《「爺」「皿婆」…》上皇・上皇后へのネット誹謗中傷の深刻な実態 名古屋大・河西秀哉氏が指摘

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名古屋大学准教授の河西秀哉氏が月刊「文藝春秋」11月号に寄稿し、ネット上にあふれている上皇・上皇后両陛下への誹謗中傷の知られざる実態について指摘した。
【写真】ネットで深刻な誹謗中傷を受けている美智子さま美智子さまと上皇陛下 時事通信社〈ネットを見ていないような世代ではなく、見ているような若い人たちでも、意外にそれに気がついていない。(中略)それはかなり深刻な問題を含んでいて、しかも最近では目立って一定の影響力を持ちつつあり、このまま放置しておけば、より大きくなって象徴天皇制・皇室の危機に繋がるのではないかと私は思う〉

では、どのような誹謗中傷があるのか。「紹介するのも正直憚られるのではあるが」としながら、河西氏が挙げたのが、次のコメントだ。2023年8月22日から4年ぶりに夏の軽井沢で静養したことを伝えるフジテレビ配信のヤフーの記事に対して付けられた“ヤフコメ”である。600件の「いいね」がついた投稿《静かにお忍びで行こうと思えば行けるのに報道陣をわざわざ呼んで記事にさせるのは何故なの? テニスコートのお話も古過ぎて老人しか知りませんし時代遅れのロマンスは興味もないです 軽井沢は東京と大して変わらず暑くなりました。せっかく豪華な隠居先を建てたのだからご自宅でゆっくり静養して下さい》 これに対して、600件ほどの「いいね」が付けられ、コメント欄のトップに上がっているという。言うまでもなく、上皇・上皇后両陛下が「報道陣をわざわざ呼んで」記事にさせているといったことはない。「メディアはニュースバリューがあるから取りあげているのである」。そしてSNS上はもっと酷い状況だと河西氏は指摘する。「爺」「婆」「皿婆」などと〈X(旧Twitter)では、上皇・上皇后へのさらに根拠のない批判や誹謗中傷があふれている。しかも彼ら彼女らを「爺」や「婆」と呼び、高齢であること自体をバカにするなど、人として礼儀を欠くような表現が見受けられる。(中略) なかには、上皇后を「皿婆」なる隠語で呼んでいるケースもある。彼女が外出するときにかぶる帽子が、小皿のように見えると揶揄する言葉だが、そこには「衣装代に多額の税金をつぎ込んでいる」という印象付けをしようとする意図も感じられる〉 こうした誹謗中傷は、退位前後から始まっていた。また小室眞子さんの結婚、そして小室圭さんの母親の金銭問題の浮上で、税金と皇室がいっそう強く結びつけられてしまったことがその背景にあるという。 なぜこうした現象が起きているのか、河西氏はその要因を分析。第一に、人々が公的な問題に対して眼を厳しくしたこと、第二に「私」より「公」を重視するイメージを広げて支持を集めてきた“象徴天皇制のあゆみ”をあげる。秋篠宮家に「裏切られた」〈(上皇・上皇后両陛下の被災地などでの活動により平成の皇室は)「私」よりも「公」を重視するイメージが広がっていくことになった。そして、そうしたイメージが、空前とも言えるほどの象徴天皇制・皇室像への支持を生み出していく。だからこそ、(小室圭さんと眞子さんの結婚、金銭問題の浮上などの騒動などの)秋篠宮家の動きは「裏切られた」と見られたのだろう〉〈「私」を重視する秋篠宮家、そしてそれを認めてきた「爺」と「婆」。彼らを批判しなければならない。そうした思考がネット上のコメントから見えてくる〉 こうした根拠のない批判や誹謗中傷が、「最終的には象徴天皇制・皇室全体を傷つけることにも繋がる」と河西氏は強く主張した。 河西氏による10ページにわたる論考「美智子さまが狙われている」は、10月10日(火)発売の「文藝春秋」11月号、および「文藝春秋 電子版」(10月9日公開)に掲載される。(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2023年11月号)
美智子さまと上皇陛下 時事通信社
〈ネットを見ていないような世代ではなく、見ているような若い人たちでも、意外にそれに気がついていない。(中略)それはかなり深刻な問題を含んでいて、しかも最近では目立って一定の影響力を持ちつつあり、このまま放置しておけば、より大きくなって象徴天皇制・皇室の危機に繋がるのではないかと私は思う〉
では、どのような誹謗中傷があるのか。「紹介するのも正直憚られるのではあるが」としながら、河西氏が挙げたのが、次のコメントだ。2023年8月22日から4年ぶりに夏の軽井沢で静養したことを伝えるフジテレビ配信のヤフーの記事に対して付けられた“ヤフコメ”である。
