「おじさん」はなぜ過剰に叩かれるのか?炎上させる人々のホンネを聞いてみた

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中年男性の炎上が後を絶たない。火種は確かにあったかもしれない。でも中には火種をつくった人が「おじさん」であったがゆえに余計に燃え広がる事例がある。なぜこんなにも“叩いていい存在”になったのか。その背景を探ってみた。◆誰がおじさんを叩くのか?
もはや満身創痍状態のおじさんたちだが、実際に「叩いてしまったことがある」という人々の声も聞いてみたい。一体誰が、どんな理由で叩いているのだろうか。
「職場の50代後半のおじさんは、『女は学歴より愛嬌』『女性らしく、こまやかな気遣いをしてほしい』と平然と言い放つ。仕事で結果を出したのに『隙のない女はモテないぞ』とか、時代錯誤もはなはだしい。そのことをツイッターで呟くと、軽く炎上する」(33歳・女性・IT)
また、「育休を取ったり、よく家事をするという男性社員に対して、『男も弱くなった』『情けない』と言う上司。価値観が古すぎる。SNSに晒すと、同調してくれるコメントが大量にくる」(32歳・男性・銀行)という声も。価値観がアップデートされていないことに対して、みな敏感に反応する。
◆若手社員からの被害の声も
若手社員からの被害の声も多い。
「会社の飲み会で、下ネタや人格否定みたいなことを言った直後に、『これはパワハラかセクハラになっちゃうかな?』と免罪符のように付け加えてくる。もう本人に遠回しに何度言っても変わらないので、SNSに会話の一部始終をあげて、不特定多数に叩いてもらっている。スッキリします」(24歳・男性・製菓)
ほかにも、「『女性や若手なら誰よりも早く出勤して、部内を掃除してほしい』『誰よりも遅く帰れ』と言われた。ツイッターで拡散されるように、#新入社員の敵、#女性の敵、#ブラック上司とハッシュタグをつけて晒したら、いいねが1000を超えた」(25歳・女性・経理)と、SNSを駆使して、溜まったストレスを発散させているようだ。
◆叩く側の心理とは?
恋愛戦略家・関口みなこ氏は叩く側の心理をこう分析する。
「やり場のないストレスを匿名のSNSで吐き出す気持ちはよくわかります。ただその多くが、『女性』や『若手社員』など主語がとても大きい。大きいほど、みんなが“当事者”になるので、元のネタからズレたコメントや過剰なバッシング、好き勝手に自分語りが始まるなど、多くの人を巻き込んで炎上する可能性があります」
炎があちらこちらに飛び火して、結果的に収拾がつかなくなってしまうケースも少なくない。
「同意を得られれば承認欲求が満たされてちょっと気持ちよくなりますからね。叩く人のなかに、その行為自体に存在意義や喜びを感じてしまう人がいて、それはそれでどうなんだ、と思います」
叩かれる火種をつくってしまうおじさんたちにも問題はあるが、過剰に叩きすぎている側にも問題がある。炎上はお祭りでもなんでもない。ときどき、己の行動を振り返ってみてはいかがだろう。
◆おじさん叩きすぎ事件簿
・おっさん用語に戸惑う若者朝日新聞が「おっさんビジネス用語」に戸惑う若者の声を取り上げて話題になった。「時代で変わる言葉を『おっさんのもの』と切り捨てたら、世代間の分断が深まるだけです」(田中)
・中年アイドルのSNSに幻滅’23年3月にツイッターアカウントを開設した二宮和也の投稿が“おじさんっぽい”と話題に。「今年40歳になる男性がおじさんっぽいのは当たり前なので、気の毒でした」(紫原)
・アイドル古参アピールが炎上映画・音楽ジャーナリストの宇野維正が、韓国のアイドルNewJeansの解説記事で、MV解禁直後から注目してたと強調し、「女性のカルチャーをおじさんが奪うな」と批判された
・“なろう小説家”和三盆が炎上小説投稿サイト「小説家になろう」ユーザーの和三盆が、妻に活動停止を要求され、その報告ツイートをすると、「自閉症の子供の世話を妻に丸投げして活動してきたのか」と非難された
【恋愛戦略家・関口みなこ氏】著書に『「最初の男」になりたがる男、「最後の女」になりたがる女 夜の世界で学ぶ男と女の新・心理大全』(KADOKAWA)がある
取材・文/週刊SPA!編集部

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