プロレスラーが遭遇した迷惑な観客たち。「トイレに張り込むナゾの青年」に戦慄

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イベントやライブなど人が一堂に会する場所では、自分勝手な振る舞いをして迷惑を掛けるお客がいるもの。プロレス界隈にも試合観戦のマナーが悪いお客はいたりする。特に迷惑なのが、レスラーにやたらと絡んでくるお客だ。 プロと名が付く以上は、安易に手出しはできない。下手に注意すればSNSであることないこと拡散されてしまう場合もあるだろう。こちらとしては邪険に扱えず、非常に厄介なお客なのである。今回は、レスラーを困惑させた迷惑なお客にまつわる話を聞いた。
◆無謀にもケンカを売るおじさん!
「あの時は本当に、バカ負けしました」と語るのは筆者の後輩レスラーのAさん。試合前の忙しいタイミングで変なお客さんに絡まれたという。
プロレスの会場にお客さんが入れるようになるのは、試合が始まる1時間前から。それまで選手はアップをして体を温めている。当時デビューをして1年目の若手だったAさんも、お客さんが会場に入るギリギリまで練習をしていた。 練習を終えて控室に戻る前に自販機に寄って、飲み物を選んでいると、Aさんは不意に後ろから声を掛けられた。振り返ると、そこには頬を赤らめて、ほのかに酒の匂いを漂わせている60代くらいのおじさんが立っていた。雰囲気からして酔っ払いであると察したという。
◆「俺と戦え。俺のケツはいい形をしているぞ」
そして、おじさんは「お前たちはプロとしてリングに立っているんだろう? だったら俺に負けちゃだめだよな」と無謀にも絡んできたのだ。 しかし、相手は酔っ払いであるため、Aさんは適当にあしらおうと「はい、そうですね。頑張ります」と答えてその場を去ろうとしたのだが。
おじさんはAさんの前に立ちはだかるようにして「逃げるのか、プロなんだろ? 俺と戦え。俺のケツはいい形をしているぞ」と挑戦を申し込んできたという。
昔の武勇伝を語り、ケンカ自慢をして無謀にもレスラーに絡んでくる血の気の多いお客さんは一部いる。しかし、お尻の形を誇らしげに語り、挑んでくる人はごくまれな部類だろう。
◆その自信はどこから湧いてくる?
聞いてもないのに、おじさんは語り出したという。「俺のケツは県内でもトップクラスだ。あんたのケツはどうだ」と話しながら、Aさんのお尻を勝手に触り出したようだ。
ひと通り、おしりを触って満足したのか、おじさんは「プロだけのことはある。だけど俺のケツには勝てないな」とAさんに言い放った。さらに「ほら俺のケツを触ってみろ?構わないんだよ、触って」と、こともあろうにお尻を触ることを強要してきたのだとか。
当時のAさんは、まだ若手ということもあり、自分の試合以外にも先輩方の身の回りの雑務やセコンド業務があるため試合前は忙しい時間帯。そのため、早く切り上げてやるべきことをこなさなければいけない。それに酔っ払った見知らぬおじさんのお尻を好んで触りたくもないだろう。 「いえ、大丈夫です。凄いのはわかったんで」とAさんは早く切り上げて帰ろうとするも……。おじさんは納得いかなかったのか、しびれを切らしたのか。Aさんの左手首を掴み、自分のお尻へあてがったようだ。レスラーの力をもってすれば、おじさんの手を外すのは簡単。だがしかし、酔っ払いゆえにケガをさせると厄介なので仕方なく、身を任せたというAさん。 ◆触りたかっただけ?いまだに謎の行動

