痴漢多発の「かがやき通り」、女子高生の体を触った大学生は「暗くて狙いやすかった」

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今年に入って痴漢が多発している場所が滋賀県草津市内にある。
JR南草津駅近くの「かがやき通り」。草津署管内の路上で7月末までに起きた8件の痴漢被害のうち、7件がこの通り一帯に集中。夜、自転車で追い抜きざまに女性の体を触る手口が目立っているという。(藤岡一樹)
草津署によると、管内(草津市、栗東市)の痴漢は今年7月末時点で計15件あり、7件が電車や店舗内、8件が路上となっている。路上8件のうち、7件を占めるのが、かがやき通りとその周辺だった。
通りはJR南草津駅の東に位置し、草津市野路の国道1号交差点から大津市との境まで東西に延びる約3キロ、片側1車線の市道だ。沿線には住宅街やスーパー、病院、飲食店が立ち並び、立命館大キャンパスもある。
7件の痴漢被害はいずれも夜間に発生しており、被害者は全員、女子中高生。うち5件が後方から自転車で近づき、追い抜きざまに触る手口だった。
6月30日午後9時半頃、この通りで自転車に乗っていた女子高校生(17)の体を、後方から自転車で追い抜きざまに触ったとして、県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された大学生の男(19)は草津署の調べに、こう供述したという。
「(通りが)暗くて狙いやすかった」
なぜ痴漢が多発するのか。記者も歩いてみた。
午後9時過ぎ、南草津駅東口から徒歩数分でかがやき通りの起点となる野路町交差点に立つ。周囲には駅から帰途につく徒歩や自転車の人の姿が目に付く。
街灯は一定間隔で並び、照明のついた施設もあるが、スーパーや飲食店の多くは午後9時までに閉店し、にぎわいや明るさはない。ヘッドライトを点灯した車の列が途切れると、いっそう暗くなる気がした。
制服を着た女子生徒もいた。この一帯は大阪、京都への通勤・通学圏で子育て世帯が多い。2020年の国勢調査や県によると、草津市の人口増加率は県内19市町中、トップで、20~40歳代の人口割合は県内2位。
草津署生活安全課はかがやき通りに被害が集中している理由について「わからない」としつつも、「子育て世帯や若い女性が多いことは影響しているかもしれない」とする。
通りを歩き、特に印象的だったのは、後方から追い抜いていく自転車の多さだ。車の走行音で、後ろから近づく自転車の気配を感じることができず、突然追い抜かれるという状況だった。
暗さと車の走行音による「近づきやすさ」。痴漢の多発する一因に思えた。
なお昨年、一昨年はこの通りで痴漢被害は発生していない。今年多発している背景について、草津署は「コロナからの人流の回復が影響しているのかもしれない」と指摘した。
草津署は今後、市と協力し、かがやき通りの防犯カメラの設置数を増やすなど、痴漢対策の強化を検討している。

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