《静かにお忍びで行こうと思えば行けるのに報道陣をわざわざ呼んで記事にさせるのは何故なの? テニスコートのお話も古過ぎて老人しか知りませんし時代遅れのロマンスは興味もないです 軽井沢は東京と大して変わらず暑くなりました。せっかく豪華な隠居先を建てたのだからご自宅でゆっくり静養して下さい》
これに対して、600件ほどの「いいね」が付けられ、コメント欄のトップに上がっているという。言うまでもなく、上皇・上皇后両陛下が「報道陣をわざわざ呼んで」記事にさせているといったことはない。「メディアはニュースバリューがあるから取りあげているのである」。そしてSNS上はもっと酷い状況だと河西氏は指摘する。
〈X(旧Twitter)では、上皇・上皇后へのさらに根拠のない批判や誹謗中傷があふれている。しかも彼ら彼女らを「爺」や「婆」と呼び、高齢であること自体をバカにするなど、人として礼儀を欠くような表現が見受けられる。(中略) なかには、上皇后を「皿婆」なる隠語で呼んでいるケースもある。彼女が外出するときにかぶる帽子が、小皿のように見えると揶揄する言葉だが、そこには「衣装代に多額の税金をつぎ込んでいる」という印象付けをしようとする意図も感じられる〉
こうした誹謗中傷は、退位前後から始まっていた。また小室眞子さんの結婚、そして小室圭さんの母親の金銭問題の浮上で、税金と皇室がいっそう強く結びつけられてしまったことがその背景にあるという。 なぜこうした現象が起きているのか、河西氏はその要因を分析。第一に、人々が公的な問題に対して眼を厳しくしたこと、第二に「私」より「公」を重視するイメージを広げて支持を集めてきた“象徴天皇制のあゆみ”をあげる。秋篠宮家に「裏切られた」〈(上皇・上皇后両陛下の被災地などでの活動により平成の皇室は)「私」よりも「公」を重視するイメージが広がっていくことになった。そして、そうしたイメージが、空前とも言えるほどの象徴天皇制・皇室像への支持を生み出していく。だからこそ、(小室圭さんと眞子さんの結婚、金銭問題の浮上などの騒動などの)秋篠宮家の動きは「裏切られた」と見られたのだろう〉〈「私」を重視する秋篠宮家、そしてそれを認めてきた「爺」と「婆」。彼らを批判しなければならない。そうした思考がネット上のコメントから見えてくる〉 こうした根拠のない批判や誹謗中傷が、「最終的には象徴天皇制・皇室全体を傷つけることにも繋がる」と河西氏は強く主張した。 河西氏による10ページにわたる論考「美智子さまが狙われている」は、10月10日(火)発売の「文藝春秋」11月号、および「文藝春秋 電子版」(10月9日公開)に掲載される。(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2023年11月号)
こうした誹謗中傷は、退位前後から始まっていた。また小室眞子さんの結婚、そして小室圭さんの母親の金銭問題の浮上で、税金と皇室がいっそう強く結びつけられてしまったことがその背景にあるという。
なぜこうした現象が起きているのか、河西氏はその要因を分析。第一に、人々が公的な問題に対して眼を厳しくしたこと、第二に「私」より「公」を重視するイメージを広げて支持を集めてきた“象徴天皇制のあゆみ”をあげる。
〈(上皇・上皇后両陛下の被災地などでの活動により平成の皇室は)「私」よりも「公」を重視するイメージが広がっていくことになった。そして、そうしたイメージが、空前とも言えるほどの象徴天皇制・皇室像への支持を生み出していく。だからこそ、(小室圭さんと眞子さんの結婚、金銭問題の浮上などの騒動などの)秋篠宮家の動きは「裏切られた」と見られたのだろう〉
〈「私」を重視する秋篠宮家、そしてそれを認めてきた「爺」と「婆」。彼らを批判しなければならない。そうした思考がネット上のコメントから見えてくる〉
こうした根拠のない批判や誹謗中傷が、「最終的には象徴天皇制・皇室全体を傷つけることにも繋がる」と河西氏は強く主張した。
河西氏による10ページにわたる論考「美智子さまが狙われている」は、10月10日(火)発売の「文藝春秋」11月号、および「文藝春秋 電子版」(10月9日公開)に掲載される。
(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2023年11月号)

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