「本当にあの日は参りましたね。知らないおじさんにケツを触られて、そのうえ別に触りたくもないケツを触らされたあげく、控室に戻ったら、先輩に『タオルを用意しておけよ』って怒られるし、本当にバカ負けしましたよ」
慌ただしいタイミングに絡んできて、時間を潰したあげくに、お尻を触らせるのは迷惑な行為でしかないだろう。
◆トイレを熱心に覗こうとする青年
「試合を見ないで、何がしたかったのかわからんわ」と語るのは筆者の先輩レスラーのRさん。トイレで奇妙なお客さんと遭遇したという。 試合会場となる体育館は場所によっては、トイレが1か所しか設置されていないときがある。そのため、選手やスタッフもお客さんに混じってトイレを使用する必要があるのだ。混雑が予想されるため、選手やスタッフはお客さんが試合を観戦している間にコッソリと行くのが暗黙のマナーになっていた。
その日、Rさんの試合順は5試合目で時間に余裕があるため、何回かトイレに行く機会があったようだ。 最初にトイレに行ったときに、入口の前に20代前半の青年が立っていたという。Rさんは特に気にもせず、用を済ませようしたとき。その青年もフラフラと入って来て隣に立ったようなのだ。
◆たまらず青年に声を掛けると
トイレに入って来たからには用を足すのかと思いきや、どうも青年の様子がおかしいことに気付く。「普通はトイレに来たら用を済ませるもんだろ? それがさ、そいつは俺が用を足しているところを、ずっと覗き込んでいるわけよ」と不信感を覚えた。
Rさんはたまらず、青年に声を掛けたという。
「君、こんなところを見ていてもしょうがないだろう。それよりもしっかり試合を見てくれよ」。そうRさんが諭すように語りかけると、青年は「お疲れ様です」と一言つぶやいて出て行ったようなのだ。
「そいつさ、謝りもせずに出て行ったんだよ。トイレを覗くヤツだろう。たぶん、そっち系の趣味でもあったのかもな」。レスラーは全国各地を巡業するため、さまざまな人と出会う機会は多い。Rさんは特に気にせずに受け流したという。
◆覗き行為は1度だけではなく
しかし、しばらくしてRさんが再びトイレにいくと、またもや青年がトイレの前に立っていたのだ。Rさんは「何だコイツは……?」と少し疑問を感じながらも、スルーして用を済ませようとした。すると前回と同様に青年がゆっくりとトイレに入ってきて、Rさんが用を足しているところを懲りずに覗いたという。
さすがに2回も連続で同じ行動をされたら確信犯でしかない。そこでRさんは少し強めに「何か用なの! さっきもトイレにいたよね? なに俺のこと好きなの? でもさ、君の行動は失礼じゃないか」と言うと、青年は謝りもせずに「お疲れ様です」と言い、トイレから出ていったようだ。
「結局のところ目的がわからなかったんだけどさ。なんか、そいつの『お疲れ様です』が、俺の息子が小さくて残念ですね、ってニュアンスで言っている気がしたね」
2回も不思議な体験をしたRさんは、これまでの経緯を同じ控室を使っていた選手にも話したという。「まだいるかもしれない」からと他の選手が試しにトイレへ向かったところ。聞いたとおり、トイレの前に青年がいたのだ。 ◆青年の目的は一体なんなのか
しかも、Rさんの時と同様に用を済ませようとすると、フラフラと寄って来て覗き込んだという。その話を他の選手から聞いたRさんは、気味悪さを感じつつも、青年の目的が気になり、若手選手に調べてもらった。
「トイレに行くたびにいるから気になってくるじゃん。でも、俺も自分の試合があるから変なことに時間を割けないわけで。そこで、試合が終わった若手選手に頼んで間隔を開けてトイレに行ってもらったのよ。そしたら、いつもそいつがいるらしいんだよ」 Rさんは若手選手にお願いしてトイレに時間を置いて行ってもらった。その結果、どうやら青年はトイレの前にいつもいて、レスラーだったら無差別で覗きにくるようなのだ。
「目的がわからないのが一番怖いよな。トイレは無防備になる場所だろ? いきなり襲われると嫌だから警戒しながらするわけよ。だから集中できなくて、ストレスだったわ。それに試合を見ないで、ずっとトイレの前で待機していたと思うと、恐怖でしかないな」
レスラーがトイレに来るたびに覗きにくる謎の青年。試合を観戦せずに何をしたかったのだろうか。真相は闇の中だ。
<TEXT/みくた>
―[カスハラ現場の苦悩]―

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