【吉田 みく 】叔父からの「突然のお知らせ」で母が豹変…「借金地獄」に陥り”モンスター”になった母が、20代の娘に放った「衝撃の一言」

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コロナ禍を経て、企業の倒産件数が相次いでいる。帝国データバンクが今年2月に行った調査によれば、同月の倒産件数は574件と前年比を約34%上回り、10ヵ月連続で前年同月比より増加。2008年のリーマンショック以来の急増ペースだという。
会社が倒産し職を失えばそれだけ金に困った人も増える。会社や個人で雇用保険に加入していれば、再就職までの延命としていくばくかのお金は入る。しかしここにきて、物価や電気代に加え、ガソリン代の高騰が続く日本で、生活費に喘ぐ人も少なくない。
すぐに再就職先が見つかればよいが、年齢やスキル、また役職などによっても個人差が激しい市場だ。ましてや倒産した会社の経営者ともなると、仮に再就職を目指したとしても次に働ける場は限られる。だからこそ、従業員への責任も含めて無理をしてでも倒産を免れようと資金繰りに走るのだが、それが負の連鎖を巻き起こし、さらなる「ドン底」に陥る場合もある。
「高校1年の頃から、深夜になると母親がしきりにどこかへ電話をかけていたんです。生まれ故郷の方言で話していたので、祖父母と電話しているのかな? くらいでしか気に留めていなかったんですが、それが母を狂わせるきっかけでした」
都内在住の自営業、アオイさん(仮名、20代)はこう言う。アオイさん一家は会社員の父とパート主婦の母と弟の4人家族。一家の収入も安定しており、金銭面で不自由な思いをすることなく育った。しかしある日突然、母がお金の心配をし始めるようになった。
写真:iStock
「その頃から『お金がない』が母の口癖になったんです。急に『うちは貧乏』と言い出すようになって。元々心配性で、気がかりなことがあるとネガティブなことをすぐに口に出す性格だったので、いつものことかなと思っていたんです。ですが母の愚痴は毎日続き、家ではいつも暗い気持ちでした。
それまでは『お金がない』なんて言うこともなかったので、私が受験に失敗して、私立高校に進学したことが原因ではないかと『学費が高くてごめんね』と誤ったのを覚えています」
アオイさんは情緒不安定の母親を心配しつつ、巻き込まれては共倒れになってしまうと、気持ちを強く持って母親と接していたそうだ。母親の文句も過干渉も「よくあるいつものこと」。過剰に反応しては逆効果とつとめて気に留めないようにしていたとアオイさんは振り返る。
しかし、その状況は悪化の方向に流れていく。ある日、学校から帰宅すると号泣した母親がアオイさんに向かって受話器を渡しながら怒鳴り声を上げた。
「突然『おじいちゃんとおばあちゃんに、「お母さんを泣かせるな!」と言え!』と怒鳴られました。何をことを言われているのか分からなかったけど、理由を聞いたら暴力を振るわれるんじゃないかと思うくらい殺気立っていて、聞けませんでした。そのまま母に言われた通りに祖父母に告げました」
祖父母は受話器越しのアオイさんに「ごめんね、ごめんね」と泣くばかりで、何が起こっているか分からず、唖然とするアオイさんだったが、その後、徐々に状況が紐解かれた。母親が突然豹変したのには、こんな理由があった。
「祖父母との電話が終わったあとも『私の貯金がすっからかんよ!』と母が号泣していました。後日知ったのですが、どうやら母親が300万円を祖父母に渡したようだったんです。祖父母は派手な生活をするタイプではなかったし、そんな大金がなぜ必要だったのかまったく分かりませんでした。
写真:iStock
常軌を逸した母に貯金を渡した理由を聞けば、その矛先は私に向けられそうだったのでその時も黙っていました。そののち、母親の口癖が『闇金が自宅に来るかもしれない』に変わったあたりから、私にも状況が分かるようになっていったんです」
話によると、母親の弟、つまりアオイさんの叔父が事業に失敗し、母親がその連帯保証人となっていたため借金を背負ってしまったという。
母親の貯金の300万円を渡しても返済が追い付かず、叔父は消費者金融にもお金を借りたがそれでも足りずに、最終的には闇金に手を出してしまったようだ。具体的な金額は分からないものの、雪だるま式に増えていく返済額に、普通に働いて返せる額ではなさそうだったとアオイさんは当時を振り返る。
闇金の執拗な取り立てはその後、さらにアオイさんの母親を狂わせていく。その実体験は<【後編記事】「キレる母」「見て見ぬふりの父」そして祖父母は死に絶えた…母の弟に巻き込まれ「借金地獄」に陥った家族の壮絶な末路>で明かす。

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