。経済的理由で結婚できない人が増え、子どもが減る根本原因を探らないといけない。非正規社員の若者が待遇面などで不安定な立場に置かれる現状を変えるため、労働法制の見直しに踏み込むべきだ。
―所得税減税の意図は。
支持率のためだろう。次期衆院選対策も考えているのだろうが、見え見えだ。経済対策として税制を考えるなら、企業の内部留保や個人金融資産の活用を真剣に考えるべきだ。首相がラッキーなのは党内に強力なライバルがいないことだ。野党もばらばらで、政権が低空飛行で続いていく可能性もある。しかし、国民にとっては不幸だろう。
首相は就任前からよく「自分は現実主義者だ」と言っていたが、実体は表面的な場当たり主義だったのではないか。それが国民に見透かされているように思える。小手先のパフォーマンスばかりでは日本が行き詰まる。本当に首相としてやりたいことがあるなら、真剣に向き合わなければだめだ。
◇三ツ矢憲生氏略歴 三ツ矢 憲生氏(みつや のりお)東大卒業後、旧運輸省入省。2003年の衆院選で初当選し、当選6回。外務副大臣、自民党政調会長代理などを務め、21年に引退。72歳。
◇三ツ矢憲生氏略歴 三ツ矢 憲生氏(みつや のりお)東大卒業後、旧運輸省入省。2003年の衆院選で初当選し、当選6回。外務副大臣、自民党政調会長代理などを務め、21年に引退。72歳。
◇三ツ矢憲生氏略歴
三ツ矢 憲生氏(みつや のりお)東大卒業後、旧運輸省入省。2003年の衆院選で初当選し、当選6回。外務副大臣、自民党政調会長代理などを務め、21年に引退。72歳。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。