5類移行、戸惑いの日常…東京都の相談窓口に3時間で300件

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新型コロナウイルス禍は8日、感染症法上の位置付けが5類となったことで一つの区切りを迎えた。
幅広い医療機関が患者に対応する体制になり、受診の判断も個人に委ねられたため、自治体の相談窓口には問い合わせが相次いだ。新たな日常が始まったばかりで、戸惑う人も多いようだ。
■「療養中で不安」
東京都内のビルの一室で8日、ずらりと並んだオペレーターが、次々にかかってくる電話に応対していた。「自主検査で陽性だったけど、相談先がわからない」「療養中に熱が上がって不安だ」「家族が陽性で自分も体調が悪い」など、問い合わせ内容は様々だった。
5類移行に合わせ、都が新設した24時間態勢の電話相談窓口「新型コロナ相談センター」。医療の知識が求められる相談には看護師が応じる。都民からの電話は午前9時~正午の3時間だけで約300件に上った。
都はコロナ禍で、発熱患者や自宅療養者向けなど、三つの相談窓口を設置していた。いずれも7日に廃止したが、「発熱などの不安から救急車を呼ぶ人が多くなれば、医療逼迫(ひっぱく)を招くおそれがある」として、相談機能を残すことにした。
小池百合子知事は8日、報道陣の取材に「(5類移行後も)これまでと同様に対応するので安心してほしい」と呼びかけた。
読売新聞が4月下旬、全都道府県に対し、5類移行後に専用の相談窓口を設けるか尋ねたところ、保健所などで相談を受け付ける高知県を除く、46都道府県が設置すると回答した。
埼玉県は9月末まで、看護師が24時間常駐する専用窓口を設ける。大分県は新たに看護師が健康相談に乗ったり、受診先を紹介したりするダイヤルを設置した。自治体がこうした対応をとるのは、移行初期の混乱を避ける狙いがある。
■検査キット購入を
5類移行後、日常をどのように過ごせばいいのか。政府は感染防止のため、引き続き定期的な換気や手洗い、消毒を呼びかける。検査キットや解熱鎮痛剤などを購入しておき、体調が悪くなった時は、自主検査するよう要請する。
感染した場合の行動制限はなくなったが、政府は「発症翌日から5日間」は外出を控えることを推奨。同居家族が感染したら、発症翌日から7日目まで、マスク着用や人混みを避けるなどの配慮を求めている。厚生労働省の助言機関は「感染症に強い社会にするためには、基本的な対策を続けることが大切だ。重症化リスクの高い人が多い高齢者施設や医療機関などでの感染対策、ワクチン接種の継続も重要になる」としている。
■ワクチン接種も
ワクチンの接種は来年3月末までは無料で、8日には、高齢者や持病のある人らを対象に先行接種が始まった。東京都墨田区では四つの集団接種会場を設けており、この日は約540人が訪れた。墨田区保健所の岩瀬均次長は「多くの人が初日から訪れたのは、コロナへの警戒感が根強いことの表れだ」と語った。

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